64 / 70
62.悠との夜①
しおりを挟む悠の甘さに夢中になるように、絡ませた舌を互いにニュルニュルと擦り付け合った。
ん、ん、気持ちいい。
舌先を甘噛みされて、トロンとした心地になる。
うっとりしながら俺もお返しとばかりに、悠の舌にちゅるっと吸い付いてみた。
はぁ…っ、と喘ぐ様に吐き出される悠の吐息が、えっちぃ。
間近から見つめてくる悠の瞳も、蜂蜜色に甘く蕩けきってて……舐めたらすげー甘そう。
(ちょっと、舐めてみてーな……)
飴玉みたいに舌でコロコロと転がしたら、どんな味がするんだろ?
やっぱ見た目と同じく、蜂蜜みたいに甘い味かな?
口ん中だけでも、こんなに甘くて美味しいし。
きっと全身美味しいに決まってる。
「ふ…、っは、んちゅ…、…ンッ」
「…っん、アキ…っ」
ほんと悠は砂糖菓子みたいだ。
口に含んでいるだけで、お腹がきゅうきゅう疼くように痺れてくる。
堪らない気持ちで、吸い付いていた悠の舌を啜ると、甘さと酩酊感に頭がクラクラしてきた。
ていうか、何か身体もダルい……?
(……なんか、酔っ払ってるみてぇ)
絶対体液に、ラム酒が混じってるだろ。
だって唾液を飲みこんだ途端、身体がカァッて熱くなってきたし。
そういや項の辺りも、ピリピリ痺れてやべぇかも。
弛緩していく俺の身体とは逆に、掻き抱いてくる悠の腕は、むしろ痛いくらいに強い。
そんなに強く抱きしめなくても、別に逃げたりしねぇって。
だって、お前…いい匂いするし。
くち……きもちいい。
背筋がぞわぞわする。
(───あ、まただ…)
こんなに気持ちいいのに、何でキスの角度なんか変えんだよ?
別にこのままでもいいじゃん。
それよりも、そのたびに唇を離されるのが……何か嫌だ。寂しいじゃん。
つか離れんなよ!
ずっとくっついていろ!とばかりに、離れようとする唇に自分の唇をきつく押し付けてやる。
一瞬驚いた目でこっちを見てくる悠に気付いたけど、離れるお前が悪いとばかりに睨み返してやった。
……のに、何でそんな嬉しそうな顔になってんの? 変な奴。
まぁ意図が伝わったんならそれでいいか、と満足しかけて。
(む…っ??)
全然ダメじゃん!
口が落ち着いても、この体勢が全然なっちゃいねぇっ。
何だこの生っちょろいくっつき方は!!
俺を舐めてんのか!
上半身はしっかりくっついてるから、このままでも問題は無ぇ。
あるのは下半身だ!
何で下半身は太ももがちょっぴりくっついてるだけなんだよ。
甘えんな! 全身触れさせろ、全身!!
俺は身体全部で、お前の匂いに酔い痴れたいんだっつの!
──…これはダメだ。頂けねぇ!!
隙間警備員として、これは厳重注意モンだ!
つーか、何でそんなに及び腰になってんだよ?
もっとこっちに来ればいいだろって思いながら、悠の足の間に『えいやっ』と自分の片足を割り込ませるという暴挙に出る。
そのまま自分の足ごと悠の下半身を引き寄せながら、俺の股の間にしっかりと挟んでやった。
うむ、完璧だ! おれ、満足!!
やりきった感を出しつつ、悠の片足を自分の両足で挟み込みながらスリスリする。
あの西條って男は悠の匂いが『臭い』って騒いでいたけど、俺はこの匂いが大好きだ。
匂いを擦り込むようにスリスリしていたら、突然荒々しい勢いでガシッと頭を掴まれた。
何だ?と思う間もなく、舌を絡め取ってきたかと思うと、今度は口中深くまで舌を引っ張られてしまう。
「ンンゥ……っ!」
付け根が引き攣るくらいに引っ張られて、目を瞠る。
コイツ…っ。俺の舌を引っこ抜くつもりかよ!
いっ、痛ぇっ! ストップ、ストップ!!
もうそれ以上は伸びねぇってば!!
限界まで引っ張る悠のせいで、唾液が溢れかえって口の端を汚す。
一体、何なんだ!?
目を白黒させながら、悠の猛攻に抵抗する。
キスに夢中になるにしたって、これは激しすぎだろっ。
つか、さっきの蕩けるキスはどこ行ったんだよ!
こんなん痛いだけだし、もうキスなんて呼べねーだろっ。
ただ苦しいだけだっての…っ!
押し退けるような勢いでぷはっと息を吐き出しながら、唇を離す。
すぐに離してくれたから助かったけど、危うく悠に殺される所だった。
俺あぶねぇ…っ!!!
空気を求めて、ぜぇぜぇ、はぁはぁと息継ぎを繰り返しながら、口の端を拭う。
けど、離れた唇から急速に熱が奪われていくのに気づいた途端、わけの分からない寂しさに駆られた。
さっきまであんなに熱かったのに…。
「ゆう……」
思わず物欲しそうな目で悠を呼んでしまった。
情緒不安定かよ、俺。
むしろ死にかけたってのに、また味わいたいと思わせる悠の口がすげーのか?
荒い息を吐き出しながら俺を見つめる悠の唇に、そっと指で触れてみた。
キスの名残で朱く濡れているのが、またすげー婀娜っぽい。
男に使う言葉じゃねーんだろうけど、ほんとそんな言葉が似合うくらい、今の悠は艶かしくて……困る。
痛みと苦しさで吹き飛んでいた熱が、またぶり返してきたみたいに身体が熱くなってきた。
(まさか俺……ちょっと欲情してる?)
悠相手にそれはあまりにも危険な感覚だって分かっていても、唇をなぞる手が止められない。
魅入られたように唇を見つめる俺を見た悠が、唇で挟むように指を食んでくる。
そのまま『おいで』というように、指先を軽く舐めてくるから、気付けば人差し指を咥内に潜り込ませていた。
(うわっ、あったけぇ……)
そのまま指を進めていくと、すぐにクチュッとした音と共に、濡れた感触にぶつかる。
(すげぇ…!
俺いま、悠の口の中に突っ込んでる!!)
指を咥えさせるって行為に、ドキドキしてきた。
まるで悠を組み敷いているみたいだ。
ちょっと優位な立場になったみたいで、大変心地良いです悠さん。
──まぁ、ちんこを咥えさせたことがある俺が何言ってんだって感じだけどな。
けど、あれはまた別なんだよ。
『俺が』咥えさせたって言うより、むしろ『悠に』翻弄されたって方が強かったし。
あれもなぁ…。ギリギリ耐えきったけど、あとちょっとでも刺激されてたら、うっかり口ん中に暴発していたぞ。ほんと危ねぇ。
思い出したら、ちょっとコイツに対して意地悪な気分になってきた。
もう一本指を追加しとくか、と黒い事を考えていたタイミングで、潜ませていた指の付け根を軽く噛まれてビクッとなる。
思考が読まれたか?と視線を上げると、目元を赤くさせた悠と目が合った。
うわ…っ。
熱っぽく潤んだ瞳で見つめてくる、悠の破壊力が凄まじい…!
(今日の悠は、色気が飽和状態しすぎだろ!?)
トロトロに蕩けていたり、ギラギラした目で見つめてきたり、目元を潤ませていたり…。
ほんとタチが悪いってもんじゃねぇな。
思わず引っ込めようとした手を逆に掴まれて、わざと見せつけるように舌でぬるりと指を舐められた。
「ひぁ…っ」
やばい、なんかちょっと変な声が出た。
ビックリしたんだから仕方ねーだろ。
想像以上に舌が柔らかかったんだって!!
挟まれた指の隙間からチラチラと覗く赤い舌も、なんだか扇状的に見えて頬が熱くなってくる。
何か俺、おかしいかも。
指を舐められてるだけなのに、すげー興奮してる。
抑えようと思っても、弾んだ息がなかなか元に戻らねぇ。
落ち着けるようにコクンと唾を飲み込むと──
んん?
何か悠ってば笑ってねぇ?
微かに口元が笑ってるように見えるんだけど。
何だか急に興奮している自分が、恥ずかしくなってきた。
照れ隠しの意味も込めて、少し乱暴に咥内を掻き混ぜてやる。
(ふんっ。涙目になりながら、苦しむがよい!)
