17 / 70
16.ヒーローは都合よく現れるわけがない
しおりを挟む────まぁ…。
悠が駆けつけてくれる展開なんて、期待するだけ無駄なんだけど。
てかあのイケメンに、こんなクララをおっ勃ててる姿なんて、見せられるわけがねぇよ。
さすがにドン引かれるわ。
俺にも羞恥心ってものがあるんだよ。
そんなわけで今現在、一人寂しく廊下を歩いている。
壁に手を付きながら休み休み歩いているせいで、なかなか前に進むことが出来ない。
そんな俺の横を、食堂帰りの生徒がどんどん通り過ぎていく。
その度にハッとなって、壁でクララを隠すように立ち止まる俺。
(ほんともう泣きたい……)
クララの暴走を止められなかったせいで、神経が全部股間にもっていかれている感じだ。
股間を隠すように俯きながら歩いているけど、いつちんこの勃起に気づかれるかと思うと、生きた心地がしない。
バレる恐怖と疼く下半身に、今すぐこの場に蹲ってしまいたくなる。
そんなことをしたら余計に生徒の目を引くだろうし、最悪心配した生徒が先生を呼びに行ってしまうかもしれないから、うっかり蹲ることも出来ねぇ。
歩きたくないのに歩くことしか出来ないって、何なのこの状況。
(くそっ、詰んだ。こんなクララの状態じゃ、保健室にも行けねぇよ)
中途半端に刺激される股間のせいで、勃起が治まってくれない。
歩く度にズボンで中が擦れるんだよ。
それが震えるほどに気持ちいい。
シャツが擦れるたびに乳首にも刺激がいくせいで、シャツ越しでもピンと張りつめてきているのが分かる。
とにかく刺激全部が快感に直結してしまうせいで、これ以上歩くのがマジでしんどい。
ちんこの根本も痛ぇよ……。
「あぁ、もう……。くそっ」
こんな場所でさえなかったら、俺のクララを思いっきり泣かすことが出来たのに!
今ならコイツもぐずらずに、一気に昇天間違いなしだ。
「はぁ…はぁ……も、ここでいいから抜きてぇ…」
だんだんここが学校だっていうのも、どうでもよくなってきた。
思考が股間の熱に引っ張られて、ただもうとにかく抜きたい…!
流れ落ちる汗の刺激にさえ、喘ぎ声が漏れそうなほどに背筋がゾクゾクする。
(どこか……どこでもいい。今すぐ抜ける場所に行きたい…!)
壁に手を付きながら、朦朧とする思考でどこで抜こうか考える。
人気がないところってどこだろ…?
屋上…、いや体育倉庫か…?
駄目だ。どこも遠すぎて、今の俺の状態で行ける気がしねぇ。
他は……他はどこか───…
熱で潤む視線の先に、男子トイレが目に入った。
(……トイレか。ここなら今の俺でもなんとか行けそう)
55
お気に入りに追加
3,485
あなたにおすすめの小説

最愛の番になる話
屑籠
BL
坂牧というアルファの名家に生まれたベータの咲也。
色々あって、坂牧の家から逃げ出そうとしたら、運命の番に捕まった話。
誤字脱字とうとう、あるとは思いますが脳内補完でお願いします。
久しぶりに書いてます。長い。
完結させるぞって意気込んで、書いた所まで。

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる