それでも世界は美しいってほんと?

輪廻巡

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いろいろ考察してみた。

family name

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ZOCというアイドルグループの、『family name』という曲を知っているだろうか?多分アイドル界隈では結構有名なんじゃないかな?いや、作ってる人が大森靖子さんだからアイドル界隈以外でも有名なのかな?
恥ずかしながら僕は今までZOCの曲も大森靖子さんの曲も聞いたことがなかった。そもそもアイドルにあまり興味がなかったのと、アイドルはあんまり歌上手くないよなぁ、という失礼すぎる先入観が理由である。あと一応言っとくとZOCは名前を知っていたけど大森靖子さんのことは知らなかった(!)ので、彼女が一人で歌っている曲も聞いたことがない。いつか聞こうと思ってる……。

という前置きを踏まえて、今回語りたいのはfamily nameという曲の歌詞について。あの曲はいろいろな考察や大森さんのインタビュー(多分本人のインタビューだった)によれば、毒親に育てられた子供が主人公の歌らしい。
隠す予定がないので先に言うが僕は毒親の家庭に生まれた。いつか書きたいけど、色々な部分が狂った家庭である。

それはさておき、ZOCの歌や大森靖子さんの歌は、『毒親に育てられた人』や『ひどい人生を送ってきた人』などを救っているらしいとTwitterかなにかで8月ごろに見た。ちなみに急にZOCが気になったのは、某炎上騒動があってTwitterで ZOCの話題をよく見かけていたから。
こんなに炎上するってことは有名なのかな?→うむ?曲も結構有名らしいぞ?→うーん、今まで聞いてこなかったけど聞いてみるかあ…。という流れで、僕はZOCの公式YouTubeチャンネルを見てみた。
一番最初に目についたのは『ヒアルロンリーガール』だったのでまずそれを聞いてみた。聞き終わった後の感想は、『作った人天才じゃね???!』だった。そこは好みによるものかもしれないが、とにかくこれは他の曲も聞くしかないぞ…!という気持ちにはさせてくれた。
そこでZOCが今までに出してきた曲がどんなものなのかネットで調べたら、family nameが出てきた。毒親家庭の人の曲、と説明されていた。それでじゃあ聞いてみるか、と軽い気持ちで再生を押した。


そしてすぐ、軽い気持ちで再生したことを後悔した。再生しなければよかったと心の底から思った。
family nameの歌詞はそれくらい僕の感情に突き刺さった。歌い出しを聴いただけで、激しいショックを受けてしまった僕は30分ほど何もできずに座り込んでいたと思う。
"わけわかんないことでママが怒ってる"
これはまさに僕の生活のことだった。母親は大体わけわかんないことで怒鳴り散らしているものだった。
そこで怯んだ僕は、最後まで再生する勇気が持てなかった。聴いてしまったら辛くなるかもしれない、と思ったから。だからとりあえずその日は再生をやめて、少し気持ちが落ち着いたら聴いてみることにした。

後日(2週間くらい経ってたけど)ようやく聴けた。
聴き切ったけど、本当に最初から最後まで聞くのが辛かった。口ずさもうとしたら泣きたくないのに涙が出そうで鼻の奥がツーンとして嫌だった。
衝撃しかなかったし、どうしたらこんなふうに思えるの??という疑問も持った。とにかく全てが刺さりすぎて辛かった。今は普通に聴けるようにはなったけど、でもまだ気持ちがヒリヒリしている気がするくらいだし何度も聴いているとやっぱり涙が出てきそうになる。

"こんなのおかしいね、なんで産んだの?"
とずっと思ってきた。
"その名前は二度ともう聞かずに生きていきたい"
と願っている。
"可哀想抜きでも可愛いし 私をぎゅってしないなんておかしい"
本当にそうだ。本来僕は望まれて生まれてきたはずじゃなかったのだろうか?可哀想でなくても可愛い子供であるはずだったと思いたい。
"family name 同じ呪いで"
あの母親と同じ名前を名乗って生きていかなくてはならないことは本当に呪いでしかない。

ここまではただただ自分がなんとなく重なって辛かった。でも僕が本当に辛いと思ったのはここじゃない。サビの部分の
"だからって光をあきらめないよ"
というところからそのあと。
今まで自分の人生に光なんてあると思っていなかったし、これからの光も正直見えていない。光を諦めないなんて、地獄の底にいる時に思えるの?僕は思えなかった。
"クッソ生きてやる!!!"
と決意できたことももちろんない。ただただ現状を生きるのがつらくて、もう何もしたくなかったしすぐにでも世界からいなくなりたかった。今すぐ死んでもいいくらいの気持ちで生きてきていた。
クッソ生きてやる!なんて自分では思えたことがないからこそ、そのセリフがものすごく突き刺さった。とにかくものすごくつらくて、聴きたくない言葉だと直感した。
誰かに対して、生き抜くからその先を一緒に見てほしい!と思ったこともなかったからそこもつらかった。

1回目に最後まで聞き終わったあと、どうしたらいいかわからなかった。色々な感情が頭の中でぐちゃぐちゃになっていた。
歌詞をちゃんと見返した。
ちょっと泣きながら分かった気がした、僕はもう生きてやる!!!と叫べるのだ。たしかに毒親家庭だったけど、僕はれっきとした成人でもう自分の生き方を自分で選べる。たしかに同じ名前は呪いでしかないけど、でも僕は僕。呪いに縛られる必要はどこにもなかった。
今まで気づかずにひとりでうずくまっていたのが馬鹿馬鹿しすぎて、それで余計につらくなった。
人間ってうじうじしててやだね!!!

ここからがちょっとした考察。
地獄の底にいるとき、多くの人は生きてやる!!とはきっと思えない。私は哀れなだけじゃない、魅力のある人間だ!!とも思えないだろうし、光を諦めないなんて言葉は思い浮かびもしないだろう。
でもこの曲はそれを描いている。地獄の底にいたって光が欲しい、私はかっこいい、生きてやる!!と言っている。
すごい、以外の言葉は思いつかなかった。きっと僕だけじゃなくて、この曲を聞いたたくさんの人が苦しくなって、あるいは救われたと感じて泣いたんじゃないかな。自分では決して言えない、もしかしたら思いつきもしなかったであろう生きたいという願望を、代わりに叫んでくれているんだから。この曲のいちばんすごいところはそこなのだ。たくさんの人が何度も聞いて、何度も救われているのはそれゆえなのだ。
この曲を作った彼女は、紛れもなく天才なんだろうと感じた。


今もこの曲を聴くとやっぱりどうしてもつらくて泣きたくなってしまうけど、でも多分僕も少しは救われているんだと思う。だから僕は『family name』を今日も聴いている。
母親に虐げられていて、本気ですぐにでも死にたいくらいこの世の全部が嫌いだったむかしの僕を抱きしめに行きたい。きみは悪くない。可哀想ぬきでもちゃんと可愛い子供だし、母親からの愛はもらえなかったけどその代わりに僕が僕をぎゅってしてあげる。

正直いま、毎日生きていたい!!と思えるほど前向きにはなれていない。でも僕はまだちゃんと生きているし、まだ死のうとしてはいない。母親がつけてくれた傷が果たしていつになったら治るのか、自分ではわからない。でもひとつだけ言える。


クッッッソ生きてやるからな!!!!!
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