分はこちらにあるのだ。
口内を犯しているのは誰の指だと思ってるんだ、ん?と意地の悪いことを思いつつ、舌の裏側を指で触っていたら、悠が突然反撃するように指に吸いついてきた。
「………ッ!!」
ジュッと響く卑猥な音に、むしろ俺の方がビビる。
そんな俺の反応を楽しむように、指を口中からゆっくりと抜き出すように俺に見せつけつつ、抜き終わる手前でまた深く咥えこんでくる。
「うぅう……」
もうやだ、なにこれっ。
指を使ったフェラでもしてんの?!
なんつーやらしい動きだよ!!
(さすがエロ王子……!!)
舐められてもいない下半身まで、ズキズキと痛くなってきたじゃん。
くぅうっ。
今舐められてんのは指だっつーのは分かってんのに、それでもチンコが反応しそうになるのは俺が童貞のせいか?
この視覚効果は童貞にはキツイっつーの!!
鼻息が荒くなるのを必死に押さえながら、舐られたままの指を慌てて口の中から引き抜く。
鬼! サディスト!!
ちょっとくらい調子に乗ったっていいじゃん。
どうせエロさではお前に勝てねーよ!
だからエロをエロで返してくんなって。
童貞の心が傷つくじゃねーか。
だからほんと、もう勘弁して……!
モジッと腰を引く俺を見て、悠がふふっと笑う。
「アキは可愛いな」
「は? あっ、ちょ…っ?」
胸に顔を寄せてきたかと思うと、悠がチュッと音を立てながら、大平原にある小さな突起にしゃぶりついてきた。
待て待て。
キスは許したけど、ここまでは許してねぇぞ。
文句を言いたくても、ジン…と痺れる甘い感覚を耐えるのに、今の俺はいっぱいいっぱいでどうしようもねぇ。
「~~──ッッ!」
くそっ。自分で触るより、数倍気持ちいい。
何とか快感を逃そうと、身じろぎながらイヤイヤしていたら、悠の腕が拘束するように強く抱きすくめてくる。
そのままベッドに押さえつるように、体重をかけられてしまった。
くそっと思うのに、舌でやわやわと乳首の先端を突かれるように舐められるだけで、腰がビクリと跳ねる。
せめて声は出してやるもんか!と、唇をしっかり噛み締めながら刺激に耐えていたっていうのに、それが悠には面白くなかったらしい。
先端を舌で絡めるようにキツく吸い上げられたせいで、堪らずに声を上げてしまった。
「…っひ! んんン……ッ」
腰に溜まるような刺激に、思わず悠の髪の毛を掻き乱しながら縋り付く。
あ、あ、あ…!
乳首がジンジンする~~──ッ!!
やるせない感覚に、挟んでいた悠の足をギュッと締め付けながら、股間と乳首の刺激に耐える。
くっそ、くっそ、くっそぉお!!
ここはあんまり触ってほしくねぇって本気で思ってんのに、一度触られるともっと舐めてほしいって思っちまう。
快感に流されやすい自分の身体が本当に嫌だ。
こんな乳首なんか、もげちまえ!!!
「ぁ…、んっ、んっ。も…止めろって、ば! ゆうぅ…っ」
頼むから口を離せ!!
「んっ、先っぽ、膨れてきた…。きもちい?」
聞きながら、ぐねぐねと舌先で乳首を捏ね回される。
「可愛いね、アキのここ」
…っ! この野郎…ッ!!
(乳首のそばで、喋ってんじゃねーよ!)
熱い吐息が乳首に触れるだけでも、快感で肌が粟立っちう。
………ダメだ!
ほんと気持ちよくて困る!!
気づいたら自ら進んで、悠に胸を突き出すような形になってるし…!!
はぁ、もうっ! ちんこ擦りたい!
悠のアホッ。
走り出したクララは、途中で止まれねぇんだぞ!!
74
お気に入りに追加
3,485
あなたにおすすめの小説

最愛の番になる話
屑籠
BL
坂牧というアルファの名家に生まれたベータの咲也。
色々あって、坂牧の家から逃げ出そうとしたら、運命の番に捕まった話。
誤字脱字とうとう、あるとは思いますが脳内補完でお願いします。
久しぶりに書いてます。長い。
完結させるぞって意気込んで、書いた所まで。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる