魔法使いの相棒契約

たるとたたん

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二章 相棒契約

✿ 第9話:眩しい光

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 明日は土日休み。

 金曜日というのは、時間に縛られることなく自由になれる最高の放課後。私もそんな放課後を謳歌する……はずだった。



 そう、私は運悪く春風はるかぜ菜乃花なのかとバッタリ出会ってしまったのだ。
 とは言ってもこれは半分私が仕組んだようなもの。バッタリという表現は、適していないかもしれない。



 この数日間、彼女の視線を感じなかった日はなかった。
 まるで目を逸らしたら負けるとでも思っているように、ひたすらこちらを見つめてくる。
 まさか数日間それが続くとは思わなかったけど。


 彼女の私に対する執着はどれほどのものなのか。
 どうしてそこまで拘るのか。


 相変わらず、私にはそれが理解できなかった。


 直接文句を言うにも、彼女はおそらく理由があって私に付きまとっている。そのせいなのかは分からないが、何となく「彼女を振り払おう」という気持ちも無くなってしまった。


 そこで私は、誰も来ないような場所へ行こうと決意した。学園の森は恐ろしく、授業以外では人があまり行かないと兄から聞いていたからだ。

 だからそこに行くのを見れば、彼女もノコノコとついて来ない。恐怖心から逃げ出すだろうと、そう思っていた。

  

 まあ、その考えも全てが水の泡と化してしまった訳だけど。

 それも仕方がない。まさか彼女があんな所まで着いてくるとは思わなかったのだから。
 わざわざ森の中まで着いて来るから、本気で私を消したくなったのか……なんて勘違いも生まれたわけで。
 





 そして私は、なぜか彼女に手を握られながら「相棒になって!」などという訳の分からない提案をされ……今に至る。


 その瞬間、私は思考を総動員しつつ、あらゆる角度から考えを巡らせた。しかし、それでも彼女の言動について理解することはできない。
 とりあえず私は、いまの素直な感情を伝える事にした。





「……冗談はやめてください。
 そんなこと、できるわけがないでしょう?」





 私がそう言うと、彼女はガーンと効果音が付きそうなくらい、あからさまに顔を歪ませた。



「なっなんでぇ!?」
「何で、と言われても……と言うか、そもそも相棒ってなんなんですか」
「え?君ってすごく頭良いのに、そう言う言葉の意味は知らないの?」
「言葉の意味は分かってます!貴女と私が相棒になると言うのが、どういう意味なのかと聞いてるんです!」



 全く、失礼な人だ。私がそんな単語の意味を知らないわけがないじゃないか。
 相棒……と言うと、少々堅苦しいかもしれないが、要するに〝何かに対して一緒に行動し、共に向き合う仲間やパートナー〟を指す言葉だ。
 その意味は、十分に理解している。



「とにかく、私は嫌です」
「何で嫌なの!お願いしますっ!」
「嫌は嫌なので、理由はないです」
「ねぇ~えお願ぁあ~い」
「だから……もう、何がしたいの本当に!」



 私は彼女に握られた手を振りほどこうと試みた。しかし、その握られた力は驚くほど強く、私の指は全く動かない。
 こんな状況にあっても非力な自分には、本当に心底がっかりさせられる。指先に力を入れても、まるで無力な人形のように、彼女の手の中で固まっている。



「う、だって君が自分の気持ちを大切にって言ったんじゃない!だから、こうして実行してるのに」

「今やらなくていいですよ!大体、なんのメリットがあって私と相棒になるんですか。私は貴女を殺める存在なんです。関わったって……何もいい事ないでしょう」

「そんな事ないよ!」



 そう言うと、彼女は握りしめていた手をゆっくり緩める。

 しかしその瞬間、彼女の表情は突然真剣なものに変わり、私はその顔に引き込まれるように視線を奪われてしまった。
 気がつけば私は、彼女の手を振りほどくことを忘れていたのだ。



