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29話 意外な真実!? そうでもないか

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「まさか、門番の様子を見るだけだったのに、城を見ることになるとは」
「これは、秘密兵器の出番ですね!」

「時空間に保管してる分裂体は、使用禁止か」
 時空間魔法を発動させようとすると、また地面から立札が生えてくる。

 契約していない魔物の使用は禁止だよ! と書かれていた。
 追伸。ダンジョン内で分裂することも禁止だからね!

「秘密兵器は無理そうですね」
「自力でドラゴンを倒せるようになれってことか。なんで俺が」

「今のままでは、力が足りないと思われているのかもしれませんよ?」
「それは、スライムキングの討伐に関してか?」

「もしくは、魔王と名乗るインキュバスの王とか」
「…ホントに勇者呼んで来いよ。昔みたいに異世界から召喚すればいいだろ」

「あれはただのおとぎ話ですよ」
 今はそんな話聞きたくない。

「はぁ、なんで魔王なんてのが現れるかね」
「それは、オメガ先生がオメガ様の研究所と名付ける理由と同じでは?」

「…あぁ、カッコつけたいってことね」
 魔王を名乗るということは、世界征服もしくはインキュバスなので、全女性を支配したいと思っているのだろうか?

「ハーレムねぇ」
「貴方様が望むのは、おっぱいに囲まれることでしたよね。ハーレムとは違いますか?」

「違うね。おっぱいに囲まれたいだけで、女性はいらない。女性が欲しいなら、カップを装備したジュナでいいわけだし」
「確かにそうですね。尻デカ女にスライムを装備させないのは、女性を侍らせたいわけじゃないと」

「だって面倒だろ。人の心って変わりやすいんだ。ジュナだって最初は神に愛を誓っていたけど、俺に助けられて愛してると言ってくる。最近じゃ俺を神と崇めるんだぞ? いろんな意味で怖いわ。それにカップだって、出来れば自分だけでられた方がいいと思ってるだろうし、ホックもそうだろ? フラージュは、杖として使われて幸せ、だといいな」

「貴方様の考えはわかりました。魔物であっても裏切る可能性を限りなく低い状態に維持するため、契約する相手は少ない方がいい、ということですね」

「そうだな。それに俺1人で管理できる魔物なんて、高が知れてるよ」
「私はそう思いませんけどね。あれほどの分裂体を操られているではありませんか」

「それはカップとフラージュのおかげだろ。魔力は俺のかもしれないけどな」
「そこです! カップお姉様の分裂体とは言え、好みは違うはずなのに貴方様の魔力で命令を聞いている」

「それは俺がスライムと相性がいいから」
「では私との契約はどうでしょうか?」

「それはお前から希望してきたことだろ?」
「そうです。ですが、私はすべてを捧げることで契約できるようにしようとしましたが、貴方様は拒否しましたね?」

「そう、だな。あの時は冷静な判断が出来なかった状態だったけど、今のホックとの関係性を考えれば正解だったと思うぞ」
「問題は、契約できてしまったことでもありますが、契約を継続できているところです」

「それは、当たり前だろ? 俺がホックを嫌ってるわけでも、ホックは俺が魅了魔法を…ん? 契約したのに、魅了魔法を跳ね返せるのか?」
「帝国の時のように、常に集中して魅了魔法に抵抗されていますか?」

「してないな」
「私の本体に触れて、魅了されましたね?」

「…されたな。でもあれは、不意打ちというか」
「魅了されてたとわかって、抵抗できましたか?」

「…出来ないと思ってるな。だからお前を縛る意味でも、契約を破棄することは出来ないと思ってる」
「その点に関していえば、貴方様が望まない限り契約は継続されるでしょう。貴方様の方が上という条件で契約していますからね」

「結局、何が言いたいんだ?」
「貴方様が契約できる魔物は、スライムだけですか?」

「それは、やったのはホックだけだし。サキュバスとも相性がいい、とか?」
 テイマーにとって、魔物との相性は重要な要素だ。

 ヤスモ先輩が獣系の魔物と契約したことで、獣人族まで進化させられるほどに。
 邪教の女性テイマーが人型と相性が良く、災害級のメデゥーサと契約できたように。

「貴方様が契約できないのは、人だけではないでしょうか?」
 人型ではなく、人。つまり、

「エルフと契約できるとでもいうのか?」
「貴方様がエルフを人と思っていないのであれば、可能でしょうね」

 エルフは人間以外の亜人の祖。
 魔物に近い存在、か。

「嫌な想像だな。エルフと契約することで、契約したエルフに魔物と契約させる。俺が魔王ってか?」
「そこまで言っていませんよ。貴方様が望むなら、それも可能でしょうけどね」

「望まねえよ。面倒だろうが」
「でしょうね! つまり、ドラゴンと契約できる可能性もある、ということです!」

「そっちね。まあそうだよな」
「そうですよ!」

「「あははは!」」

 俺って意外に、野放しにするとやばい奴なのかもしれない。

「さて、城だよな」
「城ですね」

 大階層には朝と夜が存在する。
 朝は獣系の魔物、夜は虫系の姿を現す。

 いきなり城に突撃することはせず、21階層で使えそうな道具や魔物がいないか探すことにした。
 食料も必要なので、朝は獣系の魔物を倒す。

 夜は光を使って虫が引き寄せる。
 事前に障壁の魔法陣を展開しているので、光に向かって突撃してくる虫は障壁に阻まれて止まる。

「特に変わった虫はいないな。トリプホーンにクワガーン、キューカとナトマージ。げ、フンコロがいる。そらいるか。日中は獣系の魔物がウンコしてるし。集めたウンコをぶつけられるのは嫌だな」
 夜の探索はやめておく。

 トリプホーンとクワガーンを仲間にするのは、まあいい。
 裏側とか飛び立つときの背中は気持ち悪いけど。

 他に仲間にしたいと思える見た目の魔物は、いなかった。
 ここは、日中の獣系から仲間にしたいと思える魔物を探すことにする。

 いなかったら、ゴリ押しだ。
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