私に・・・大切なモノをください。

瑞樹 透夜

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今のハナシ21

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~屋上の扉前~

「こんなところで何してるの?」

「え・・・?あ・・・」

「ごめん。自己紹介がまだだった。初めまして。中等部の教師、御剣 零夜(みつるぎ れいや)です。さっき理事長室に呼ばれてたの君たちでしょう?あまりにも来ないから探しに来たんだけど、なんで来ないの?・・・理事長!いましたよ!」

「今行く!」

「え・・・理事長・・・?」

あ、来た。

「とりあえず理事長室まで来てくれますか?」

おっと、響介の笑顔も黒くなってる。

普通に怖い。

「先戻って準備してる。」

私は響介の耳元で囁く。

「了解。よろしくな。」



~理事長室~

「ただいま。」

「お帰りなさい。理事長は?」

「後の四人連れてすぐ来る。俺はその前に準備。」

「手伝います。」

梨々花は・・・甲斐谷先生と話してるから大丈夫だね。

「じゃあ、登校時間の下駄箱、二年B組の教室、放課後の下駄箱と各屋上の扉前を先週から今週分まで録画お願い。他にも気になったところとかもね。」

「分かりました。」

そう言って優はすぐにパソコンに向き合う。

私は他にやることあるしね。

たしか二年B組の連絡網は・・・あったこれだ。

「甲斐谷さん。雜賀さん、深山さん、三河さん、柏木さんたちの親御さんに連絡入れてくれますか?梨々花。話そう?」

「分かりました。すぐ戻ります。」

「よろこんで。」

「パソコンやりながらでもいい?」

裏サイトのこと調べなきゃだし。

「はい。」

「ありがとう。梨々花はさ、叔父さんのこと嫌い?」

「・・・嫌いじゃ・・・ないです。・・・叔父さんは私に優しくしてくれます。けど・・・叔父さんはほとんど家にいないので・・・叔母さんと従弟と住んでるんです。私にだけ当たりが強くて・・・まぁ・・・当然ですけど・・・私は役立たずですし叔母さんの実の娘でもない。だから・・・」

「愛されなくて当然?」

「・・・はい。」

私と同じ。

響介が私を育ててくれてた。

だけど響介にとって私は親友の娘なだけのただの他人で、私は居心地が悪かった。

だけど、響介は私にお父さんと同じくらいの愛情を注いでくれた。

お母さんと同じくらいの優しさをくれた。

だから私は生きていられる。

「梨々花。昔話をしよう。・・・俺の両親は小さい頃に死んだ。だけど俺の事引き取って色んな手続きをしてくれた人がいた。その人は俺の父さんの友達で、何回も会ったことがあった。俺も最初は居心地が悪かった。あの人にとって俺は親友の息子なだけのただの他人だから。俺の髪の色見たでしょ?俺は気味悪がられて酷い扱いもされた。それなのにあの人は俺のこと気味悪がらないで愛してくれた。優しくしてくれた。俺はそれで救われた。たった一人だけでも優しくしてくれるなら俺は良いと思った。梨々花の場合血がつながってる。俺より近くに感じられるんじゃない?俺は今でもあの人だけを信頼してる。梨々花も一人だけでもそんな人がいるんじゃないか?俺は誰にでも愛される権利があると思う。」

「・・・叔父さんは・・・私を愛してくれるんでしょうか・・・私を救ってくれるんでしょうか・・・」

「信じればいい。自分に優しくしてくれた人のことを。」

「・・・はいっ・・・!」
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