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あなたの望んだ世界
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「チャムたん…。今日も可愛いなぁ…。」
男はオタクだった。推しのアニメキャラクター「チャム」に思いを寄せ、たくさんのグッズで溢れている部屋に深夜一人、チャムが描かれた枕に顔を埋めていた。
「チャムたんだけが俺の味方だよぅ…二次元以外の女の子なんて滅びてしまえばいいのに!チャムたんと仲間たちしかいらないっ!!」
ベッドの上で一人、ゴロゴロと暴れていた。そこで、チャムが映し出されていたケータイから、青白い光が出てきていた。
「は、はぁっ!?な、なに!?」
「~~っ、はーっ!!はじめまして~!!」
20センチほどの身長、可愛らしいアニメ声、妖精のような翼、そして…とてつもない美貌。
「だ、誰!?」
「ん?へへっ。私はデビル!そう、悪魔でーすっ!!⭐︎」
悪魔はウインクをした。男は不思議そうに悪魔を見ながら、怯えていた。
「そんな怖がらなくてもいいよ~?」
「だ…いや、誰だよ!!何しにきたの!?」
「だから私は悪魔だって!なんか面白そうな声が聞こえてきてさ…。出てきてみたってワケ!」
「面白そうな…?」
「うん。なんだっけ。『二次元以外の女の子は滅びるべき』…だっけ?」
「あ、うん…」
「うん、いいよ?」
「は?」
「叶えてあげるよ、その夢!⭐︎」
悪魔はまたウインクをして男に微笑みかけた。
「そのチャム?って子のためにやりたいんでしょう?もちろんいいよ!この世の女の子を全て消し去ってあげる!」
「そ、そんなことができるの?」
「うん!もちろんチャムって子の存在は残すよ!女の子のいない世界で、君一人がチャムちゃんを愛すことができるかもね~っ!⭐︎」
「ちゃ、チャムたんをただ一人…!?」
「…やる?」
「やるっ!!!絶対やる!!」
「決まりね!女の子を消しちゃおう!!」
悪魔と男は、勢いよく右手の拳を突き上げた。
目の前にボタンが現れた。
「じゃあ、このボタン押して。ボタンが押された瞬間、この世の女性が跡形もなく消え去っちゃうよ!」
「え、悪魔ちゃん消えちゃうの?」
「んぇ?いや私、三次元でもないし人間でもない。というか私に性別ない。」
「あっ、そうなんだ…」
「じゃ、やっちゃって~!」
「うん!!」
「せーーーの!!!!!」
ポチッ
窓の外は少し騒がしくなってきた。ネットの書き込みも止まらない。 #女性消滅 が、トレンドを独占中なようだ。
「…消せたの?」
「おっめでと~!!⭐︎この世から女の子が消えました~!人口の半分以上が消えちゃったねっ!」
「お、おおおおおっ!!」
「じゃ、外でよっか!」
「え、なんで…?な、お…俺、2年間家から出てないし…」
「いいからそういうの。ほら行くよ!!」
20センチほどの身長だが、とてつもない力だ。そして、男を外へ引きずり出した。
「い、いででっ!!!!」
「はいは~い!あれを見て?」
「…あれは?」
高身長、金髪の男が全裸で歩いていた。
「な、なにやってんだあいつ!?通報…」
「恥を捨てちゃったんだね~っ!それか、ずっと女性といたのに消滅して、困惑して出てきたのかなぁ?面白いねっ!!」
「う、うん…」
「じゃあ次っ!コンビニ行こうか!」
家から少し離れたコンビニへ、悪魔に引きずられるように行った。
「…あれ?」
コンビニは静かだった。
「無人だねっ!そりゃそうだよ!!人口の半分が消えたんだよ?いつも深夜にバイトしている女の子も消えちゃったからね⭐︎男性もパニックになって逃げちゃったのかなぁ。」
「そっか…」
「じゃ、何個か貰って行こう?」
「え、ええっ!?それ犯罪だよぉ!?」
「…犯罪?いやいやぁ。何を言っているの?」
「え…」
「これから君の言う『犯罪』っていうのが、無数に起こるんだよ?これくらいでビクビクしてたら生きられないよ?」
「じ、女性が消えただけで犯罪が増えるわけないだろ!?性犯罪とかないし!!」
「…まぁ、少なくはなるだろうねっ。でも、戦争もこれから起こるかな。」
「「「「「ドカン!!!」」」」」
「え!?」
外から爆発音が聞こえた。心臓に響く。
「わお!思ったより早いんだね~っ!!」
「何が起こったの…!?」
「うーん、突然家族がいなくなったから、パニックになっちゃった家庭の簡単なテロかなぁっ?生きる価値がないと思っちゃった、とか!?すっごく面白いね~っ!!」
男は唖然とした。
