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考えること
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「あなたは命の重さ考えたことはありますか?」
はっ!夢?それにしては鮮明すぎるような…
というか、なんでこんなこと聞かれなきゃならねーんだ…
俺は命の重さなんて考えたことはないよ。
それに今から行こうとしてるところだなんて、命の重さを考えてるやつは絶対に行かねぇところだからな。
多少の身支度を済ませ、家から出る。
そして俺が向かうのは崖だ。
親にも何度も止められたさ。
でも俺はもう諦められたんだ。
だから親に黙ってこんな所に来た。
死ぬために。
この世の中にはもういたくないから、だから死にに来たんだ。
そう思って、崖の方に行ってみると、誰かがいた。
「お前そんなとこで何やってるんだ?」
「え?」
「だから、そんな所で何やってるんだって聞いてんだ」
「あなたには関係ないでしょ?」
「それは…」
「見られたくないからどこかに行って。…死ぬところなんて誰にも見られたくないの」
「…お前もだったのか」
「お前もって…あなたも死にに来たの?」
「ああ、ここは自殺の名所だからな」
「そうね」
「…一緒に死なないか?」
「え?」
「一緒にここから」
「確かに孤独ではないからいいかもね。死ぬ前にあなたの名前を教えてくれない?」
「俺の名前はソウタ。そっちは?」
「ユアよ。さあ、手を繋いで行こ?」
「そうだな」
「なんて言うとでも思った?」
「は?」
「私はここで自殺する人を止めるために雇われてるの」
「ど、どういうことだよ…」
「あなたを死なせたりなんかしないわ。さあ、帰るわよ。」
「離してくれ!」
「離さないよ。あなたが死なないと言うまでは」
「なんで…」
俺はユアの手を振り切って崖下に飛び降りようとした…
「だめ!」
振り払ったはずだった。
そしたら…
「えっ!?」
「ユア!?」
「あなたのせいだよ!死んじゃうの!」
「ったく!」
「え?」
「死ななきゃいいんだろ!」
「どういう…」
俺はどうにかして元の崖に戻った。
これで俺が死ぬこともユアが死ぬことも無くなった。
「どうしてくれんだよ」
「それはこっちのセリフ!」
「助けてやったのにそんな口叩くのかよ!」
「はあ?」
「とりあえず帰ろうぜ?1食分くらい出してやるから」
「ど、どういうこと?」
その辺のファミレスに入って、飯を食べ始めたのはいいんだが…
「さっきのはどういうこと?」
店に入ってからユアがずっと質問攻めしてくるんだよな…
「ねえソウタ君、どうしてあんな真似ができたの?」
「なんの事だ?」
「あんな荒業、人には出来ないよね?」
さっき崖に戻った時のことを聞いているのだろう…
「ここじゃ話しにくいから、場所を変えようぜ?」
「はあ?」
ということで、話しやすそうなカラオケに来た。
「どうして個室なのかしら?」
「2人っきりで話せるところはここくらいしかないだろ?」
「世間知らず」
「うるせ!」
そうして、俺は語り出す。
俺が死にたくなった理由、いじめられていたこと。
そしていじめられていた原因がさっき使った能力のことを。
「能力?」
「ああ、多少浮遊ができるんだ。だから命の危険があっても少しくらいは生き延びられる」
「そんなことがあったから死にたいって?」
「…そんなところだな」
「あなたは命の重さ考えたことありますか?」
「え?」
「私の恩師に教えてもらった言葉よ。私も自殺しようとしたことあるから」
「俺、その言葉夢の中で聞いたことがあるんだ」
「貴方と私、出会うべくして出会ったのかもね」
「そうだな」
「貴方の恋人になりたい」
「へ?」
「だめ?」
「…いいよ」
「やった!」
突然すぎる彼女からの告白。
でも俺は知らなかったんだ。
彼女が告白した本当の理由を…。
数ヶ月がたったある日、彼女がこんなことを言ってきたんだ。
「ソウタ…」
「なんだ?」
「私、もうすぐ死んじゃうの。」
「は?どういうことだ?」
「ごめんね、バイバイ。」
「おい!待てよ!ユア!」
ユアはそれっきり姿を見せなくなった。
どういうことかわからなくて、彼女の行きそうなところは全て行ったはずなのに、彼女がいない…。
…最後に彼女と…ユアと初めてあった崖にやって来た。
「ここにいたのか、ユア」
ユアはそこにいた。
「ソウタ…見つかっちゃったね…」
「死ぬってどういうことだ?」
「寿命…かな?」
「は?」
「あなたと初めて会った時余命が数ヶ月だったの。でも、あなたを一目見て素敵な人だと思ったから私は交際を持ちかけた。…あなたといられて幸せだったよ。バイバイ」
「ユア!お前言ったよな?命の重さ考えたことあるかって!お前こそ考えたことあるのかよ!?」
「ソウタ…?」
「命の重さを考えたことがあるのなら、自殺なんてしちゃいけない!するなよ!」
「…ごめんソウタ。そうだね、私何言ってるんだろ…?」
「だから、1人にしないでくれ。死ぬ時は一緒だ」
「ソウタ!?」
俺はユアがこの先短いことは何となく察していた。
