上 下
4 / 19

第4話

しおりを挟む
「えっと、リアム皇太子殿下。お初にお目にかかります。私、ラバール公爵家長女レティシア・ラバールと申します。」

今、私はリアム皇太子殿下に会い、貴族の挨拶というカーテシーを披露している。

なぜそんなことになったのかというと、それは数時間前お父様が私を呼びに来たことが原因だ。

「えっと、じゃぁとりあえずリアム皇太子にお会いすればいいんですね?」
「あぁ、ごめんね。レティシアちゃんにこんな面倒なこと引き受けさせちゃって。あの野郎!!!うちの天使に迷惑かけやがって!!!!」
「!?お父様!!!皇太子殿下にあの野郎はいけませんって!!」
「いや、天使に迷惑かけるやつは野郎で十分だ!!!!!」

(えぇ、、でも皇太子殿下がなんの用だろう?)

「お父様、なぜ皇太子殿下が来たのですか?」

そう気になったので尋ねると、なぜか苦虫を噛み潰したような表情が返ってきた。

「お父様??」
「はぁ、、十中八九皇太子をレティシアの婚約者の1人として入れたいんだろう。」
「え!?」
「我が家は公爵だからな。皇太子の婚約者はそれなりの身分が必要だ。同じ公爵家には女子は1人もいないからね。さらにレティシアはね条件としては最高なんだよ。年齢的にも釣り合うし。」
「そうなんですね、、」
「あぁ、さすがに皇族に我が家でも王命と言われては逆らえない。」
「え!?王命なんですか!?」
「うん。最悪なことに。こんなことで王命をつかうなんてね。流石に王命だから会っては貰うけど、少しでも皇太子が嫌と思ったらお父様に言うんだよ!!!!?絶対に、婚約者なんかにはさせないから!!」
「は、はい、、」

おぉ、さすが親バカ。

ということで今皇太子殿下とあっている。
今、皇太子殿下は9歳でお兄様達と同い年だ。
そしてたって9歳で数多の功績を残している。
まぁ、その話はまた今度で。

さて、ここで今ひとつ問題が。
皇太子が声をかけてくださらないのだ。
基本的に上の身分の人から話しかけてくれないと下の身分の人がずーと挨拶のカーテシーをしなくてはならないのだ。←今私はここ。

幸い、我が家は公爵。
貴族の中で上の身分はほとんどいない。
唯一、同じ公爵家で、公爵家の中でも1番身分が高いのは筆頭公爵家と呼ばれるバインタン家だ。
我が家は同じ公爵と言っても4つある公爵の中の2番目に身分が高い。
だから、私より上の身分の人は、バインタン公爵家と、皇族ということになる。

なので、今は皇太子殿下であるリアム殿下に声をかけて貰えなければ、ずっとカーテシーをしなくてはならないのだ。

さらにこのカーテシー足がものすっっごく疲れるのだ!!今、もう足がプルプルしている。
足を元に戻そうとも、皇族であるリアム殿下に声を掛けられるまではじっとカーテシーをし続けなければならない。
誰よ!そんな規則作ったひと!!!!
もう足限界なんですけどぉ!!!!!!
早く殿下声掛けて!!?

と思っていると、ようやく声がかかった。

「あ、あぁ。美しいカーテシーをありがとう。うっかり見惚れてしまったよ。」

「ふふっ、お上手ですわね、ありがとうございます。」

つい気が抜けてふにゃっとした笑顔を向けてしまった。

「!!!?」

(ふぅ、なんとか助かった、、あれ?なんか殿下の顔赤くない?気のせいか?)

「あの、殿下?」

あれ?なんか殿下固まってる???
「あ、あぁ、ごめん。君の笑顔が可愛くてつい見惚れてしまった((ボソッ…」

え!?
ちょっと待って!?殿下顔真っ赤にしてる!!可愛いすぎじゃない!?
きゅーん!!!!

