イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)

文字の大きさ
上 下
68 / 70

66.悠との夜⑤ ※

しおりを挟む


 さっさと噛まれて楽になりたいってのに。
 
 ……あれ?
 
 悠が動こうとしねぇ。
 なんでさっさと噛んでくれねーんだよ?
 焦らしプレイなら、今は本気でいらないねーよ?
 
「悠?」
 
 焦れるように名前を呼んでも、動く気配すらねぇ。
 なんだよ、無視すんなよ。
 普段噛むなって言っても噛もうとするくせに、こっちから頼む時はしてくれねぇってのか?
 
 ムッとするように俯けていた頭を上げて、すぐそばにある悠の顔を覗こうとして──…
 心臓がドキリと跳ねる。
 
 悠がギラギラとするような眼差しを、こっちに向けていたからだ。
 熱を帯びたようなその視線を感じた途端、捕食者に捕まったような錯覚を覚えて、恐怖に駆られる。
 咄嗟に逃げなきゃという思いで腰が浮いた所を、悠が即座に腕を伸ばして掴まえてきた。
 
 気づいたら視界がグルンッと回転していたし、気づいたらベッドにうつ伏せ状態になっている。
  
 
(……ッ! なに今の早業ッ!?)
 
 
 あの一瞬で馬乗り姿勢から、うつぶせにされてたんだけど!? 
 しかもトリャッ、と投げ飛ばされたわけでもねぇし。
 気づいた時にはファサッと優しく、シーツに寝転ばされていたってのが、恐ろしい感じだ。
 この技、悠が介護職員だったらめちゃくちゃ重宝されてるんじゃねぇの? 
 状況に追いつけないまま、目を白黒させる俺を後ろから抱き込むように、悠が背中に覆い被さってきた。
 
 
「アキの危機感のなさは、たまに本気で心配になるレベルだな」
 
 ──は…? 
 この野郎…ケンカ売ってんのか?
 
 後ろを振り返って反論する前に、悠が背中に顔を埋めながら、きつく抱きしめてくる。
 
「──正気か? そんな事を俺に願うなんて、どうかしているとしか思えない。……それとも本当に番にさせられたいのか?」
「なに言って……?」
 
 熱さで朦朧とするせいで、悠が何でなじってくるのかがよく分かんねぇ。
 お前が溜め込ませたフェロモンを、お前に抜いてくれって頼んでるだけだろ。
 戸惑いながらも、なじってくる悠の声が、苦しそうに震えてんのが気にかかる。
 
「バカだバカだと思ってたけど……本当に救いようがない。逃がす気なんて元から無いけど──…このまま閉じ込めて、本当に番にしちゃおうか」
 
 項にかかる邪魔な後ろ髪を手で掻き分けると、悠の唇が何度も項を行き来する。
 ものすごく失礼な事を言われてる気がしたけど、今はそんな事にも構う余裕がなかった。
 
「あ…っ、はぁあ……っ」
 
 悠の唇が項を滑るたびに、項が熱く焼け爛れるような錯覚を覚える。
 下腹部がヒクヒクと切なく疼いて、泣き出したくなった。
 その熱と疼きに堪えきれなくて、とうとう自分の中心部に手を伸ばしてしまう。
 このままじゃイケないって分かっていても、自身を扱きあげる手を止めることが出来ない。
 悠に扱かれんのもメチャクチャ気持ちが悦かったけど、慣れ親しんだ自分の手もやっぱ気持ちがいい。
 
「はぁ、あ…っ。悠、早く…、噛め、て…っ」
「っ……!!」
 
 悠が俺の項をきつく吸い上げてくる。
 そのまま足の間に、悠の凶悪ペニスがグッっと入り込んできた。
 熱さも大きさも、全然俺とは違う。
  
「っ…はぁ…! アキ…っ、好きだ。好きだよ…っ」
 
 悠のペニスが、ずこずこと裏筋を擦り上げるように、股の間を突き上げてくる。
 熱くて硬いものが自分の足の間を出たり入ったりする様子が何だか倒錯的で、淫らで。
 ……何かすげー興奮する。
 自分の手で悠と自身のものを支えるようにしながら、悠の股間に向けてぐりぐりと尻を押し付けるように、腰を揺らした。
 
「ぁ……ぃっ、気持ち、い…っ、はぁっ、はぁ…っ!」
「アキ、アキ……っ、名前…呼んでっ。アキも、…頼む!」
 
 快楽に支配されている頭に悠の声が届く。
 名前…?って悠のか?
 何で?って思うけど、何か必死そうだし、呼ぶくらい別にいいか。
 
「悠…っ、ん、悠…はっ」
「ん。うん…、アキ…はぁっ、気持ちいいよ…っ」
「はぁ…っ、はぁ…っ、悠、ゆぅ、俺、も…っ」
 
 悠が堪らないというように、ぎゅううっと両腕で胸を抱きしめてきた。
 それがかなりきつくて息も苦しいくらいなのに、何故かもっと、と思ってしまうから。
 ……多分俺もちょっと変になってんだろうな。
 まぁ頭をクララに支配されてたら、こんなもんか。
 はー…、ちんこ気持ちいいね。
 
