上 下
16 / 70

15.クララの反抗

しおりを挟む
 
 食べ終わりかけに、やっと身体の異変に気がついた。
 初めはちょっと息苦しいかなというくらいだったから、気にも止めてなかったんだけど──…


 だんだん呼吸が乱れてくる。んん? 
 何か息も苦しいような…? ご飯がうまく飲み込めない。
 首をひねりつつ、水の力を借りてなんとか喉奥に流し込んでみたけど……やっぱ変だ。
 この辺りで自分の身体の異常さにやっと気がつく俺。
 息苦しさを少しでも和らげようと、慌ててネクタイを緩めてみる。ついでに首元のボタンも2つほど外してみるが、乱れた呼吸は治まらない。

「はぁ…はぁ…はぁ…ん、…はぁ」

 やばい。熱も上がってきたのか変な汗が吹き出てきた。
 もう食事どころじゃねぇよ。さっさと保健室に行った方がいいのかもしれねぇ。
 食品アレルギー的なものだったら、やばすぎるし。

 ノロノロと席を立つと、悠と自分のトレーを持って返却口に向かう。
 その間にも額から汗が流れ落ちてくるせいで、何度も目を瞬く。
 ……くそ。両手がふさがっているせいで、拭うことも出来ねぇ。
 何かお腹の辺りがずっとモヤモヤするし。

 さっきは二人の姿を想像して、モヤっていたのかと思ってたけど違った。
 これ、吐き気かも。
 どんどんモヤモヤが大きくなってきているのか、お腹がすげー熱い。
 ムカムカはしないけど、灼けるような感覚に恐怖を覚える。

(う…うぅう……。早く、保健室……)

 力が入らないせいで、トレーを持つ手もブルブルと震えてくる。
 それでもなんとか落とさずに、返却口にトレーを返すことが出来た。俺、頑張った。

 フラフラする足取りでなんとか食堂を出ると、そのまま保健室を目指す。
 同じ階に保健室があるのが救いだ。
 一歩歩くごとに、広範囲に熱が広がっていくみたいだ。怖い。

(どうしよ。俺…このまま死んじゃったりしないよな?)

 そう思ったら心臓がキュウッと縮み上がった。
 不安だし心細くてたまらない。
 さっきは先輩と一緒に行って来いなんて、悠に言わきゃ良かった…。
 後悔しても遅いけど、ここに悠が一緒にいれば心強かったと思う。
 落ち着いたあの雰囲気が今はすげー恋しい。原因が分からないこの状況が怖すぎて、ジワリと目頭が熱くなってくる。

(やっぱ『心配だったから、戻ってきた』ってここに駆けつけて来ねーかな、悠のやつ)

 それだったら胸アツ展開なのに……。
 胸アツっていうか、今はちんこが熱いけどな。
 思わず自分の想像に苦笑してしまったところで『?』となる。


 ………は?


(────ちんこ…?)


 慌てて自分の下腹部を見てギョッとなった。
 俺のクララちんこがこんな場所だというのに、元気よく勃ちあがろうとしている。


 は? はぁあああああっ?
 ……うっそだろ、お前っっ!?


 普段『勃ち上がれ!』と願いながら、擦り切れるまで擦っても反応を見せないクララさんが、ここに来てまさかのの反抗を見せてきた。

(おいおいおいおい…)

 そんな状況じゃねーってのに、なんでこんな場面で反応を見せてんだよお前は。
 上昇する体温とは真逆に、血の気が引いていく。
 マジでどうしちゃったの、俺の身体!
 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
 焦る気持ちとは裏腹に、どんどんクララが硬くなっていくんだけど……!
 パニックで嫌な汗が吹き出てくる。
 なのに一度走り出したクララが止まってくれねぇ!


(だ…誰か……っ 悠───…!!)




しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

最愛の番になる話

屑籠
BL
 坂牧というアルファの名家に生まれたベータの咲也。  色々あって、坂牧の家から逃げ出そうとしたら、運命の番に捕まった話。 誤字脱字とうとう、あるとは思いますが脳内補完でお願いします。 久しぶりに書いてます。長い。 完結させるぞって意気込んで、書いた所まで。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...