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「ねぇ北川くん、飲み直さない?」
「え?俺っすか?」
会社の飲み会帰りそう声をかけてきたのは
三つ年上の先輩のカナさん。
先輩な割には抜けてたりするし
どこか掴めない先輩は、ちょっと気になる存在だったりするから
急に声をかけられて驚いた。
「うん、飲み足りないな~って思って」
「いいっすよ、俺もまだ飲みたいし」
「やった」
飲み足りないのは分かる、けど
なんで俺なんだろ。
どこで飲もっか~ってもう歩き出す先輩に
俺も隣で肩を並べて歩く。
少しふらついてる足元が危なかっしくて
大丈夫っすか?って声をかけるけど
大丈夫~ってふにゃふにゃに笑うだけ。
「…………で、なんでラブホ?!」
「ん?
だってどこ行っても混んでるし~
ここならゆっくり飲めるでしょ」
「いや、まぁ、そうだけど………」
可愛らしい部屋だけど
ちゃんとラブホだし。
お風呂広い~ってキャッキャしてるその姿を見ながら
とりあえず買い込んできた酒やつまみをテーブルに置いた。
「……先輩って天然?」
「別に~普通だよ?」
普通の女が後輩を連れてラブホに来るだろうか。
いや、来ねぇだろ。
「とりあえずシャワー浴びてもいい?
仕事帰りそのまま飲み会行ったから、さっぱりしたいな」
「いいっすけど……」
「じゃあ、お先に」
ルームウェアも可愛い!ってウキウキで浴室へと入っていって
すぐに聞こえてくるシャワーの音。
それを耳にしながら
突っ立ったまま、手持ち無沙汰に辺りを見渡した。
「なんだ、この状況…………」
全く男として見られてないのか、
その気があって俺を連れてきたのか。
………その気がある様には見えねぇけど。
とりあえず落ち着くためにも
適当にベッドに座って
買ってきた缶ビールを開けて喉に流し込んだ。
━━━
「はぁ~、さっぱりした」
暫くすると戻ってきたカナさんは、
「北川くんも入る?
さっぱりするよ~」
「え?おれ?」
「うん、遠慮しないでどうぞ」
別に遠慮してるわけではないんだけど………。
落とされたメイク、濡れたストレートな髪の毛
ルームウェアで剥き出しになってる生足
俺を見るいつもより幼い顔立ち。
「じゃあ…、入ってきます」
「うん、あっ、私も飲もーっと」
完全無防備すぎるその姿にため息が出た。
シャワー浴びてきなよ、とか
その無防備なままベットに座って缶ビールを飲む姿とか
俺だけ意識してるみたいで
なんだか一周まわって腹たってきたぞ。
「ったく、なんなんだよ………」
まだ甘い香りが残る広い浴室で
ガシガシ体を洗う。
なんだかもう色々考えるのも無駄な気がしてくるし
とりあえず、なんも考えずに飲むか。
「……………、」
って思ったものの
風呂から上がると、ゴロンとベットにうつ伏せに横たわって携帯を弄ってる。
「おかえり~」
いやいやいや、なんなのまじで。
とんだ召し上がれ状態な姿に
さすがに絶句した。
「カナさん、まじで酔ってますよね……?」
「え?別にそこまで酔ってないよ?
それより見て見て、これ。」
ポンポン隣を叩いて携帯の画面を見るように促されるけど
隣に来いってことかよ………。
勘弁してくれよ、って思いながらも
「なんっすか?」
って、くっついちゃうけど。
もうどうなっても知らん!!