「ま…ママ!?ママはっ!?」
男はすぐに携帯を取り出した。
「ママ…ママがいなくなったら!!」
『ママいる!?』
メッセージを打っても、返信は来ないようだ。
「返信なんて来るわけないじゃん!!ママは女性でしょ!?あったりまえじゃん!だって君の望んだ世界は、女性がいない世界なんでしょ?」
「え、え…えぁっ…」
悪魔が不気味に笑った。
「じゃ、最後にぃ…気を紛らわせるために、君の推しを見たらいいんじゃないのぉ?」
「そ、そっか!!チャムたんがいればなんでも、なんでもいいもん!!」
推しのホームページを開こうとした。が、ネットが繋がらない。
「あらまぁ。通信障害だねぇ。」
「は、くっ…くそっ!!どうして!?」
「あっそうだぁ。そのアニメってさぁ、2ヶ月後に第二期開始、漫画最終巻なんでしょ?調べたよ。」
「そ、そう!!これが俺の生きる価値!女の子がいなくても、これを楽しみに生きれる!」
「ないよ?」
「え…」
「ないに決まってんじゃん!!!!何言ってんの!?!?アニメ中止!!!作者ストレスで自殺!!!声優消滅!!!君は後先のことを本当に考えないんだねぇ~っ!?!?」
「は、はあああっ…。!。」
男は頭を抱えて喚き出した。悪魔は腹を抱え、涙を浮かべながら笑い叫んでいる。
「へっ、へへぇ!!!もう!!最高!!!推しもいないし!!生きる希望すら失う!!!」
「こ、この悪魔がああああああっ!!!」
男は悪魔の小さい身体を、右手で強く握りしめた。
「はっ…?んぇ~っ?…何やってんの?」
「いい加減にしろよ…俺の心をへし折っておいて!!その態度はなんだよ!?!?」
「は?」
「なんでそんなに笑うんだよ!?」
「っははは…だって…君が望む未来はこれでしょ?願いを叶えてあげたんだよっ?少しは感謝してほしいね。」
「そんな未来望んでない!!チャムたんと!チャムたんを独り占めできる世界を望んでるの!!!俺は幸せになりたいの!!!!チャムたんと幸せな家庭を築きたいの!!!」
「………っはぁ~。救えないね。もうチャムはいないんだよ。この世界にちっぽけなキャラクターを残すことなんてできない。もういいよ。ここまできたら不快だ。」
悪魔は男の喉を引きちぎった。
「あ"……」
男の喉から血と泡が大量に出て、コンビニの棚へ倒れた。
「…楽しかった!!次はどんな世界に変えちゃおうかな~っ!!」
悪魔は次のターゲットを探そうと、空へ高く飛び立っていった。
男はオタクだった。推しのアニメキャラクター「チャム」に思いを寄せ、たくさんのグッズで溢れている部屋に深夜一人、チャムが描かれた枕に顔を埋めていた。
「チャムたんだけが俺の味方だよぅ…二次元以外の女の子なんて滅びてしまえばいいのに!チャムたんと仲間たちしかいらないっ!!」
ベッドの上で一人、ゴロゴロと暴れていた。そこで、チャムが映し出されていたケータイから、青白い光が出てきていた。
「は、はぁっ!?な、なに!?」
「~~っ、はーっ!!はじめまして~!!」
20センチほどの身長、可愛らしいアニメ声、妖精のような翼、そして…とてつもない美貌。
「だ、誰!?」
「ん?へへっ。私はデビル!そう、悪魔でーすっ!!⭐︎」
悪魔はウインクをした。男は不思議そうに悪魔を見ながら、怯えていた。
「そんな怖がらなくてもいいよ~?」
「だ…いや、誰だよ!!何しにきたの!?」
「だから私は悪魔だって!なんか面白そうな声が聞こえてきてさ…。出てきてみたってワケ!」
「面白そうな…?」
「うん。なんだっけ。『二次元以外の女の子は滅びるべき』…だっけ?」
「あ、うん…」
「うん、いいよ?」
「は?」
「叶えてあげるよ、その夢!⭐︎」
悪魔はまたウインクをして男に微笑みかけた。
「そのチャム?って子のためにやりたいんでしょう?もちろんいいよ!この世の女の子を全て消し去ってあげる!」
「そ、そんなことができるの?」
「うん!もちろんチャムって子の存在は残すよ!女の子のいない世界で、君一人がチャムちゃんを愛すことができるかもね~っ!⭐︎」
「ちゃ、チャムたんをただ一人…!?」
「…やる?」
「やるっ!!!絶対やる!!」
「決まりね!女の子を消しちゃおう!!」
悪魔と男は、勢いよく右手の拳を突き上げた。
目の前にボタンが現れた。
「じゃあ、このボタン押して。ボタンが押された瞬間、この世の女性が跡形もなく消え去っちゃうよ!」
「え、悪魔ちゃん消えちゃうの?」
「んぇ?いや私、三次元でもないし人間でもない。というか私に性別ない。」
「あっ、そうなんだ…」
「じゃ、やっちゃって~!」
「うん!!」