私の心は殿下に撃ち抜かれました、、

言わずもがな殿下もそれはそれは美しい顔をしている。さらさらで艶やかな金髪に、海ようなアクアブルー、そして透き通るような白い肌。

そんな美少年に、顔真っ赤にしながら可愛いいって言われてみて!?
きゅんきゅんしかしないでしょ!!!!!

「まぁ、ふふっ、そう殿下に言って貰えて幸せですわ。」

「んん!!!」
かぁぁぁ!!!

あらあら、顔真っ赤にしてる~!!!
可愛い~!!!

私中身が18だからか、なんか皇太子を見てると仲が良かった近所に住んでた小学生の子を思いだすよ。
あの子元気かなぁ、、

「レティシア嬢?大丈夫ですか?」
「はっ!!はい!!申し訳ありません。考え事をしておりまして。」
「ふふっ、そうなんですね。でも今は僕と居るのですから僕のことだけを考えてくれると嬉しいです。」
「え!?はい、、」

「さて、僕がなぜここに来たか知っていますか?」
「は、はい。父から先程聞きました。」
「なるほど。なら話が早いですね。早速ですが、、僕と婚約してくれませんか?」
「あの、殿下はよろしいのですか?私なんかと婚約したら、法律上殿下からは婚約解消は出来ませんよ?」

そうなのだ。実はこの世界、1度婚約してしまえば、相手がいくら皇族だろうと女子側でしか婚約解消が出来ないのだ。
なのでそう簡単には決められないのかな?と思っていると、、
この世界は女子と婚約(結婚)できることは、そのままその男子のステータスになるらしい。
だから基本的には男子が女子に婚約を願うのだ。そして婚約できた男子は俗に言う勝ち組なのだ。
だからこの世界の男子達は必死になって女子と婚約できるようにと、マナーや、知識、魔術、魔法、剣などを鍛える。
あと、紳士教育とやらもあるらしいのだが、女子の私は知らなくても良いとお父様に言われた。

しかし、それはこの世界の話だ。
私個人としては婚約の強制はしたくないと思っている。たとえ婚約が名誉なことだとしても好きでもないのに婚約なんて嫌だと思うから。

だが、殿下は違ったらしい。

「いえ、僕は自分の意思で貴方と婚約してほしいと思っている。もちろん最初から。でも貴方にあって、もっと婚約したいという気持ちが強くなった。この短時間で君のことを好きになってしまったんだ。」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界は獣人の国!?番に求められて逆ハー状態!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界に入ってしまった主人公『ルア』。本名は『弓波紫月(ゆみなみしづき)』。男は獣人、女は人間の世界に入り込んだ彼女は前の世界のしがらみから解き放たれ、自由に暮らすことを決めた。日々暮らしていけるだけのお金を稼ぎ、やりたいことをする生活を過ごすうちに、あるきっかけで国の揉め事に巻き込まれていく。そこで獣人たちが『番』を求める理由を知って・・・・ 「俺の番になって欲しい。」 そんな言葉をあちこちから言われて困るルア。ただ一人しか選ぶことができない番を、ルアは誰を選ぶのか。 ※お話は全て想像の世界です。現実とは何の関係もありません。(できれば異世界に行ってみたいです。) ※誤字脱字があると思います。なるだけ無いようにチェックはしてるつもりですが思い込みでスルーしてしまってる部分があると思います。(よければスルーしてください。) ※メンタルが薄い薄い氷でできてるため、ほんの少しの衝撃(暴言)で粉々になりますのでコメントはオフにしてあります。すみません。 ※コンテスト用に書き始めてるので貯文字が全くありません。完結までは持っていけると思いますが、いつものように毎日公開は難しいかもしれません。すみません。 いつも読んでくださってる方々、本当にありがとうございます。 それではレッツゴー。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

めーめー
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこから彼女は義理の弟、王太子、公爵令息、伯爵令息、執事に出会い彼女は彼らに愛されていく。 作者のめーめーです! この作品は私の初めての小説なのでおかしいところがあると思いますが優しい目で見ていただけると嬉しいです! 投稿は2日に1回23時投稿で行きたいと思います!!

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

処理中です...