だからユアが1人で死のうとした時は俺も一緒に死ぬことを決意していたんだ。
そうして今日、2人の自殺者がでた。
終
はっ!夢?それにしては鮮明すぎるような…
というか、なんでこんなこと聞かれなきゃならねーんだ…
俺は命の重さなんて考えたことはないよ。
それに今から行こうとしてるところだなんて、命の重さを考えてるやつは絶対に行かねぇところだからな。
多少の身支度を済ませ、家から出る。
そして俺が向かうのは崖だ。
親にも何度も止められたさ。
でも俺はもう諦められたんだ。
だから親に黙ってこんな所に来た。
死ぬために。
この世の中にはもういたくないから、だから死にに来たんだ。
そう思って、崖の方に行ってみると、誰かがいた。
「お前そんなとこで何やってるんだ?」
「え?」
「だから、そんな所で何やってるんだって聞いてんだ」
「あなたには関係ないでしょ?」
「それは…」
「見られたくないからどこかに行って。…死ぬところなんて誰にも見られたくないの」
「…お前もだったのか」
「お前もって…あなたも死にに来たの?」
「ああ、ここは自殺の名所だからな」
「そうね」
「…一緒に死なないか?」
「え?」
「一緒にここから」
「確かに孤独ではないからいいかもね。死ぬ前にあなたの名前を教えてくれない?」
「俺の名前はソウタ。そっちは?」
「ユアよ。さあ、手を繋いで行こ?」
「そうだな」
「なんて言うとでも思った?」
「は?」
「私はここで自殺する人を止めるために雇われてるの」
「ど、どういうことだよ…」
「あなたを死なせたりなんかしないわ。さあ、帰るわよ。」
「離してくれ!」
「離さないよ。あなたが死なないと言うまでは」
「なんで…」
俺はユアの手を振り切って崖下に飛び降りようとした…
「だめ!」
振り払ったはずだった。
そしたら…
「えっ!?」
「ユア!?」
「あなたのせいだよ!死んじゃうの!」
「ったく!」
「え?」
「死ななきゃいいんだろ!」
「どういう…」
俺はどうにかして元の崖に戻った。
これで俺が死ぬこともユアが死ぬことも無くなった。
「どうしてくれんだよ」
「それはこっちのセリフ!」
「助けてやったのにそんな口叩くのかよ!」
「はあ?」
「とりあえず帰ろうぜ?1食分くらい出してやるから」
「ど、どういうこと?」
その辺のファミレスに入って、飯を食べ始めたのはいいんだが…
「さっきのはどういうこと?」
店に入ってからユアがずっと質問攻めしてくるんだよな…
「ねえソウタ君、どうしてあんな真似ができたの?」
「なんの事だ?」
「あんな荒業、人には出来ないよね?」
さっき崖に戻った時のことを聞いているのだろう…
「ここじゃ話しにくいから、場所を変えようぜ?」
「はあ?」
ということで、話しやすそうなカラオケに来た。
「どうして個室なのかしら?」
「2人っきりで話せるところはここくらいしかないだろ?」
「世間知らず」
「うるせ!」
そうして、俺は語り出す。
俺が死にたくなった理由、いじめられていたこと。
そしていじめられていた原因がさっき使った能力のことを。
「能力?」
「ああ、多少浮遊ができるんだ。だから命の危険があっても少しくらいは生き延びられる」
「そんなことがあったから死にたいって?」
「…そんなところだな」
「あなたは命の重さ考えたことありますか?」
「え?」
「私の恩師に教えてもらった言葉よ。私も自殺しようとしたことあるから」
「俺、その言葉夢の中で聞いたことがあるんだ」
「貴方と私、出会うべくして出会ったのかもね」
「そうだな」
「貴方の恋人になりたい」
「へ?」
「だめ?」
「…いいよ」
「やった!」
突然すぎる彼女からの告白。
でも俺は知らなかったんだ。
彼女が告白した本当の理由を…。
数ヶ月がたったある日、彼女がこんなことを言ってきたんだ。
「ソウタ…」
「なんだ?」
「私、もうすぐ死んじゃうの。」
「は?どういうことだ?」
「ごめんね、バイバイ。」
「おい!待てよ!ユア!」
ユアはそれっきり姿を見せなくなった。
どういうことかわからなくて、彼女の行きそうなところは全て行ったはずなのに、彼女がいない…。
…最後に彼女と…ユアと初めてあった崖にやって来た。
「ここにいたのか、ユア」
ユアはそこにいた。
「ソウタ…見つかっちゃったね…」
「死ぬってどういうことだ?」
「寿命…かな?」
「は?」
「あなたと初めて会った時余命が数ヶ月だったの。でも、あなたを一目見て素敵な人だと思ったから私は交際を持ちかけた。…あなたといられて幸せだったよ。バイバイ」
「ユア!お前言ったよな?命の重さ考えたことあるかって!お前こそ考えたことあるのかよ!?」
「ソウタ…?」
「命の重さを考えたことがあるのなら、自殺なんてしちゃいけない!するなよ!」
「…ごめんソウタ。そうだね、私何言ってるんだろ…?」
「だから、1人にしないでくれ。死ぬ時は一緒だ」
「ソウタ!?」
俺はユアがこの先短いことは何となく察していた。
だからユアが1人で死のうとした時は俺も一緒に死ぬことを決意していたんだ。
そうして今日、2人の自殺者がでた。
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