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第4章 迷宮の宝
第27話 合流
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「これでトドメだっ!」
ザックがエルダーリッチに必殺の斬撃を打ち込む。
左肩から右脇腹に向けて袈裟斬りにされたエルダーリッチは、そのまま白煙を噴き上げて消滅した。
『迷宮の死神』と言われるほど危険なモンスターであるエルダーリッチと遭遇したが、みんなは落ちついて撃退したのだった。
「本来ならダンジョンボスであるエルダーリッチが通路を彷徨いてるなんて、まったくなんて迷宮だ」
「以前のオレたちなら、エルダーリッチと出くわしたら死を覚悟しなくちゃならんところだ。それが、30人総勢で戦ったとはいえ、こうも見事に返り討ちできるとは……」
「まあ暗黒の守護機神や冥府の凶獣王の恐ろしさと比べたら、エルダーリッチなんて小物だからな。今のオレたちの敵じゃないぜ」
「おいおい、自信を持つのはいいが、リュークが強化してくれた装備のおかげということは忘れるなよ?」
強敵との戦闘を終えて緊張から解き放たれたみんなは、他愛もない会話をしながらまた集合する。
『転移トラップ』で一気に深層に来てから一晩が経ち、現在オレたちは最下層に向けてまた進んでいるところだ。
この辺りを徘徊している敵は怪物級ばかりなので、その最下層ももう遠くないと感じている。
「あったぞ、階下に下りる階段だ。次こそ最下層じゃねえか?」
先頭を歩いていた冒険者が、期待に満ちた声を上げた。
階段を見つける度に、そろそろ着いてもいい頃だとみんな思っている。
今度こそ最下層であることを祈りながら、オレたちは階段を下りていく。
『導きの白樹笛』に導かれながら、そのフロアをしばらく進んでいくと、何やら人間の気配を感じた。
気のせいなんかじゃなく、間違いなく人がいる。それも大勢だ。
『スマホ』のマップで確認してみると、20人以上いるようだった。
もしかしてアニスたちじゃ……!
「みんな、このすぐ先に大勢の人間がいる。きっと行方不明になっていた冒険者たちだ!」
「なんだって!!」
オレの言葉にみんなが驚く。
生きているかどうか分からなかった冒険者たちと、ようやく合流できるのだ。
そうアニスは絶対に無事だ! 早くこの目で確認したい……!
「みんな、急ごう!」
周囲に注意しながら、オレたちは早足でその場に駆けつけるのだった。
☆
少し先に扉があり、そこに入ってみると、広い部屋に大勢の冒険者たちが集まっていた。
見ただけで、誰もが凄腕ということが分かる。全員Sランクの金プレートを付けているからだ。
(アニス……アニスは……!?)
オレは逸る気持ちを抑えられず、言葉も出ないまま慌てて周囲を見回す。
しかし……そこにアニスはいなかった。
「な……なんだお前ら!? こんな場所まで何しに来た!?」
「何しにって、君たちを助けに来たに決まってるだろ!」
相手の問いにザックが答える。
迷宮に閉じ込められた冒険者たちは窮地に陥っているだろうと考えていただけに、何しに来たなんて言われてオレたちは少々困惑した。
その相手も、こんな深層に突然オレたちが現れたことにかなり驚いているようだ。
「オレたちを助けにだと……? 余計なお節介だぜ。それより、よくここまで来られたな? お前らAランクだろ?」
「いや、『双大剣』のジャビロがあそこにいるぜ。なるほど、『黒鷲の爪』が一緒ならおかしくはないか」
最後尾にいるジャビロたち『黒鷲の爪』を見て、ここのSランクたちも納得したらしい。
行方不明になっている冒険者たちが心配だったが、とりあえずここの連中は元気一杯なようで安心した。
アニスがいないことには落胆したが、この調子ならきっとアニスも無事だろう……そう信じたい。
ほかの冒険者たちだって、未だに迷宮のどこかで彷徨ってるはず。彼らを救い出すためにも、一刻も早くこの迷宮をクリアしなくちゃな。
それにしても、この迷宮にこんなにSランクが来ていたとは……
『覇王の卵』にはそれほど価値があるってことか。
「こりゃすげえメンバーだな。名だたるSランクが揃ってやがるぜ」
ザックが小声で呟く。
「彼らを知ってるのか?」
オレは冒険者事情には詳しくないので、ザックに聞いてみる。
「ああ、有名なヤツらだ。あのでかい獣人は『狂い獅子』ウルヴァル、あそこの痩せた男は『閃光』のレピィー、持ち手の両端に刀身が付いている両刃剣を持ってるのは『首斬り狩人』ファイク、ライトブルーの髪色の女性は『冷血の淑女』サリア、そして恐らく彼らをまとめているのが『常勝の百人長』のゲインロードだ」
なるほど、ザックが説明してくれた5人は、このSランクの中でも頭1つ抜けている。
5人それぞれがチームを持っているリーダーのようだが、一時的にそれをまとめているのがゲインロードという男なわけか。
確かに、理知的な雰囲気と統率力を感じる。
