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第4章 迷宮の宝
第29話 処刑人ファイク
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広い部屋の中央で、オレと『首斬り狩人』ファイクが向かい合う。
少し離れた周囲には、AランクのみんなやSランクたちがオレたちの対決を見守っている。
オレたちとSランクたちとの関係がこじれたことにより、オレとファイクが決闘をすることになってしまった。
もちろん殺し合いまではしないが、オレに侮辱されたと思っているファイクの怒りは相当なものらしく、場合によってはただでは済まないような雰囲気も漂わせている。
ザックから聞いたところ、ファイクは対人戦を特に得意としていて、傭兵や暗殺まがいの仕事も請け負ってるとか。
自信満々に出てきたところを考えても、彼らの中で一番タイマンに強いのだろう。
「準備はいいか、小僧。一応聞くが、額を地につけて謝罪するなら赦してやってもいい。どうだ?」
ファイクがオレに向かって尋ねる。
「いや、ご忠告痛み入るが、せっかくだから力比べをしてみよう」
ファイクの提案を、オレは丁重に断った。
ジャビロたちとのときもそうだったが、今後のことを考えても、力関係はハッキリさせておいたほうがいい。
「ふむ仕方ない、では力ずくで貴様を地べたに這いつくばらせてやろう。なるべく注意はするが、オレはついやり過ぎてしまうタチでな。手足の一本なくなっても恨むなよ? ……行くぞ!」
ファイクは手に持つ両刃剣をついっと前に掲げ、即座に駆け出した。
(おわっ、速いっ! さすが高名なSランク、スピードも一流だな)
ファイクは瞬時に間合いを詰めると、その両刃剣をグルグルと高速回転させてオレを攻撃した。
通常の剣と違い、両刃剣は柄の両端に刃が付いているので、使い方も工夫しなくてはならない。
ファイクは柄を回転させることで、両方の刃を効率良く利用している。この攻撃方法なら、通常の剣の2倍斬りつけることが可能だ。
しかし、その竜巻のような鋭い斬撃をオレは難なく避ける。
「なっ、なにっ!? 手加減したとはいえ、今の攻撃を躱すのか!?」
オレの動きを見て、ファイクは驚く。
分かってはいたが、だいぶオレは過小評価されていたらしい。
ファイクは侮っていたことを反省したようで、顔にぎりりと険しさが表れた。
このあとは本気で来るだろう。心してかからないと。
「なるほど、ジャビロに勝ったのは事実のようだな。ならば、オレも本気で相手をさせてもらおう。死んで後悔するがいい」
そう言いながら、ファイクは頭上で両刃剣を回転させ始めた。
ちょっと独特な使い方だが、アレが真の攻撃スタイルってことか?
「喰らえっ!」
ファイクはまた瞬時に間合いを詰めて、頭上の両刃剣をオレに打ち込む。
確かにさっきの攻撃よりは鋭いが、取り立てて強力ということはないな。
初撃と同じようにオレは躱し、一応追撃を警戒しながら5メートルほど距離を取ると、信じられないことが起こった。
どう考えても届かない距離なのに、両刃剣がオレの体を貫こうと伸びてきたからだ。
少し油断していたので、慌ててオレは身を躱した。
改めて今の現象を考えてみるが、斬撃による衝撃波などじゃなく、見間違えでなければ両刃剣がズルリと伸びたようだった。
どういうことだ?
「ぬうっ、これも躱すか!? だが、オレの『百牙大蛇』からは逃れられん!」
ファイクはさらに高速で両刃剣を回転させながら、オレに突進してくる。
そしてジャンプしたあと、上空から両刃剣を打ち下ろしてきた。
オレは不可思議な現象を見極めるため、斬撃を避けながら両刃剣の動きに注視していると……
(おわわっ、なんだこりゃっ!?)
さっきと同様に距離を取ったところ、両刃剣の柄が鞭のようにしなりながら伸びて、オレを追撃してきた。
目の錯覚などじゃなく、実際に伸びたのだ。
さらに、両刃剣はファイクの頭上で回転しながら、ミサイルのように次々とオレに向かって飛んできた。
そうか、あの両刃剣『百牙大蛇』は魔導武器なんだ!
