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15.クララの反抗
しおりを挟む食べ終わりかけに、やっと身体の異変に気がついた。
初めはちょっと息苦しいかなというくらいだったから、気にも止めてなかったんだけど──…
だんだん呼吸が乱れてくる。んん?
何か息も苦しいような…? ご飯がうまく飲み込めない。
首をひねりつつ、水の力を借りてなんとか喉奥に流し込んでみたけど……やっぱ変だ。
この辺りで自分の身体の異常さにやっと気がつく俺。
息苦しさを少しでも和らげようと、慌ててネクタイを緩めてみる。ついでに首元のボタンも2つほど外してみるが、乱れた呼吸は治まらない。
「はぁ…はぁ…はぁ…ん、…はぁ」
やばい。熱も上がってきたのか変な汗が吹き出てきた。
もう食事どころじゃねぇよ。さっさと保健室に行った方がいいのかもしれねぇ。
食品アレルギー的なものだったら、やばすぎるし。
ノロノロと席を立つと、悠と自分のトレーを持って返却口に向かう。
その間にも額から汗が流れ落ちてくるせいで、何度も目を瞬く。
……くそ。両手がふさがっているせいで、拭うことも出来ねぇ。
何かお腹の辺りがずっとモヤモヤするし。
さっきは二人の姿を想像して、モヤっていたのかと思ってたけど違った。
これ、吐き気かも。
どんどんモヤモヤが大きくなってきているのか、お腹がすげー熱い。
ムカムカはしないけど、灼けるような感覚に恐怖を覚える。
(う…うぅう……。早く、保健室……)
力が入らないせいで、トレーを持つ手もブルブルと震えてくる。
それでもなんとか落とさずに、返却口にトレーを返すことが出来た。俺、頑張った。
フラフラする足取りでなんとか食堂を出ると、そのまま保健室を目指す。
同じ階に保健室があるのが救いだ。
一歩歩くごとに、広範囲に熱が広がっていくみたいだ。怖い。
(どうしよ。俺…このまま死んじゃったりしないよな?)
そう思ったら心臓がキュウッと縮み上がった。
不安だし心細くてたまらない。
さっきは先輩と一緒に行って来いなんて、悠に言わきゃ良かった…。
後悔しても遅いけど、ここに悠が一緒にいれば心強かったと思う。
落ち着いたあの雰囲気が今はすげー恋しい。原因が分からないこの状況が怖すぎて、ジワリと目頭が熱くなってくる。
(やっぱ『心配だったから、戻ってきた』ってここに駆けつけて来ねーかな、悠のやつ)
それだったら胸アツ展開なのに……。
胸アツっていうか、今はちんこが熱いけどな。
思わず自分の想像に苦笑してしまったところで『?』となる。
………は?
(────ちんこ…?)
慌てて自分の下腹部を見てギョッとなった。
俺のクララがこんな場所だというのに、元気よく勃ちあがろうとしている。
は? はぁあああああっ?
……うっそだろ、お前っっ!?
普段『勃ち上がれ!』と願いながら、擦り切れるまで擦っても反応を見せないクララさんが、ここに来てまさかのの反抗を見せてきた。
(おいおいおいおい…)
そんな状況じゃねーってのに、なんでこんな場面で反応を見せてんだよお前は。
上昇する体温とは真逆に、血の気が引いていく。
マジでどうしちゃったの、俺の身体!
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
焦る気持ちとは裏腹に、どんどんクララが硬くなっていくんだけど……!
パニックで嫌な汗が吹き出てくる。
なのに一度走り出したクララが止まってくれねぇ!
(だ…誰か……っ 悠───…!!)
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