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「付き合うとかじゃなくて
単純に愛が欲しい、っていうか…」
でももう一度口にしてしまったら止めることも出来なくて。
「それはセフレが欲しいってこと?」
「ち、ちがうのっ!
なんて言うのかな…、
ほら、そういう愛が欲しいんじゃなくって……、」
うう…、
なんか何が言いたいのか分かんなくなってきた。
そもそも自分でもよく分かんないのに
他人に分かってもらおうなんて無謀か…。
ガックリ…、と肩を落として
目の前の枝豆をイジイジすると
「でも俺もそういうの欲しいな」
「え?」
まさかのその肯定発言に
持ち上げた枝豆を落っことしそうになった。
「俺昔、実家で犬飼ってたんだけどさ
そういう無償の愛ってーの?
そういうの欲しいなーって」
「あ、分かるかも!
ペットに対する愛情っていいですよね」
「でもさ、今一人暮らしだしなかなかペットとか飼えなくて……、
そこまで言いかけると
何かを思いついたように顔を輝かせ
持ってたビールをドンッ、とテーブルへ置いた。
「……へ?」
そのあまりの勢いに
何事かと、反射的に身を引くと、
「ペット、ならね?」
「……は?」
「俺の、ペットにならね?」
衝撃的な一言に間抜けな声しか出なかった。
「ちょっ、へっ?
なに、…?!」
困惑する私とは裏腹に
身を乗り出しながら、今日一楽しそうに話し始めた。
「ペットになってくれたらさ
そういう愛でお互い満たされる気しねぇ?」
「いやいや、おかしいでしょ?!」
「そう?
うちに来てくれたら
毎日うまい肉食わしてやるし
生活費とかもいらないし、欲しいもん何でも買ってやるよ?」
「……」
ピクリとその言葉に反応して興味を持ってしまい
少しだけ心が動いた厳禁な私。
「それって、私を全て養ってくれるってこと…?」
「そう。
そん代わり、俺に甘えて愛を与えてほしい」
「甘えて?」
「ほら、犬とか猫とか
ご主人様が全て~!みたいな感じで甘えてきてくれんだろ?」
「う、うん…、」
「それが欲しいんだよ、俺」
「う、うん……、?」
言ってることが
分かるような、分からないような。
ん~と、えっ、待って?
つまりは私が北山さんのペットになれば
ご飯も生活も養ってもらえて
おまけに欲しいものまで買って貰えるの?
・・・甘えるだけで?
「………それはつまり
肉体関係も持つってこと、だよね…?」
状況を理解していくと共に、ひとつ気になること。
甘えるだけでいい、なんてそんな都合のいい話あるわけ、
「いや、それはしない。」
「えっ?!」
ケロッとそう答えた北山さんに拍子抜け、
今度は私が前のめりになった。
「ヤっちゃったらもうそれこそセフレじゃん」
「……確かに。」
「恋愛の”愛”でもなくて
肉体関係の中にある”愛”でもなくて
新しい”愛”見つけてみる?」
真っ直ぐなその瞳を見つめてると
あまりにも綺麗で吸い込まれていきそう。
「こうして出会ったのもなんかの縁だと思うし
今日恋が終わった者同士
新しい愛、始めてみようぜ。」
”何かの縁”
”新しい愛”
その優しい笑顔と、甘い声に
いつの間にかさっきまでの悲しくて苦しい気持ちは消えてて
まるで本当に水に溶けて気持ちが浄化されたみたいに心が潤ってた。
「……うん、始めてみる。」
「まじ?!」
どうなるかなんて分かんないけど
今のままの私でモヤモヤしているより
この人と新しく何かを見つけたい。
「……よろしくお願いします、ご主人様」
「うしっ!
じゃあ今日からペット、よろしくな」
ペットよろしくな、なんて
きっとこの世で言われたことある人なんていないと思う。
「ふふっ、やばい。
わたし今日からペットか~」
”ペットになる”だなんて前代未聞すぎるのに
なぜだか笑っちゃって。
いま考えると、
結構なお酒で思考回路が鈍ってたんだな。
でももう後戻りは出来なくて
この日から、私のペット生活が始まったのです。
単純に愛が欲しい、っていうか…」
でももう一度口にしてしまったら止めることも出来なくて。
「それはセフレが欲しいってこと?」
「ち、ちがうのっ!
