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66.悠との夜⑤ ※
しおりを挟むさっさと噛まれて楽になりたいってのに。
……あれ?
悠が動こうとしねぇ。
なんでさっさと噛んでくれねーんだよ?
焦らしプレイなら、今は本気でいらないねーよ?
「悠?」
焦れるように名前を呼んでも、動く気配すらねぇ。
なんだよ、無視すんなよ。
普段噛むなって言っても噛もうとするくせに、こっちから頼む時はしてくれねぇってのか?
ムッとするように俯けていた頭を上げて、すぐそばにある悠の顔を覗こうとして──…
心臓がドキリと跳ねる。
悠がギラギラとするような眼差しを、こっちに向けていたからだ。
熱を帯びたようなその視線を感じた途端、捕食者に捕まったような錯覚を覚えて、恐怖に駆られる。
咄嗟に逃げなきゃという思いで腰が浮いた所を、悠が即座に腕を伸ばして掴まえてきた。
気づいたら視界がグルンッと回転していたし、気づいたらベッドにうつ伏せ状態になっている。
(……ッ! なに今の早業ッ!?)
あの一瞬で馬乗り姿勢から、うつぶせにされてたんだけど!?
しかもトリャッ、と投げ飛ばされたわけでもねぇし。
気づいた時にはファサッと優しく、シーツに寝転ばされていたってのが、恐ろしい感じだ。
この技、悠が介護職員だったらめちゃくちゃ重宝されてるんじゃねぇの?
状況に追いつけないまま、目を白黒させる俺を後ろから抱き込むように、悠が背中に覆い被さってきた。
「アキの危機感のなさは、たまに本気で心配になるレベルだな」
──は…?
この野郎…ケンカ売ってんのか?
後ろを振り返って反論する前に、悠が背中に顔を埋めながら、きつく抱きしめてくる。
「──正気か? そんな事を俺に願うなんて、どうかしているとしか思えない。……それとも本当に番にさせられたいのか?」
「なに言って……?」
熱さで朦朧とするせいで、悠が何でなじってくるのかがよく分かんねぇ。
お前が溜め込ませたフェロモンを、お前に抜いてくれって頼んでるだけだろ。
戸惑いながらも、なじってくる悠の声が、苦しそうに震えてんのが気にかかる。
「バカだバカだと思ってたけど……本当に救いようがない。逃がす気なんて元から無いけど──…このまま閉じ込めて、本当に番にしちゃおうか」
項にかかる邪魔な後ろ髪を手で掻き分けると、悠の唇が何度も項を行き来する。
ものすごく失礼な事を言われてる気がしたけど、今はそんな事にも構う余裕がなかった。
「あ…っ、はぁあ……っ」
悠の唇が項を滑るたびに、項が熱く焼け爛れるような錯覚を覚える。
下腹部がヒクヒクと切なく疼いて、泣き出したくなった。
その熱と疼きに堪えきれなくて、とうとう自分の中心部に手を伸ばしてしまう。
このままじゃイケないって分かっていても、自身を扱きあげる手を止めることが出来ない。
悠に扱かれんのもメチャクチャ気持ちが悦かったけど、慣れ親しんだ自分の手もやっぱ気持ちがいい。
「はぁ、あ…っ。悠、早く…、噛め、て…っ」
「っ……!!」
悠が俺の項をきつく吸い上げてくる。
そのまま足の間に、悠の凶悪ペニスがグッっと入り込んできた。
熱さも大きさも、全然俺とは違う。
「っ…はぁ…! アキ…っ、好きだ。好きだよ…っ」
悠のペニスが、ずこずこと裏筋を擦り上げるように、股の間を突き上げてくる。
熱くて硬いものが自分の足の間を出たり入ったりする様子が何だか倒錯的で、淫らで。
……何かすげー興奮する。
自分の手で悠と自身のものを支えるようにしながら、悠の股間に向けてぐりぐりと尻を押し付けるように、腰を揺らした。
「ぁ……ぃっ、気持ち、い…っ、はぁっ、はぁ…っ!」
「アキ、アキ……っ、名前…呼んでっ。アキも、…頼む!」
快楽に支配されている頭に悠の声が届く。
名前…?って悠のか?