「今だって貴女に救われたの、私は君と一緒に居るべきだよ!」
「いや、何もしてないですけど」
「してるしてるしてるして」
「耳元でうるさいから!ちょっと……もう、とりあえず静かにしてーっ!」



 なんなんだこの子は。本当におかしいんじゃないのか。

 さっきまでは、どこか弱々しい雰囲気を漂わせていたはずなのに、突然オウムのように同じ言葉を永遠に繰り返し始めて。全く、こんなの、輝をお手本にせずとも充分に強かじゃないか。

 むしろ、彼女が輝を手本にしたら、その影響を受けて、輝の強かさがさらに増幅されるのではないかと心配になる。



 ……どうしよう、それは本当に嫌すぎる。



「はぁ……とにかく今は門限まで時間がありません。このままじゃ埒が明かないですから、続きは後日話をしましょう」

「仕方ないなぁ。じゃあ、明日は?土曜日だし、校舎にそこまで人は居ないよ。それか外で会うのでも良いし」

「うーん……」



 土曜日は、図書館に行くか実家に帰るかで悩んでいた。しかし、どちらの予定も未確定な予定。
 正直なところ、私はわざわざ休日に彼女に会いたくない……と言う気持ちが強かった。
 
 だがこれを聞き入れないと、彼女がまた前のように、ジロジロと私を見つめたり、見張りや監視のような行動を取るのが目に浮かぶ。平日にそれをされるのは、もう懲り懲りだった。
 どうせ逃げられないのなら、諦めて彼女の提案を受け入れるしかないか……。


 私は決心し、彼女の提案を受け入れることにした。



「わかりました、そうしましょう」
「やったー!じゃあ連絡先交換しよう!ほらスマホ出して……」
「え?!必要ないで、」
「お願いお願い、絶対必要だからあ~」
「……はぁ、わかりましたよ」



 あぁ、まさか聖女様の連絡先をスマホに入れる日が来るなんて……今日の私はとことんついてない。
 心のどこかで、冗談のように感じていたこの状況は、まるで運命の悪戯だ……なんて思ってしまう。

 聖女様と呼ばれるその存在は、私にとっては近付いてはいけない存在。まさかその手に触れるとは夢にも思わなかった。


 しかし、現実は残酷だ。私のスマホの画面には、彼女の名前が浮かび上がる。
 まるで、避けられない運命みたいに。

 ……こんなことになってしまったのは、何かの罰なのだろうか。



 私の連絡先を受け取ると、彼女は明るい声を放った。




「スマホで時間とか場所とか決めよう。絶対来てね。じゃないとまた見張りしちゃうからっ!じゃあね~!」 




 ……って、本当に私の予想通りじゃないか。

 



 *





「……あれ…………?」



 時刻は6時。いつも目が覚める時間と同じだが、今日はどこか妙に早い気がする。
 しかし違和感の正体には、直ぐに気付いた。



「夢……見てない……」



 それは、私がほぼ毎晩見る悪夢。大切な人たちが傷つく、恐ろしい光景が繰り広げられる夢だ。

 しかし、私にとってこの悪夢は、いつも現実と隣り合わせだった。毎朝、目覚ましの音に驚いて目を覚まし、冷や汗が止まらない、不快な目覚め。眩しいはずの太陽の明るささえ感じられない、仄暗い闇の中で目を開ける日々だった。

 なのに、今日はそれがない。

 どうして……?


 その時、スマホの通知音が響き、私の思考を現実へと引き戻した。こんな時間に、一体誰からのメッセージなのだろうと画面を覗き込むと、そこには一つの文字が浮かび上がっていた。



『おはよう!起きてる?』



 あぁ、そうだ。昨日連絡先を交換したんだっけ。

 彼女が立ち去って早々に、私は彼女に『明日になるまで何も送らないでください。じゃないと行きません』と送信し、スマホの通知を切っていた。
 その約束を彼女は守ってくれたらしい。

 私が『今起きました』と返事をすると、すぐに『今日は秘密の場所で会おうね!絶対だよ~!』という返答とともに、陽気なスタンプが送られてきた。



「呑気だな……私と2人になるのがどう言う事か、根本的に理解出来てないの?この子は……」



 呆れた言葉が口から漏れ、私は制服に着替えるためにベッドから体を起こした。





 *

 



「おはよう、花柳はなやぎさん!」 



 元気な声が空気に響き渡る。私の耳には、その声が心地よくもあり、同時に不安を掻き立てるものでもあった。
 私は思わず口を開いて、彼女に注意を促す。 



「ちょっと、静かにしてください。朝早いからって、誰が居るとも限りません」
「えー?誰も居ないって」 
「小学棟ならまだ居なくても、中高生は部活に来る生徒もいるんです。朝練とか、あるかもしれないんですから」
「あ~そっか……じゃあ、小さく喋るね」



 そう言いながら、彼女はケラケラと笑う。

 その笑顔は、無邪気で純粋なもののように見えるが、果たして彼女は自分の目の前にいるのが、彼女を殺しかねない存在だということを理解しているのだろうか。あるいは、それを理解した上でのこの振る舞いなのか。

 私は、彼女が昨日施していた〝闇の目眩し〟の魔法をすぐに使った。こちらにも先生が来るかもしれないし、危険な状況を招くことは避けたいのだ。



「あれ、ちゃんと闇魔法も使えるんだね」
「当たり前です。私は闇魔法師なんですから……」



 言葉を交わすと、彼女はフワッと穏やかな笑顔になった。
 彼女の表情には、やはりあの廊下で出会った時のような取り繕った笑顔は見当たら無い。その事実が、私の心を不思議な感情で満たしていく。

 この気持ちが何なのか、体に満たされたコレの名前が、私には靄がかかったみたいに分からなかった。




「え、ここですか?」 



 私は驚きの声を上げた。目の前に広がるのは、想像していた小学棟の空き教室ではなく、特別教室棟だったのだ。

 特別教室棟には〝第1棟〟と〝第2棟〟がある。

 現在使用されているのは、ココから離れた場所にある第2棟。古い方である第1棟は形は残っているものの、使用はされていないのだ。



「そうだよ!ここなら人居ないでしょ!」
「いや、空き教室って……特別教室棟じゃないですか」 
「でも誰も来ないよ?第2棟は来るだろうけど、そっちは離れてるからココは見えないし」



 と彼女は自信満々に言い放つ。彼女の楽観的な態度には少し戸惑いを覚えた。



「あの、春風さん……そもそも、第1棟は鍵で施錠され……」 



 その瞬間、彼女は杖をひょいっと振り、魔法をかけた。「〝闇の解錠〟」という呪文が響くと、私はその場で真っ青になる。閉められた鍵を魔法で空けるなんて、絶対にやってはいけないことだ。これは明確な校則違反だ。



「ちょ……は、何してるの!?」 
「え?いや、昨日見た本にあったからさ~!『とても難しい魔法。悪用厳禁』ってやつ」
「目の前で悪用してますけど。と言うか、校則違反ですから!」 



 私がそう言うと、彼女は「ちっちっち、分かってないな~」と呟きながら、人差し指を左右に揺らす。なんだか無性に腹立つけど、とりあえずそれはスルーした。



「知らないの?花柳さん……仕方ないから教えてあげるね。この世の校則というものは、全て破るために存在するんだよっ!」 
「………………。」



 ……いらないですから、そのキラキラ。全部まとめて仕舞って下さい。
 


 そして私は心の中で強く反論した。そんなことは絶対にないと。


 もし校則が破るために作られているのなら、最初から存在する必要はないのだ。これは全国の校則を守る学生たちの前で土下座して謝罪した方がいいレベルの発言だと思う。



「てか、君だって昨日違反してたじゃん。人の事言えないよ?」 
「う……もう……わかりましたよ、着いていきます」
「やったー!これで共犯だね?」 



 それは勘弁してほしい……。

 心の中でため息をつきながら、私は彼女の後に着いていくことにした。




 棟の中のホコリはあまりない。おそらく定期的に掃除がされているのだろう。陽の光が差し込み、ライトの無い廊下は自然光で照らされる。

 私たちは掃除の時間に自分の使う教室等を掃除する。しかし1000年の歴史は伊達じゃなく、全ての敷地を生徒が毎日掃除をする事は出来ない広さ。

 だから清掃専門で雇われている人たちがいる。
 その人たちは、私たちが授業を受けている間に清掃をしてくれる。とてもありがたい事だ。


 私たちは、一番近い教室に足を踏み入れることにした。ここは特別教室棟と呼ばれているけれど、普段使っている教室と見た目はほとんど変わらない。
 しかし、机と椅子が4つずつしか置かれていなくて、どこか違和感を抱かせるには充分な内装だった。


 教室の扉を静かに閉め、私は彼女と向かい合う。昨日、彼女に杖を向けた時と同じように、私はその顔に向かって問いかけた。



「で、貴女はどうして、私と相棒になりたいんですか?」
「それは……言ったでしょ?君に救われたんだよ」



 彼女は目をキラキラさせながら答えた。

 さも、当然かのように。



「私は何もしてません」
「それでも!私は、君と……」



 言葉が途切れ、沈黙が流れる。

 昨日から彼女は、このことばかりを繰り返している。
 本当に、何もしていないのに……。



「それにね、初めて魔法をちゃんと見たんだ!自分の魔法のことも、しっかり知れたのは初めてで……魔法使ったのも、昨日が初めてだったよ!」

「え、そうなんですか?」



 確かに彼女は、魔法使いの家系ではない。それじゃあ使い方も知らないだろう。入学するまで人間世界にいたのなら、魔法を知らずに試していないのも、無理はない。



「だから君と居たら、私の知らない私のこと、もっとちゃんと知れるかもって思った。私じゃ分からなかったことも、君と居れば答えが見つかる、って……」

「答え…………」

「うん……私は、自分がどんな存在で、なんでこの魔法が使えるのか、どうして魔法使いとして生まれたのか……それが知りたいの。ただ聖女として消費されるなんて嫌!だから君と一緒に、それを探したい!」




 彼女が言うその言葉に、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

 彼女は、私の存在がどれほど危険であるかを理解していない。私と一緒にいる時点で……全然、分かっていないんだ。
 だからこそ、彼女の手を握られると、心の奥で葛藤が渦巻く。



「だから、お願い。私と相棒になろう。相棒になって……私たちの謎も、秘密も、疑問も、全部一緒に答えを見つけようよ!」



 彼女は、昨日と同じように私の手握る。

 でも、まるで割れ物を触るかのように、優しく、丁寧な握り方は、昨日とは全く違うものだ。




 その瞬間、窓から差し込む光が彼女を照らし出した。




 彼女の笑顔は、夜の闇を引き裂く光みたいだ。
 それは暖かくて、優しくて、太陽みたいで……私には、眩しすぎる。


 逆光で影をまとう彼女は、それはもう嬉しそうに微笑んでいた。
 私は、そんな顔を……直視することが出来ない。


 今だけじゃない。

 私はずっと……彼女を見るのが、とても怖い。





 お願い。そんな表情で、そんな態度で、私に話しかけないで。




 何処までも輝いて、遠くの遠くまで照らす太陽。

 私の手なんて、届かない存在。届いてはいけない存在。


 貴女と私は、そうあるべき関係性なの。



 ……私は、貴女をいつか殺してしまうかもしれない。
 だって、この魔法は……私の意思とは関係なく、勝手に暴れる可能性だってあるんだから。
 史実の〝先代聖女様〟の様に、貴女も私が殺めるかもしれない。私は……それが嫌だから。


 つまり私と一緒に居るということは、いつでも死と隣り合わせになると言う事。
 彼女の……魔法使いの神様的な存在である〝聖女様〟の命が、危ないと言う事。

 


 そんなの、私が許せない。



 だから私は、優しく握られたこの手だって、今すぐ振りほどかなくてはいけない。
 ここで会っている事自体、本来なら避けるべき事だったんだ。



 でも、彼女は……誰かに頼まれたからではなく「自分の気持ちを大切にしたいからこうしているんだ」と、言っていた。


 彼女は、勇気を出してこんな行動をしていると言うのに、それを簡単に無下にして良いのだろうか。もしかしたら彼女は、こうする事が初めてなんじゃないか?



 もし、本当にそうなら……。



 ……あぁ……私は本当に、意志が弱い。
 弱くて、脆くて、直ぐに崩れる。昔から何も変わってない。何一つ、変われていない。



 彼女の目を見て深呼吸をし、私はゆっくりと口を開く。




「…………条件が、あるの」
「えっ!?」
「うるさい。静かに聞いて」
「は、はいっ!」



 そう言うと、彼女は口元をきゅっと閉じた。




「まず、貴女とは今まで通り、無駄に学校で会話しないし、今までと同じように接します」
「えぇ~~~」
「し、ず、か、に」
「はい……」



 私が彼女をじっと睨むと、彼女はしょんぼりしながら静かになった。
 少し申し訳ない気持ちになったが、仕方がない。一々反応されたら困るんだから。




「会うのは放課後……とりあえず金曜日とかですかね」
「はい!発言権を求めます!」
「どうぞ」
「水曜日も追加で!」
「……じゃあ、水曜日と金曜日の放課後ですね。学校の時以外で、人が居ない時に会う場合だけは、相棒として会話します」



 そうしないと、この人学校で普通に話しかけてきそうだし。ちゃんと最初からルール付けしておかないと危険だ。
 私たちの関係がバレたら、なんて言われるか分からない。

 春風さんが、私なんか闇魔法師と関わりがあると分かったら……そのせいで、辛い思いをするかもしれないんだから。



「後は……私の魔法の勉強に付き合ってください」
「うん!わかった!」



 彼女は自分だけがメリットを享受しているかのように振る舞っているけれど、私にも一応メリットはある。


 私も彼女の魔法には興味があった。

 光か闇の適性を持つ魔法使いが、対になる魔法を扱えるだなんて……歴史上、こんな事例は一度もなかったはず。


 つまり、私だけのことを調べても意味がない。彼女と私……お互いのことを調べる必要があるのだ。
 彼女の魔法と私の魔法、どちらも調べれば新たな発見があるかもしれないんだから。



 ……自分の〝闇魔法〟を、全て消し去る方法も。





「いいですか?これは相棒契約です」
「相棒……契約?」



 そう言うと、彼女はぽかんと口を開ける。やっぱり、その意味までは理解しないで喋っていたんだと分かった。
 人間世界では、馴染みのない言葉なのかもしれない。



「そうです、口約束とは訳が違いますから。魔法使いにとって相棒契約というのは、命をかけるほど大切な関係を築くことを言うんですよ」

「え、何それ重い。魔法使い怖い」

「それほど、私と貴女の関係性は重いものだと自覚してください。私たちが関わりを持つという事は、命の危険と常に隣り合わせなんですから」



 私が真剣にそう告げると、彼女は少し考えた後、私の目を見てこう言った。



「わかった、契約しよう!私と君は、今日から相棒……だねっ!」
「そうですね……よろしくお願いします、春風さん」
「うん!よろしくねっ花柳さん!」




 私たちは、友達になってはいけない。
 彼女に心を許してはいけない。
 私は、利害の一致で、魔法の勉強と互いの理解の為だけに、関わるだけ。

 これは契約。私と彼女がどんな存在であるのか、この生に何の意味があるのか……私の魔法は、どうやったら消せるのか。


 それを探して見つけ出す為の、ただの相棒契約だ。






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