魔法使いの相棒契約

たるとたたん

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✤ プロローグ

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 __もし、君が「相棒」になってくれなかったら、私はどうなっていたんだろう。


  それを考えるのが怖い。


 それくらい、私は君と居られた時間を愛してるから。

 まるで夢を見ていたみたいな、あの毎日を。





 あの頃の私は、ただ「普通」になりたかった。

 魔法使いであることも、聖女様であることも、光の魔力を持つことも。
 どれも、私が望んで手に入れたものじゃない。



「菜乃花さん。貴女は恐らく〝光魔法師〟や〝聖君様・聖女様〟と呼ばれる、特別な魔法使いです」



 そう告げられてから、私はすべてを失ったと思った。

 家族と過ごす温かな時間も、もうすぐ無くなる。魔法学園に行く事になれば、寮生活になるから。

 家族とは、離れ離れ。
 



「光は、人々を導くもの」

「聖女様は、希望の象徴」




  そんなの、ただの綺麗事だ。


  もしそれが本当なら、どうして私は、こんなに孤独なんだろう。

 どうして、光に苦しめられてるの。

 どうして世界がモノクロに見えるの。

 どうして……こんなにも闇に惹かれたんだろう?




 聖女様は、闇魔法師に殺される。




 たった一度の過去が、私たちの未来を縛っていた。

 でも、私はそんな運命受け入れない。

 私の気持ちを大切にしてくれたから。聖女様春風菜乃花として見てくれたから。

 君に、救われたから。




「お願い……花柳咲来。私と、相棒になってほしいの!」

「……は?」




 私たちは、本当だったら相容れない存在。
 殺される方と、殺す方。

 でも、君はこの世でたった一人の、私の大切な〝相棒〟


 君に出逢えたから、私は私でいられるの。




 始まりはただの口約束でも、今は……もう違う。

 君と見てきたこの世界は、ずっと虹色だったから。





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