思わぬ展開に全員が少々動揺したが、ひと息ついたところでお互いの状況を説明することに。
ザックがエルダーリッチに必殺の斬撃を打ち込む。
左肩から右脇腹に向けて袈裟斬りにされたエルダーリッチは、そのまま白煙を噴き上げて消滅した。
『迷宮の死神』と言われるほど危険なモンスターであるエルダーリッチと遭遇したが、みんなは落ちついて撃退したのだった。
「本来ならダンジョンボスであるエルダーリッチが通路を彷徨いてるなんて、まったくなんて迷宮だ」
「以前のオレたちなら、エルダーリッチと出くわしたら死を覚悟しなくちゃならんところだ。それが、30人総勢で戦ったとはいえ、こうも見事に返り討ちできるとは……」
「まあ暗黒の守護機神や冥府の凶獣王の恐ろしさと比べたら、エルダーリッチなんて小物だからな。今のオレたちの敵じゃないぜ」
「おいおい、自信を持つのはいいが、リュークが強化してくれた装備のおかげということは忘れるなよ?」
強敵との戦闘を終えて緊張から解き放たれたみんなは、他愛もない会話をしながらまた集合する。
『転移トラップ』で一気に深層に来てから一晩が経ち、現在オレたちは最下層に向けてまた進んでいるところだ。
この辺りを徘徊している敵は怪物級ばかりなので、その最下層ももう遠くないと感じている。
「あったぞ、階下に下りる階段だ。次こそ最下層じゃねえか?」
先頭を歩いていた冒険者が、期待に満ちた声を上げた。
階段を見つける度に、そろそろ着いてもいい頃だとみんな思っている。
今度こそ最下層であることを祈りながら、オレたちは階段を下りていく。
『導きの白樹笛』に導かれながら、そのフロアをしばらく進んでいくと、何やら人間の気配を感じた。
気のせいなんかじゃなく、間違いなく人がいる。それも大勢だ。
『スマホ』のマップで確認してみると、20人以上いるようだった。
もしかしてアニスたちじゃ……!
「みんな、このすぐ先に大勢の人間がいる。きっと行方不明になっていた冒険者たちだ!」
「なんだって!!」
オレの言葉にみんなが驚く。
生きているかどうか分からなかった冒険者たちと、ようやく合流できるのだ。
そうアニスは絶対に無事だ! 早くこの目で確認したい……!
「みんな、急ごう!」
周囲に注意しながら、オレたちは早足でその場に駆けつけるのだった。
☆
少し先に扉があり、そこに入ってみると、広い部屋に大勢の冒険者たちが集まっていた。
見ただけで、誰もが凄腕ということが分かる。全員Sランクの金プレートを付けているからだ。
(アニス……アニスは……!?)
オレは逸る気持ちを抑えられず、言葉も出ないまま慌てて周囲を見回す。
しかし……そこにアニスはいなかった。
「な……なんだお前ら!? こんな場所まで何しに来た!?」
「何しにって、君たちを助けに来たに決まってるだろ!」
相手の問いにザックが答える。
迷宮に閉じ込められた冒険者たちは窮地に陥っているだろうと考えていただけに、何しに来たなんて言われてオレたちは少々困惑した。
その相手も、こんな深層に突然オレたちが現れたことにかなり驚いているようだ。
「オレたちを助けにだと……? 余計なお節介だぜ。それより、よくここまで来られたな? お前らAランクだろ?」
「いや、『双大剣』のジャビロがあそこにいるぜ。なるほど、『黒鷲の爪』が一緒ならおかしくはないか」
最後尾にいるジャビロたち『黒鷲の爪』を見て、ここのSランクたちも納得したらしい。
行方不明になっている冒険者たちが心配だったが、とりあえずここの連中は元気一杯なようで安心した。
アニスがいないことには落胆したが、この調子ならきっとアニスも無事だろう……そう信じたい。
ほかの冒険者たちだって、未だに迷宮のどこかで彷徨ってるはず。彼らを救い出すためにも、一刻も早くこの迷宮をクリアしなくちゃな。
それにしても、この迷宮にこんなにSランクが来ていたとは……
『覇王の卵』にはそれほど価値があるってことか。
「こりゃすげえメンバーだな。名だたるSランクが揃ってやがるぜ」
ザックが小声で呟く。
「彼らを知ってるのか?」
オレは冒険者事情には詳しくないので、ザックに聞いてみる。
「ああ、有名なヤツらだ。あのでかい獣人は『狂い獅子』ウルヴァル、あそこの痩せた男は『閃光』のレピィー、持ち手の両端に刀身が付いている両刃剣を持ってるのは『首斬り狩人』ファイク、ライトブルーの髪色の女性は『冷血の淑女』サリア、そして恐らく彼らをまとめているのが『常勝の百人長』のゲインロードだ」
なるほど、ザックが説明してくれた5人は、このSランクの中でも頭1つ抜けている。
5人それぞれがチームを持っているリーダーのようだが、一時的にそれをまとめているのがゲインロードという男なわけか。
確かに、理知的な雰囲気と統率力を感じる。
思わぬ展開に全員が少々動揺したが、ひと息ついたところでお互いの状況を説明することに。
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