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第4章 迷宮の宝
第31話 再発進
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「くっそ、ゲインロードのヤツ、騙しやがったな……!」
とっさのことだったんで『スマホ』で分析する時間はなかったが、ゲインロードが使ったのは、手強いモンスターなどと遭遇して窮地になったときにそのモンスターを強制的に転移させる超希少アイテムだろう。
彼らと完全に和解できたと思ってたんで、こんな罠にはめるなんて考えもしなかったぜ。
理知的に見えてもやはり百戦錬磨のSランク、油断しちゃダメだったってことか。
それにしても強引すぎる。いくらオレが強いとはいえ、協力する姿勢は充分示したはずだ。
なのに、こうまでしてオレを引き離す理由がよく分からない。
それほど『導きの白樹笛』が欲しかった可能性もあるが、どうもゲインロードの意図は違うような気がする。
「まったく、マスターはバカですね。せっかくワタシが身を挺してお助けしたのに、自分から罠に飛び込んでしまうなんて。ワタシなんて放っておいても問題ありませんのに」
レムはそれ見たことかといった表情でオレを見つめる。
いつか痛い目に遭うと忠告された直後にこれだからな。返す言葉もない。
それに、レムの言う通り、放っておいても問題なかった。
仮にレムがいなくなっても、いくらでも作り直せる。あえて助ける意味などない。
今一番重要なのは、一刻も早く最下層に行ってダンジョンをクリアすることだ。
アニスを救うためなら、こんなことをすべきじゃなかった。
でもレムを放っておけなかった。
みんなが見ている手前、レムを見殺しにはできないというのもあるが、そんなことを考える間もなく無意識に体が動いちまったんだ。
我ながら、なんだろうなあこの気持ち……はぁ……。
「まあ済んじまったことは仕方ない。とにかく、一刻も早くみんなのところに戻らないとな。とはいえ、いったいどこに飛ばされたのやら……」
転移アイテムは迷宮内の場所にランダムに転移させるらしいが、周囲の様子からしてここは下層ではなさそうだ。恐らく、中層くらいだとは思うが……。
だいぶ戻されちまったなあ。ようやくあと少しで最下層だったってのに。
不幸中の幸いというか、ダンジョンから強制脱出させられなかったのは助かった。まあ『赤き壁』の中では『脱出輝石』は無効だけど。
いつ合流できるのか見当もつかないが、オレとレムだけなら、彼らの数倍の速さで迷宮攻略はできる。
それでも、元の場所に戻るまで数日かかるだろう。
また短縮通路を見つけることができればいいんだが……。
「マスター、アイツらへの報復として、『導きの白樹笛』を消してしまってはどうですか? そうすれば、アイツらは迷宮を彷徨うでしょうから、追いつくことも容易になります。一石二鳥ですよ」
レムが言う通り、『スマホ』のコピー能力で出したものは消すことも可能だ。
だがそんなことをすれば彼らが危険になる。ザックたちもいるし、無闇に消すことはできない。
それに、別に迷宮は誰がクリアしても問題ない。
つまり、このまま彼らがクリアできるなら、この状況も悲観する必要はないんだが、果たしてオレなしで可能なのかどうか。
Sランク級が50人以上いるから、本来なら大抵のダンジョンはクリアできるはず。
しかし、この『赤き迷宮』は別だ。暗黒の守護機神や冥府の凶獣王なんて怪物が出てきただけに、ダンジョンボスはとんでもないヤツの可能性が高い。
ごく少数のケースとして、ボス不在で宝だけ置いてある事例も存在するが、この迷宮はそんな感じはしないな。やはりオレがいないとまずいだろう。
「よし、行くぞレム。一気に突っ走るぞ!」
「はい、マスター!」
レムが笑顔で返事をする。
何か嬉しそうな感じだが、コイツ状況が分かってるのかな?
とりあえず、気合いを入れてオレとレムは走り出した。
☆
「よっしゃ、こっちは終わったぞレム」
「ワタシも全て倒しました」
双頭の邪蛇神の群れをオレたち2人で撃退する。
ほかのモンスターは瞬殺してきたんだが、この強敵にはさすがに少し手間取った。
といっても、10分程度ではあるが。
移動し始めてすでに数時間。
時刻はもう夜中だが、休んでいる暇も惜しいので、オレたちはひたすら前に進んでいった。
おかげでかなり攻略できたが、それでもまだまだ下層は遠い。
このまま不眠不休で戦い続けたいところだが、やはり休憩は必要だ。
そろそろ戦闘は終わりにして、仮眠を取る場所を探していたところ、ふと通路前方の遠くに数人の人影を見つける。
恐らく、ダンジョンを彷徨っている冒険者たちだろう。
オレは『遠視眼』スキルでその姿を確認してみた。すると……
ちょっとまて!
