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第3章 現代の魔女裁判
第84話 ここは、おとうさんの場所!
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平成二十五年は、ずっと、娘と実家で暮らした。
前の年の後半は、二人で母親がカウンセリングを受けて帰って来るのを待っていた。娘には「お母さんは病院で病気が治ったら帰ってくる」と伝えてあった。
しかし、年末に嘘の申立書が出され、たった三か月で裁判官が「母親に娘を渡せ」と命じ、執行官が娘を連れ去りに来るようになって、もう二人は母親を待たなくなった。
ハーグ条約のおかげで、実家はまだ安全だった。
海外から一方的に子供を連れ去って帰ってくる日本人母に対して、外国へ連れ戻されるのを防ぐために、国内での強制執行の基準を最高裁が弱めた効果だった。
極めて自分勝手で自己都合な国だと思う。
実家暮らしも長くなると、自ずと食卓で並んで座る私と娘の席が決まっていた。
いつも私が座る椅子を、娘は「おとうさんの場所」と呼んだ。
食事時以外で、私の母が腰かけていると、
「ここは、おとうさんの場所。どいて!」
娘は怒って、祖母の背中を押した。
「ここは、元は、おばあちゃんの場所やったんやよ」
母が言い聞かせても、娘は許さなかった。
「ここは、おとうさんの場所!」
娘の隣は、いつもお父さんの場所だった。
その椅子は、誰にも座ってほしくなかったのだろう。
私の妹の娘二人が、泊まることがあった。
夕食も朝食もテーブルが一杯で、娘と私は時間をずらして食事をした。
自分たちが食べ終わったあとで、従姉二人が、いつもの私と娘の場所に座ると、娘は泣いて怒った。
「ここは、おとうさんの場所~!」
新居で妻と三人で暮らしていた頃、私に向かって怒り出す妻に、
「おかあさん、だめー」
「いやー、やめてー」
娘は声を上げて、妻を制した。
実家では、私が座る場所をしっかりと守ろうと頑張った。
生まれたばかりの娘を風呂に入れ、ミルクを作り、おむつを替えた私を、娘は精一杯守ろうとした。
だから、私は娘を守るために、理不尽な家庭裁判所と必死に戦い続けた。
そして、今も戦い続けている。
娘の世話をすることで、私は父親になれた。
娘を愛し、娘を大切に思い、狂気の母親から必死に守り育てることで、母親に代わって育児ができる父として成長できた。
娘がいたから、娘が私を父と認めて大事に思ってくれたことで、私は父親として成長し、心から強くなることができた。
だから、娘のために、家庭裁判所と戦い続ける。
中立でも公平でも公正でもない家庭裁判所と。
育児の事実を見抜く力もなく、嘘の申立書を鵜呑みにして、母親に監護権を決めた裁判官と。
「娘が家を恐がっている」と嘘の調査報告書を書いた男性調査官二人と。
娘と二人、妻が治って戻ると信じていた心理カウンセリングを、「カウンセリングなんて効果ないですよ」と笑った若い調査官と。
「嘘をついても、裁判所が認めれば、法律の正義です」と胸を張り、私の実家へ侵入し、父にケガを負わせた弁護士と。
「おとうさんと一緒にいるの」と話す娘の思いを黙殺し、幼児の基本的人権を踏みにじる高裁と。
たった三か月で監護権の裁判を終わらせ、調停に三年の時間をかけて、民法七六六条に背いて面会を妨害し続ける調停委員たちと。
娘のため、娘を守るために、この国の狂った司法と戦い続ける。
この国の子供たちの基本的人権が、裁判所によって踏みにじられることがなくなる日まで。
「ここは、おとうさんの場所!」
まだ三歳の小さい娘が、椅子の前で必死に頑張る姿が目に浮かぶ。
一生懸命お父さんの場所を守ってくれた娘へのお返しに、狂った司法との戦いの場を今の「お父さんの場所」として、ここで娘を守り続けよう。