 
 はぁはぁ喘ぎながら下を向くと、悠の凶悪ペニスに嬲られる自分のクララが目に入った。
 こうして並ぶと、きゅうりと育ち過ぎたズッキーニくらい、見た目に差がある。
 さっきはクララが死ぬかと思うほど痛かったけど、今はメチャクチャに擦られてもローションの滑りに助けられているのか、全然痛さを感じない。
 むしろゴツゴツと張り出した悠の凶悪ペニスの形状が、クララの裏筋の悦い所を刺激してきて、たまらない快感を生んでいる。
 そのペニスで裏筋をなぞられる度に、甘い声が絶えず口から漏れ出す。
 先端からダラダラとカウパーが流れ出るせいで、悠のペニスとシーツをどんどんと汚していった。
 
「………………」
 
 はぁはぁ熱い息を吐きながら、自分の垂れ流しているカウパーを掬うようにして、悠の亀頭に塗り込めていく。
 
「……、アキ…?」
 
 悠が俺の項から流れる汗を舐めとりながら、ふ…と腰の動きを止めた。
 明らかに快感を高めるような手の動きじゃないせいで、不審に思ったんだろうか。
 まぁいいや。
 だからといって、撫で付けるような手の動きを止めようとは思わないし。
 
 そのまませっせこ自分のモノで、悠のペニスを汚していく。
 綺麗なものは汚したくなる──というアレか?
 よく分かんねーけど、なんとなく悠のペニスを見つめていたら、汚したいって思っただけだし。
 無心で塗り込んでいると、それを覗き込んでいた悠が嬉しそうに。
 
「どうした? オレに匂いづけでもしてくれてるの?」
 
 
 ──匂いづけ?
 そうなのかな? ……いや、よく分かんねぇ。
 ただ俺のカウパーで濡れ光る、悠のペニスはなかなか良いもんだなとは思うけど。
 
 だってお前、エロ王子以外は完璧すぎんだもん。
 ちょっとくらい庶民臭に塗れてるくらいがちょうどいいよ。
 それに俺のモノで汚れた悠も、なかなか素敵だぞ。
 なんか安心してそばに居れる気がする
 
 
 よし、満足したから続きを所望しよう。
 悠の腰に向かってお尻をグリグリと擦り付けていたら、悠がフッと笑う気配を感じた。
  
「…いいよ。オレはアキのものだから……好きなだけ匂いをつければいい」
 
 耳元で囁くように言うと、悠の腰がまた律動を開始し始める。
 言葉通りに俺の亀頭部分に向けて、悠が極悪ペニスをグリグリと擦り付けるように揺さぶってきた。
 
「ひ!…あ、……っあ! んン──~~ッ!」
 
 信じらんねーくらい、気持ちいい。
 
 溶ける、溶ける……っ!
 
 後ろに覆い被さる悠の呼吸も、ハッハッと荒く激しい息遣いに変わっていた。
 あぁ、もう本当に限界かも……っ!
 
「っあ、んぁあ…っ、悠っ、イきた……!ぁ、 おねが…っ、噛んで!!」
 
 抱き込んでくる悠の手の甲に、爪を立てながらそう叫んだ瞬間、ガツッと火花が飛ぶくらいの衝撃が、瞼の奥に走った。
 
 
「ぃ…っ、ぐぅう…────~~~ッッ!!」
 
 
 ギリギリと噛みつかれる痛みよりも、身体中に燻っていた熱が背骨から脳髄までを一気に駆け昇るような開快感の方が、それを上回った。
 気がついたら全身をガクガクと震わせながら、蜜口から精を吐き出していた。

しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

最愛の番になる話

屑籠
BL
 坂牧というアルファの名家に生まれたベータの咲也。  色々あって、坂牧の家から逃げ出そうとしたら、運命の番に捕まった話。 誤字脱字とうとう、あるとは思いますが脳内補完でお願いします。 久しぶりに書いてます。長い。 完結させるぞって意気込んで、書いた所まで。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

番に囲われ逃げられない

ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。 結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

風俗店で働いていたら運命の番が来ちゃいました!

白井由紀
BL
【BL作品】(20時毎日投稿) 絶対に自分のものにしたい社長α×1度も行為をしたことない風俗店のΩ アルファ専用風俗店で働くオメガの優。 働いているが1度も客と夜の行為をしたことが無い。そのため店長や従業員から使えない認定されていた。日々の従業員からのいじめで仕事を辞めようとしていた最中、客として来てしまった運命の番に溺愛されるが、身分差が大きいのと自分はアルファに不釣り合いだと番ことを諦めてしまう。 それでも、アルファは番たいらしい なぜ、ここまでアルファは番たいのか…… ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです ※長編になるか短編になるかは未定です

ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか

柚ノ木 碧/柚木 彗
BL
夏休み中に家族で田舎の祖母の家に帰省中、突如Ωになりヒートをおこした僕。 そして豹変したように僕に暴言を吐き、荒れ狂う祖母。 呆然とする父。 何も言わなくなった母。 そして、僕は今、田舎の小さな無人駅で一人立ち尽くしている。 こんな僕だけど、ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか。 初BL&オメガバース連載で、オメガバースは三ヶ月前に知った、超が付く初心者です。 そのため、ふんわり設定です。

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?

モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。 平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。 ムーンライトノベルズにも掲載しております。

処理中です...