何で?って思うけど、何か必死そうだし、呼ぶくらい別にいいか。
「悠…っ、ん、悠…はっ」
「ん。うん…、アキ…はぁっ、気持ちいいよ…っ」
「はぁ…っ、はぁ…っ、悠、ゆぅ、俺、も…っ」
悠が堪らないというように、ぎゅううっと両腕で胸を抱きしめてきた。
それがかなりきつくて息も苦しいくらいなのに、何故かもっと、と思ってしまうから。
……多分俺もちょっと変になってんだろうな。
まぁ頭をクララに支配されてたら、こんなもんか。
はー…、ちんこ気持ちいいね。
はぁはぁ喘ぎながら下を向くと、悠の凶悪ペニスに嬲られる自分のクララが目に入った。
こうして並ぶと、きゅうりと育ち過ぎたズッキーニくらい、見た目に差がある。
さっきはクララが死ぬかと思うほど痛かったけど、今はメチャクチャに擦られてもローションの滑りに助けられているのか、全然痛さを感じない。
むしろゴツゴツと張り出した悠の凶悪ペニスの形状が、クララの裏筋の悦い所を刺激してきて、たまらない快感を生んでいる。
そのペニスで裏筋をなぞられる度に、甘い声が絶えず口から漏れ出す。
先端からダラダラとカウパーが流れ出るせいで、悠のペニスとシーツをどんどんと汚していった。
「………………」
はぁはぁ熱い息を吐きながら、自分の垂れ流しているカウパーを掬うようにして、悠の亀頭に塗り込めていく。
「……、アキ…?」
悠が俺の項から流れる汗を舐めとりながら、ふ…と腰の動きを止めた。
明らかに快感を高めるような手の動きじゃないせいで、不審に思ったんだろうか。
まぁいいや。
だからといって、撫で付けるような手の動きを止めようとは思わないし。
そのまませっせこ自分のモノで、悠のペニスを汚していく。
綺麗なものは汚したくなる──というアレか?
よく分かんねーけど、なんとなく悠のペニスを見つめていたら、汚したいって思っただけだし。
無心で塗り込んでいると、それを覗き込んでいた悠が嬉しそうに。
「どうした? オレに匂いづけでもしてくれてるの?」
──匂いづけ?
そうなのかな? ……いや、よく分かんねぇ。
ただ俺のカウパーで濡れ光る、悠のペニスはなかなか良いもんだなとは思うけど。
だってお前、エロ王子以外は完璧すぎんだもん。
ちょっとくらい庶民臭に塗れてるくらいがちょうどいいよ。
それに俺のモノで汚れた悠も、なかなか素敵だぞ。
なんか安心してそばに居れる気がする
よし、満足したから続きを所望しよう。
悠の腰に向かってお尻をグリグリと擦り付けていたら、悠がフッと笑う気配を感じた。
「…いいよ。オレはアキのものだから……好きなだけ匂いをつければいい」
耳元で囁くように言うと、悠の腰がまた律動を開始し始める。
言葉通りに俺の亀頭部分に向けて、悠が極悪ペニスをグリグリと擦り付けるように揺さぶってきた。
「ひ!…あ、……っあ! んン──~~ッ!」
信じらんねーくらい、気持ちいい。
溶ける、溶ける……っ!
後ろに覆い被さる悠の呼吸も、ハッハッと荒く激しい息遣いに変わっていた。
あぁ、もう本当に限界かも……っ!
「っあ、んぁあ…っ、悠っ、イきた……!ぁ、 おねが…っ、噛んで!!」
抱き込んでくる悠の手の甲に、爪を立てながらそう叫んだ瞬間、ガツッと火花が飛ぶくらいの衝撃が、瞼の奥に走った。
「ぃ…っ、ぐぅう…────~~~ッッ!!」
ギリギリと噛みつかれる痛みよりも、身体中に燻っていた熱が背骨から脳髄までを一気に駆け昇るような開快感の方が、それを上回った。
気がついたら全身をガクガクと震わせながら、蜜口から精を吐き出していた。
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