娘よ、見守っていてくれよ。
お父さんの場所は、今、ここにある。
前の年の後半は、二人で母親がカウンセリングを受けて帰って来るのを待っていた。娘には「お母さんは病院で病気が治ったら帰ってくる」と伝えてあった。
しかし、年末に嘘の申立書が出され、たった三か月で裁判官が「母親に娘を渡せ」と命じ、執行官が娘を連れ去りに来るようになって、もう二人は母親を待たなくなった。
ハーグ条約のおかげで、実家はまだ安全だった。
海外から一方的に子供を連れ去って帰ってくる日本人母に対して、外国へ連れ戻されるのを防ぐために、国内での強制執行の基準を最高裁が弱めた効果だった。
極めて自分勝手で自己都合な国だと思う。
実家暮らしも長くなると、自ずと食卓で並んで座る私と娘の席が決まっていた。
いつも私が座る椅子を、娘は「おとうさんの場所」と呼んだ。
食事時以外で、私の母が腰かけていると、
「ここは、おとうさんの場所。どいて!」
娘は怒って、祖母の背中を押した。
「ここは、元は、おばあちゃんの場所やったんやよ」
母が言い聞かせても、娘は許さなかった。
「ここは、おとうさんの場所!」
娘の隣は、いつもお父さんの場所だった。
その椅子は、誰にも座ってほしくなかったのだろう。
私の妹の娘二人が、泊まることがあった。
夕食も朝食もテーブルが一杯で、娘と私は時間をずらして食事をした。
自分たちが食べ終わったあとで、従姉二人が、いつもの私と娘の場所に座ると、娘は泣いて怒った。
「ここは、おとうさんの場所~!」
新居で妻と三人で暮らしていた頃、私に向かって怒り出す妻に、
「おかあさん、だめー」
「いやー、やめてー」
娘は声を上げて、妻を制した。
実家では、私が座る場所をしっかりと守ろうと頑張った。
生まれたばかりの娘を風呂に入れ、ミルクを作り、おむつを替えた私を、娘は精一杯守ろうとした。
だから、私は娘を守るために、理不尽な家庭裁判所と必死に戦い続けた。
そして、今も戦い続けている。
娘の世話をすることで、私は父親になれた。
娘を愛し、娘を大切に思い、狂気の母親から必死に守り育てることで、母親に代わって育児ができる父として成長できた。
娘がいたから、娘が私を父と認めて大事に思ってくれたことで、私は父親として成長し、心から強くなることができた。
だから、娘のために、家庭裁判所と戦い続ける。
中立でも公平でも公正でもない家庭裁判所と。
育児の事実を見抜く力もなく、嘘の申立書を鵜呑みにして、母親に監護権を決めた裁判官と。
「娘が家を恐がっている」と嘘の調査報告書を書いた男性調査官二人と。
娘と二人、妻が治って戻ると信じていた心理カウンセリングを、「カウンセリングなんて効果ないですよ」と笑った若い調査官と。
「嘘をついても、裁判所が認めれば、法律の正義です」と胸を張り、私の実家へ侵入し、父にケガを負わせた弁護士と。
「おとうさんと一緒にいるの」と話す娘の思いを黙殺し、幼児の基本的人権を踏みにじる高裁と。
たった三か月で監護権の裁判を終わらせ、調停に三年の時間をかけて、民法七六六条に背いて面会を妨害し続ける調停委員たちと。
娘のため、娘を守るために、この国の狂った司法と戦い続ける。
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「ここは、おとうさんの場所!」
まだ三歳の小さい娘が、椅子の前で必死に頑張る姿が目に浮かぶ。
一生懸命お父さんの場所を守ってくれた娘へのお返しに、狂った司法との戦いの場を今の「お父さんの場所」として、ここで娘を守り続けよう。
娘よ、見守っていてくれよ。
お父さんの場所は、今、ここにある。
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