「せーーーの!!!!!」
ポチッ
窓の外は少し騒がしくなってきた。ネットの書き込みも止まらない。 #女性消滅 が、トレンドを独占中なようだ。
「…消せたの?」
「おっめでと~!!⭐︎この世から女の子が消えました~!人口の半分以上が消えちゃったねっ!」
「お、おおおおおっ!!」
「じゃ、外でよっか!」
「え、なんで…?な、お…俺、2年間家から出てないし…」
「いいからそういうの。ほら行くよ!!」
20センチほどの身長だが、とてつもない力だ。そして、男を外へ引きずり出した。
「い、いででっ!!!!」
「はいは~い!あれを見て?」
「…あれは?」
高身長、金髪の男が全裸で歩いていた。
「な、なにやってんだあいつ!?通報…」
「恥を捨てちゃったんだね~っ!それか、ずっと女性といたのに消滅して、困惑して出てきたのかなぁ?面白いねっ!!」
「う、うん…」
「じゃあ次っ!コンビニ行こうか!」
家から少し離れたコンビニへ、悪魔に引きずられるように行った。
「…あれ?」
コンビニは静かだった。
「無人だねっ!そりゃそうだよ!!人口の半分が消えたんだよ?いつも深夜にバイトしている女の子も消えちゃったからね⭐︎男性もパニックになって逃げちゃったのかなぁ。」
「そっか…」
「じゃ、何個か貰って行こう?」
「え、ええっ!?それ犯罪だよぉ!?」
「…犯罪?いやいやぁ。何を言っているの?」
「え…」
「これから君の言う『犯罪』っていうのが、無数に起こるんだよ?これくらいでビクビクしてたら生きられないよ?」
「じ、女性が消えただけで犯罪が増えるわけないだろ!?性犯罪とかないし!!」
「…まぁ、少なくはなるだろうねっ。でも、戦争もこれから起こるかな。」
「「「「「ドカン!!!」」」」」
「え!?」
外から爆発音が聞こえた。心臓に響く。
「わお!思ったより早いんだね~っ!!」
「何が起こったの…!?」
「うーん、突然家族がいなくなったから、パニックになっちゃった家庭の簡単なテロかなぁっ?生きる価値がないと思っちゃった、とか!?すっごく面白いね~っ!!」
男は唖然とした。
「ま…ママ!?ママはっ!?」
男はすぐに携帯を取り出した。
「ママ…ママがいなくなったら!!」
『ママいる!?』
メッセージを打っても、返信は来ないようだ。
「返信なんて来るわけないじゃん!!ママは女性でしょ!?あったりまえじゃん!だって君の望んだ世界は、女性がいない世界なんでしょ?」
「え、え…えぁっ…」
悪魔が不気味に笑った。
「じゃ、最後にぃ…気を紛らわせるために、君の推しを見たらいいんじゃないのぉ?」
「そ、そっか!!チャムたんがいればなんでも、なんでもいいもん!!」
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「あらまぁ。通信障害だねぇ。」
「は、くっ…くそっ!!どうして!?」
「あっそうだぁ。そのアニメってさぁ、2ヶ月後に第二期開始、漫画最終巻なんでしょ?調べたよ。」
「そ、そう!!これが俺の生きる価値!女の子がいなくても、これを楽しみに生きれる!」
「ないよ?」
「え…」
「ないに決まってんじゃん!!!!何言ってんの!?!?アニメ中止!!!作者ストレスで自殺!!!声優消滅!!!君は後先のことを本当に考えないんだねぇ~っ!?!?」
「は、はあああっ…。!。」
男は頭を抱えて喚き出した。悪魔は腹を抱え、涙を浮かべながら笑い叫んでいる。
「へっ、へへぇ!!!もう!!最高!!!推しもいないし!!生きる希望すら失う!!!」
「こ、この悪魔がああああああっ!!!」
男は悪魔の小さい身体を、右手で強く握りしめた。
「はっ…?んぇ~っ?…何やってんの?」
「いい加減にしろよ…俺の心をへし折っておいて!!その態度はなんだよ!?!?」
「は?」
「なんでそんなに笑うんだよ!?」
「っははは…だって…君が望む未来はこれでしょ?願いを叶えてあげたんだよっ?少しは感謝してほしいね。」
「そんな未来望んでない!!チャムたんと!チャムたんを独り占めできる世界を望んでるの!!!俺は幸せになりたいの!!!!チャムたんと幸せな家庭を築きたいの!!!」
「………っはぁ~。救えないね。もうチャムはいないんだよ。この世界にちっぽけなキャラクターを残すことなんてできない。もういいよ。ここまできたら不快だ。」
悪魔は男の喉を引きちぎった。
「あ"……」
男の喉から血と泡が大量に出て、コンビニの棚へ倒れた。
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