あの見慣れた顔は……バーダンたちだ!
そして……アニスもいる!
やっと、やっと会えた!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
明日10/23から、この『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されます!
リュークやアニスたちの生き生きとした姿を颯希先生が描いてくださいましたので、是非ご覧になってくださいませ。
とっさのことだったんで『スマホ』で分析する時間はなかったが、ゲインロードが使ったのは、手強いモンスターなどと遭遇して窮地になったときにそのモンスターを強制的に転移させる超希少アイテムだろう。
彼らと完全に和解できたと思ってたんで、こんな罠にはめるなんて考えもしなかったぜ。
理知的に見えてもやはり百戦錬磨のSランク、油断しちゃダメだったってことか。
それにしても強引すぎる。いくらオレが強いとはいえ、協力する姿勢は充分示したはずだ。
なのに、こうまでしてオレを引き離す理由がよく分からない。
それほど『導きの白樹笛』が欲しかった可能性もあるが、どうもゲインロードの意図は違うような気がする。
「まったく、マスターはバカですね。せっかくワタシが身を挺してお助けしたのに、自分から罠に飛び込んでしまうなんて。ワタシなんて放っておいても問題ありませんのに」
レムはそれ見たことかといった表情でオレを見つめる。
いつか痛い目に遭うと忠告された直後にこれだからな。返す言葉もない。
それに、レムの言う通り、放っておいても問題なかった。
仮にレムがいなくなっても、いくらでも作り直せる。あえて助ける意味などない。
今一番重要なのは、一刻も早く最下層に行ってダンジョンをクリアすることだ。
アニスを救うためなら、こんなことをすべきじゃなかった。
でもレムを放っておけなかった。
みんなが見ている手前、レムを見殺しにはできないというのもあるが、そんなことを考える間もなく無意識に体が動いちまったんだ。
我ながら、なんだろうなあこの気持ち……はぁ……。
「まあ済んじまったことは仕方ない。とにかく、一刻も早くみんなのところに戻らないとな。とはいえ、いったいどこに飛ばされたのやら……」
転移アイテムは迷宮内の場所にランダムに転移させるらしいが、周囲の様子からしてここは下層ではなさそうだ。恐らく、中層くらいだとは思うが……。
だいぶ戻されちまったなあ。ようやくあと少しで最下層だったってのに。
不幸中の幸いというか、ダンジョンから強制脱出させられなかったのは助かった。まあ『赤き壁』の中では『脱出輝石』は無効だけど。
いつ合流できるのか見当もつかないが、オレとレムだけなら、彼らの数倍の速さで迷宮攻略はできる。
それでも、元の場所に戻るまで数日かかるだろう。
また短縮通路を見つけることができればいいんだが……。
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レムが言う通り、『スマホ』のコピー能力で出したものは消すことも可能だ。
だがそんなことをすれば彼らが危険になる。ザックたちもいるし、無闇に消すことはできない。
それに、別に迷宮は誰がクリアしても問題ない。
つまり、このまま彼らがクリアできるなら、この状況も悲観する必要はないんだが、果たしてオレなしで可能なのかどうか。
Sランク級が50人以上いるから、本来なら大抵のダンジョンはクリアできるはず。
しかし、この『赤き迷宮』は別だ。暗黒の守護機神や冥府の凶獣王なんて怪物が出てきただけに、ダンジョンボスはとんでもないヤツの可能性が高い。
ごく少数のケースとして、ボス不在で宝だけ置いてある事例も存在するが、この迷宮はそんな感じはしないな。やはりオレがいないとまずいだろう。
「よし、行くぞレム。一気に突っ走るぞ!」
「はい、マスター!」
レムが笑顔で返事をする。
何か嬉しそうな感じだが、コイツ状況が分かってるのかな?
とりあえず、気合いを入れてオレとレムは走り出した。
☆
「よっしゃ、こっちは終わったぞレム」
「ワタシも全て倒しました」
双頭の邪蛇神の群れをオレたち2人で撃退する。
ほかのモンスターは瞬殺してきたんだが、この強敵にはさすがに少し手間取った。
といっても、10分程度ではあるが。
移動し始めてすでに数時間。
時刻はもう夜中だが、休んでいる暇も惜しいので、オレたちはひたすら前に進んでいった。
おかげでかなり攻略できたが、それでもまだまだ下層は遠い。
このまま不眠不休で戦い続けたいところだが、やはり休憩は必要だ。
そろそろ戦闘は終わりにして、仮眠を取る場所を探していたところ、ふと通路前方の遠くに数人の人影を見つける。
恐らく、ダンジョンを彷徨っている冒険者たちだろう。
オレは『遠視眼』スキルでその姿を確認してみた。すると……
ちょっとまて!
あの見慣れた顔は……バーダンたちだ!
そして……アニスもいる!
やっと、やっと会えた!
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