聖女召喚でなぜか呼び出された、もう30のお兄さん(自称)ですが、異世界で聖人することにしました。

藜-LAI-

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16.枯渇による暴走対策①

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 サーチェス北部、ピアリスから馬で三日ほどの場所にあるテトの村付近で瘴気が確認され、先行して魔獣の討伐と住人の避難にあたった聖騎士リュミナスは、その場に訪れた依斗を見て少なからず安堵する。
「顔色は良さそうだな」
「え、俺そんな顔色悪いですか」
「いや。ヨリトはこのところ頻繁に瘴気を祓ってるだろ。聖剣を使うと魔力の消費が大きいどころか、枯渇すると聞いてるからな」
「ああ。しっかり休んでますから大丈夫ですよ」
「だったら良いんだがな」
 リュミナスはそう言いながらも、心配する視線を依斗に向け、そういえばジレーザの姿がないことにようやく気付いて首を傾げる。
「最高神官様はどうした。一緒じゃないのか」
「ジレーザですか? ハリスやネルディムも居ませんし、負傷者の手当てに行ってるんじゃないですかね」
「そうか。確かに今回は被害が大きいからな」
 テトの村を襲った瘴気は、まるでこの先に起こることの調整のように、その場にいた家畜までをも巻き込んで動物が暴走して襲い掛かる、最悪の状況を生んだ。
 そしてテトの村が位置するところは、予測通り結界を張るであろう区域に存在し、読み通りであればここを終点として結界は完成するはずだ。
「どうしたんだヨリト。やっぱり顔色が良くないぞ」
 心配するリュミナスに大丈夫だと答えると、依斗はいよいよかと唇を噛む。
 あくまでも仮定でしかない結界や、それが生み出すであろう民衆を巻き込んだ瘴気被害については、依斗とジレーザの二人しか把握していない。
 そしておそらく、この一帯に溢れる瘴気を祓うことでまた、依斗は聖剣が引き起こす魔力の枯渇に陥ることを避けられない。
 意識してしまうとドッと汗が吹き出し、心臓が暴れるように鼓動が早くなる。
「これは、珍しいこともあるものですね」
 依斗が頭の中まで真っ白になった時、その様子を小馬鹿にしたような気安い声がして、緊張で強張っていた体が軽くなっていく。
「最高神官様、負傷者の手当ては終わったのか」
「ええ。あとは他の者たちに任せておいて大丈夫でしょう。それにヨリト様の御出陣の前に、捧げる祈りが御座いますので」
 ジレーザはそう答えて依斗に目配せすると、ありもしない祈祷の話を口にする。
「なんだヨリト、そんな儀式があるのか」
「ああ、おまじない的なものですよ」
「最高神官様の祈りならご加護もあるさ」
 依斗が笑って曖昧に答えると、リュミナスは疑うそぶりもなく、行きましょうかと口を開いたジレーザと依斗を見送るように片手を挙げた。
 ジレーザに促されてその場を離れると、天幕の中に誘い込まれていきなりキスで唇を塞がれた上に、魔力が流れ込んできて、依斗は慌ててジレーザを押し退ける。
「ち、ちょ、なに。なんなの」
「いいから黙ってろ」
 再び唇を塞がれると、舌が挿し込まれた濃厚なキスは甘く劣情を煽るほど激しく、身体の中で燃え上がる熱が一気に下半身に溜まっていく。
「ああっ、もう!」
 依斗はジレーザを掻き抱くと、臀部を激しく弄りながら、煽られっぱなしから反撃するように噛み付くようにキスをして、激しく舌を動かして口の中を掻き回す。
「んふっ」
 天幕の壁際に追い詰められたジレーザが、必死に胸を叩くのにも構わずに、依斗は鈍い水音を立てて火がついた体を責め立てるように激しいキスをする。
「おいバカ、ンッ。調子に乗るな。魔力を、流すだけだ」
「ん? なんで」
 尋ねながらもキスをやめずに舌を絡めると、溢れ出てくる唾液を吸い上げるように厭らしい音を立てながら、ジレーザの服の中に手を忍ばせて敏感になった胸元を悪戯に弄ぶ。
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