私に・・・大切なモノをください。

瑞樹 透夜

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今のハナシ29

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~キッチン~

んーまぁ大体のものは作れるね。

「響介ー何食べたい?」

「なんでもいいー」

何でもいいが一番困るんだけど・・・

適当に何か作るか。



~二十分後~

「出来た。」

今日はチャーハンと中華スープとサラダ。

多分美味しい。

「響介。出来たよ。」

「お、美味そう。」

「「いただきます。」」

「・・・うっま。やっぱり篠は料理上手だな。」

良かった。

「華恋さんも上手だったしなぁ・・・」

「お母さんはお菓子作りも上手だった。」

いつも私たちのお菓子作ってくれてたし。

「覚えてるのか?」

「え?うん。お母さんが料理上手だったおかげで私にも遺伝したんだよきっと。」

「そうか。」

急にどうしたんだろう。

すっごい悲しそうな、苦しそうな顔してる。

・・・・・・そっか、私に気を使ってるのか・・・

「私は・・・大丈夫だよ。覚えてるけど、悲しいけど、あの日助けてくれた響介がいるから。」

私はそう言って笑う。

「ありがとな。」

響介の気が紛れたみたいでよかった。

「さて、私はちょっと外行ってくる。一時ぐらいには帰ってくるから。」

「分かった。行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」



~煌龍幹部室~

ガチャ

「篠っ!」

私がドアを開けると白が一番に気づいて抱き着いてくる。

「久しぶり・・・でもないか。零斗。総長、まだ決まらないの?」

「いえ、ほぼ決まっています。その人が良いと言ってくれればそれで決まりです。」

「誰?」

私がそう言うとみんなは顔を見合わせる。

誰が言うか迷ってるみたいだった。

「・・・・・・篠葉さん・・・あなたです。」

結局零斗がそう言った。

私は・・・

「出来ないよ。やらない。私に双が守ってきたこの仲間を率いていくなんてこと出来ない。私にはその資格なんてない。」

「「そんなことないよ。」」

蒼と白がそう言った。

「どうして?いつも言ってるでしょ?双が死んだのは私のせいだって。私が双と同じ立場に居れるわけない。」

「篠を庇ったからって篠のせいになるわけじゃない。」

「俺達は篠ちゃんが良いと思ったから総長にしたい。総長もきっとそう思ってる。だって今この中で一番強いのは篠ちゃんだよ?」

「けどっ・・・!」

「こちらこそ何度も言っているでしょう。あなたは悪くないしみんなも憎んでなどいない。この倉庫に居る全員に言ったんです。篠葉さんは私たち幹部の誰よりも強いと。そして聞きました次の総長は誰がいいかと。全員こう言ったんですよ。一番強い奴。と。あなたは姫である以前に私たちの仲間です。仲間の中で一番強い奴が次の総長だと決めたのは双さんなんです。だからあなたには総長になる資格があります。私たちを、双さんを超える力があるんですから。あなたはただ守られるだけの弱い人じゃなく、人を守れる力を持っているでしょう。今度は幸せを奪われるだけではなく自分で守りなさい。あなたにはそれだけの力がある。ね?篠葉さん。私たちの総長になってください。」

私が・・・守る・・・?

守れるだけの力がある・・・?

今度こそ大事な家族を・・・仲間を・・・守れる・・・?

「・・・・・・分かった。やる。今度こそ守って見せる。」
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