ファイクの意志で、相手を追尾しながら自在に伸びる。
左右両方の刃が変幻自在に伸びて、間断なく相手を攻撃する――まさに『首斬り狩人』という異名に相応しい技だ。
これじゃ、まともに近付くことさえ不可能だろう。
「ぐうっ、ここまで『百牙大蛇』の攻撃を躱すとは……」
ファイクが着地して、また宙に跳び上がる。
そして、空中の何もないところを蹴って、急角度で方向を変えた。
空中に見えない足場を作って移動する『空蹴り』のスキルだ。
その動きにオレが反応したところ、さらに『空蹴り』で方向を変えて、オレを翻弄しようとする。
「小僧、もらったぞ!」
オレの死角をとったファイクが、神速で両刃剣を振るった。
……と傍目には思うだろうが、オレはわざと隙を見せただけで、ファイクの動きは全て見切っている。
オレの首目掛け一気に迫ってきた刃を、オレはあっさりと指でつまんで止めた。
「バッ、バカなっ!?」
オレはそのまま力ずくで両刃剣をもぎ取り、その勢いのままファイクを払い飛ばした。
地に叩きつけられたファイクがゴロゴロと転がっていく。
少し離れた周囲には、AランクのみんなやSランクたちがオレたちの対決を見守っている。
オレたちとSランクたちとの関係がこじれたことにより、オレとファイクが決闘をすることになってしまった。
もちろん殺し合いまではしないが、オレに侮辱されたと思っているファイクの怒りは相当なものらしく、場合によってはただでは済まないような雰囲気も漂わせている。
ザックから聞いたところ、ファイクは対人戦を特に得意としていて、傭兵や暗殺まがいの仕事も請け負ってるとか。
自信満々に出てきたところを考えても、彼らの中で一番タイマンに強いのだろう。
「準備はいいか、小僧。一応聞くが、額を地につけて謝罪するなら赦してやってもいい。どうだ?」
ファイクがオレに向かって尋ねる。
「いや、ご忠告痛み入るが、せっかくだから力比べをしてみよう」
ファイクの提案を、オレは丁重に断った。
ジャビロたちとのときもそうだったが、今後のことを考えても、力関係はハッキリさせておいたほうがいい。
「ふむ仕方ない、では力ずくで貴様を地べたに這いつくばらせてやろう。なるべく注意はするが、オレはついやり過ぎてしまうタチでな。手足の一本なくなっても恨むなよ? ……行くぞ!」
ファイクは手に持つ両刃剣をついっと前に掲げ、即座に駆け出した。
(おわっ、速いっ! さすが高名なSランク、スピードも一流だな)
ファイクは瞬時に間合いを詰めると、その両刃剣をグルグルと高速回転させてオレを攻撃した。
通常の剣と違い、両刃剣は柄の両端に刃が付いているので、使い方も工夫しなくてはならない。
ファイクは柄を回転させることで、両方の刃を効率良く利用している。この攻撃方法なら、通常の剣の2倍斬りつけることが可能だ。
しかし、その竜巻のような鋭い斬撃をオレは難なく避ける。
「なっ、なにっ!? 手加減したとはいえ、今の攻撃を躱すのか!?」
オレの動きを見て、ファイクは驚く。
分かってはいたが、だいぶオレは過小評価されていたらしい。
ファイクは侮っていたことを反省したようで、顔にぎりりと険しさが表れた。
このあとは本気で来るだろう。心してかからないと。
「なるほど、ジャビロに勝ったのは事実のようだな。ならば、オレも本気で相手をさせてもらおう。死んで後悔するがいい」
そう言いながら、ファイクは頭上で両刃剣を回転させ始めた。
ちょっと独特な使い方だが、アレが真の攻撃スタイルってことか?
「喰らえっ!」
ファイクはまた瞬時に間合いを詰めて、頭上の両刃剣をオレに打ち込む。
確かにさっきの攻撃よりは鋭いが、取り立てて強力ということはないな。
初撃と同じようにオレは躱し、一応追撃を警戒しながら5メートルほど距離を取ると、信じられないことが起こった。
どう考えても届かない距離なのに、両刃剣がオレの体を貫こうと伸びてきたからだ。
少し油断していたので、慌ててオレは身を躱した。
改めて今の現象を考えてみるが、斬撃による衝撃波などじゃなく、見間違えでなければ両刃剣がズルリと伸びたようだった。
どういうことだ?
「ぬうっ、これも躱すか!? だが、オレの『百牙大蛇』からは逃れられん!」
ファイクはさらに高速で両刃剣を回転させながら、オレに突進してくる。
そしてジャンプしたあと、上空から両刃剣を打ち下ろしてきた。
オレは不可思議な現象を見極めるため、斬撃を避けながら両刃剣の動きに注視していると……
(おわわっ、なんだこりゃっ!?)
さっきと同様に距離を取ったところ、両刃剣の柄が鞭のようにしなりながら伸びて、オレを追撃してきた。
目の錯覚などじゃなく、実際に伸びたのだ。
さらに、両刃剣はファイクの頭上で回転しながら、ミサイルのように次々とオレに向かって飛んできた。
そうか、あの両刃剣『百牙大蛇』は魔導武器なんだ!
ファイクの意志で、相手を追尾しながら自在に伸びる。
左右両方の刃が変幻自在に伸びて、間断なく相手を攻撃する――まさに『首斬り狩人』という異名に相応しい技だ。
これじゃ、まともに近付くことさえ不可能だろう。
「ぐうっ、ここまで『百牙大蛇』の攻撃を躱すとは……」
ファイクが着地して、また宙に跳び上がる。
そして、空中の何もないところを蹴って、急角度で方向を変えた。
空中に見えない足場を作って移動する『空蹴り』のスキルだ。
その動きにオレが反応したところ、さらに『空蹴り』で方向を変えて、オレを翻弄しようとする。
「小僧、もらったぞ!」
オレの死角をとったファイクが、神速で両刃剣を振るった。
……と傍目には思うだろうが、オレはわざと隙を見せただけで、ファイクの動きは全て見切っている。
オレの首目掛け一気に迫ってきた刃を、オレはあっさりと指でつまんで止めた。
「バッ、バカなっ!?」
オレはそのまま力ずくで両刃剣をもぎ取り、その勢いのままファイクを払い飛ばした。
地に叩きつけられたファイクがゴロゴロと転がっていく。
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