なんて言うのかな…、
ほら、そういう愛が欲しいんじゃなくって……、」
うう…、
なんか何が言いたいのか分かんなくなってきた。
そもそも自分でもよく分かんないのに
他人に分かってもらおうなんて無謀か…。
ガックリ…、と肩を落として
目の前の枝豆をイジイジすると
「でも俺もそういうの欲しいな」
「え?」
まさかのその肯定発言に
持ち上げた枝豆を落っことしそうになった。
「俺昔、実家で犬飼ってたんだけどさ
そういう無償の愛ってーの?
そういうの欲しいなーって」
「あ、分かるかも!
ペットに対する愛情っていいですよね」
「でもさ、今一人暮らしだしなかなかペットとか飼えなくて……、
そこまで言いかけると
何かを思いついたように顔を輝かせ
持ってたビールをドンッ、とテーブルへ置いた。
「……へ?」
そのあまりの勢いに
何事かと、反射的に身を引くと、
「ペット、ならね?」
「……は?」
「俺の、ペットにならね?」
衝撃的な一言に間抜けな声しか出なかった。
「ちょっ、へっ?
なに、…?!」
困惑する私とは裏腹に
身を乗り出しながら、今日一楽しそうに話し始めた。
「ペットになってくれたらさ
そういう愛でお互い満たされる気しねぇ?」
「いやいや、おかしいでしょ?!」
「そう?
うちに来てくれたら
毎日うまい肉食わしてやるし
生活費とかもいらないし、欲しいもん何でも買ってやるよ?」
「……」
ピクリとその言葉に反応して興味を持ってしまい
少しだけ心が動いた厳禁な私。
「それって、私を全て養ってくれるってこと…?」
「そう。
そん代わり、俺に甘えて愛を与えてほしい」
「甘えて?」
「ほら、犬とか猫とか
ご主人様が全て~!みたいな感じで甘えてきてくれんだろ?」
「う、うん…、」
「それが欲しいんだよ、俺」
「う、うん……、?」
言ってることが
分かるような、分からないような。
ん~と、えっ、待って?
つまりは私が北山さんのペットになれば
ご飯も生活も養ってもらえて
おまけに欲しいものまで買って貰えるの?
・・・甘えるだけで?
「………それはつまり
肉体関係も持つってこと、だよね…?」
状況を理解していくと共に、ひとつ気になること。
甘えるだけでいい、なんてそんな都合のいい話あるわけ、
「いや、それはしない。」
「えっ?!」
ケロッとそう答えた北山さんに拍子抜け、
今度は私が前のめりになった。
「ヤっちゃったらもうそれこそセフレじゃん」
「……確かに。」
「恋愛の”愛”でもなくて
肉体関係の中にある”愛”でもなくて
新しい”愛”見つけてみる?」
真っ直ぐなその瞳を見つめてると
あまりにも綺麗で吸い込まれていきそう。
「こうして出会ったのもなんかの縁だと思うし
今日恋が終わった者同士
新しい愛、始めてみようぜ。」
”何かの縁”
”新しい愛”
その優しい笑顔と、甘い声に
いつの間にかさっきまでの悲しくて苦しい気持ちは消えてて
まるで本当に水に溶けて気持ちが浄化されたみたいに心が潤ってた。
「……うん、始めてみる。」
「まじ?!」
どうなるかなんて分かんないけど
今のままの私でモヤモヤしているより
この人と新しく何かを見つけたい。
「……よろしくお願いします、ご主人様」
「うしっ!
じゃあ今日からペット、よろしくな」
ペットよろしくな、なんて
きっとこの世で言われたことある人なんていないと思う。
「ふふっ、やばい。
わたし今日からペットか~」
”ペットになる”だなんて前代未聞すぎるのに
なぜだか笑っちゃって。
いま考えると、
結構なお酒で思考回路が鈍ってたんだな。
でももう後戻りは出来なくて
この日から、私のペット生活が始まったのです。
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