私に・・・大切なモノをください。

瑞樹 透夜

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姫と言うソンザイ1

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私には荒れていた時期があった。

私は毎日外に出ては喧嘩ばかりしていた。

自分が何者かも解らなくて、

自分の存在意義が解らなくて、

どうすればいいか迷っていた。

いつも通り路地に行って悪いことしてる奴を殴っていた。

「あんたたち何やってんの。」

「あ゛あ゛?なんだこのクソガキ。」

「だから何してんだって聞いてんだよ。」

こいつらは言葉遣いは普通だけど目は虚ろだ。

(どうせクスリでもやってんだろうな)

「あーあ。お前のせいで逃げちゃったじゃねーか。どうしてくれんだよ。」

いつの間にか捕まっていた女性は逃げ出していた。

「知らねぇよそんなの。」

「お前らこいつを捕まえろ!」

男どもは私を捕まえようとしていた。

私は周りを囲まれて逃げ出せなかった。

そんな時に声が聞こえた。

「なーにやってんの?」

優しくて、でも少し威圧するような声。

「あ゛?ひっ・・・」

「寄ってたかって女の子をイジメて恥ずかしくないの?」

(お・・・んな?俺の・・・ことか?)

「「「ひぃっ・・・すみませんすみませんっ」」」

「謝るのは僕じゃなくてこの子にね?」

(かばってくれたのか?)

「「「すみませんでしたー!!」」」

男どもはそういって逃げて行った。

「大丈夫?」

彼は私に優しく話しかけた。

「あぁ。もとは俺から仕掛けたしな。」

「それで逃げられなかったら元も子もないけどね?」

「べつに・・・俺が生きてる意味なんてないし逃げれなくてもどうでもいい。」

「そんなこと言っちゃ駄目だよ。人は誰しもが生きる意味を持っているんだから。」

そんな感じのこと言われたのは二回目だった。

「それにさ・・・君は可愛いんだから人生棒に振っちゃもったいないよ?」

可愛いとか言う人なんて響介ぐらいしかいなかった。

けれど彼はいとも簡単に言ってのけた。

「てかあんた誰。」

「僕?僕は鍵谷 双(かぎたに そう)。君は?」

私は彼のことを信じ切れていなかった。

「篠葉。」

「篠葉ちゃんね。」

彼はそのことを分かっているのか名字を聞くことなんてしなかった。

「僕の家来ない?」

彼は突然そんなことを言い出した。

「行ってやらないこともない。」

今思えばなぜ初対面の奴の家に行こうと思ったのかが分からない。

「ふふ。じゃあ行こっか。」

家には彼のバイクで行った。

初めて乗るバイクは楽しくて、また乗りたいと思った。

「着いたよ。」

私はまだ乗っていたかったが降りることにした。

「何飲む?オレンジと炭酸とイ「イチゴ」早いね。はいどうぞ。」

「ん。」

私は彼の家で何もせずじっとしていた。

「ふぁー眠くない?」

彼が話しかけてくれるまで何もしないでいた。

「ねむい・・・」

「じゃあ寝よっか。おいで。」

帰らないといけなかったはずなのに帰りたくなかった。

彼ともっといたいと思った。

「一緒に寝よ?」

誰かと寝る夜は心地よくて私はすぐ眠りに着いた。



ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

篠葉の話ですが、現在の話ではなくて昔の話にしてみました。

いつもは「ハナシ」なんですが、今回のは「ソンザイ」にしました。

「姫だったころのハナシ」でもよかったんですが、

やっぱり「ソンザイ」のほうがかっこよかったのでこっちにしました。

次も「姫と言うソンザイ」を書きますので、読んでください。
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