「これ、最近ハマってる猫の動画~。
可愛くない?」
「可愛い………、けど、」
正直目の前の画面でニャーニャーしてる猫よりも
隣でいい匂いをさせてるカナさんのがよっぽど可愛いんだけど。
画面から目を逸らしてカナさんの横顔をじっと見つめると
それに気付いた彼女が、ん?って首を傾げて見つめてくる。
「え?俺っすか?」
会社の飲み会帰りそう声をかけてきたのは
三つ年上の先輩のカナさん。
先輩な割には抜けてたりするし
どこか掴めない先輩は、ちょっと気になる存在だったりするから
急に声をかけられて驚いた。
「うん、飲み足りないな~って思って」
「いいっすよ、俺もまだ飲みたいし」
「やった」
飲み足りないのは分かる、けど
なんで俺なんだろ。
どこで飲もっか~ってもう歩き出す先輩に
俺も隣で肩を並べて歩く。
少しふらついてる足元が危なかっしくて
大丈夫っすか?って声をかけるけど
大丈夫~ってふにゃふにゃに笑うだけ。
「…………で、なんでラブホ?!」
「ん?
だってどこ行っても混んでるし~
ここならゆっくり飲めるでしょ」
「いや、まぁ、そうだけど………」
可愛らしい部屋だけど
ちゃんとラブホだし。
お風呂広い~ってキャッキャしてるその姿を見ながら
とりあえず買い込んできた酒やつまみをテーブルに置いた。
「……先輩って天然?」
「別に~普通だよ?」
普通の女が後輩を連れてラブホに来るだろうか。
いや、来ねぇだろ。
「とりあえずシャワー浴びてもいい?
仕事帰りそのまま飲み会行ったから、さっぱりしたいな」
「いいっすけど……」
「じゃあ、お先に」
ルームウェアも可愛い!ってウキウキで浴室へと入っていって
すぐに聞こえてくるシャワーの音。
それを耳にしながら
突っ立ったまま、手持ち無沙汰に辺りを見渡した。
「なんだ、この状況…………」
全く男として見られてないのか、
その気があって俺を連れてきたのか。
………その気がある様には見えねぇけど。
とりあえず落ち着くためにも
適当にベッドに座って
買ってきた缶ビールを開けて喉に流し込んだ。
━━━
「はぁ~、さっぱりした」
暫くすると戻ってきたカナさんは、
「北川くんも入る?
さっぱりするよ~」
「え?おれ?」
「うん、遠慮しないでどうぞ」
別に遠慮してるわけではないんだけど………。
落とされたメイク、濡れたストレートな髪の毛
ルームウェアで剥き出しになってる生足
俺を見るいつもより幼い顔立ち。
「じゃあ…、入ってきます」
「うん、あっ、私も飲もーっと」
完全無防備すぎるその姿にため息が出た。
シャワー浴びてきなよ、とか
その無防備なままベットに座って缶ビールを飲む姿とか
俺だけ意識してるみたいで
なんだか一周まわって腹たってきたぞ。
「ったく、なんなんだよ………」
まだ甘い香りが残る広い浴室で
ガシガシ体を洗う。
なんだかもう色々考えるのも無駄な気がしてくるし
とりあえず、なんも考えずに飲むか。
「……………、」
って思ったものの
風呂から上がると、ゴロンとベットにうつ伏せに横たわって携帯を弄ってる。
「おかえり~」
いやいやいや、なんなのまじで。
とんだ召し上がれ状態な姿に
さすがに絶句した。
「カナさん、まじで酔ってますよね……?」
「え?別にそこまで酔ってないよ?
それより見て見て、これ。」
ポンポン隣を叩いて携帯の画面を見るように促されるけど
隣に来いってことかよ………。
勘弁してくれよ、って思いながらも
「なんっすか?」
って、くっついちゃうけど。
もうどうなっても知らん!!
「これ、最近ハマってる猫の動画~。
可愛くない?」
「可愛い………、けど、」
正直目の前の画面でニャーニャーしてる猫よりも
隣でいい匂いをさせてるカナさんのがよっぽど可愛いんだけど。
画面から目を逸らしてカナさんの横顔をじっと見つめると
それに気付いた彼女が、ん?って首を傾げて見つめてくる。
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