勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第4章 迷宮の宝

第23話 激戦

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「全員準備は整え終わったな? よし、じゃあ戦闘開始だ!」

 ザックの号令で、冒険者たちは暗黒の守護機神ダークガーディアンに向かって駆け出す。
 暗黒の守護機神ダークガーディアンは部屋の中央で停止していたので、その間に冒険者全員に物理と魔法に対する防御結界シールドをかけることができた。
 事前の作戦ももちろん立ててあるが、実際に戦闘が始まってみないと、どこまで作戦通りにいけるかは不明だ。
 なので、状況を見て臨機応変に対応していかなくちゃならない。

 そして、こちらが動き出したのに反応して、暗黒の守護機神ダークガーディアンも動き出す。
 恐らく目に該当する部分である、頭部の4つの点が赤く発光し、ギュインと濁った機械音を発しながら体を起こした。
 暗黒の守護機神ダークガーディアンは6本足の蜘蛛のような外見だが、少し違うのは、頭部は体の前部にはなく上に乗っかっている状態だ。
 その頭部に付いている4つの目から、光属性の攻撃である光線ビームを発射した。

「おわっ、危ねえっ!? みんな、赤い目に見つめられたら気を付けろ!」

 かろうじて躱した前衛たちが、全員に向けて注意を促す。
 基本的に『機神兵ガーディアン』系のモンスターは地上フィールドにはいないので、ほとんどの冒険者は対戦経験が少ない。
 ましてや暗黒の守護機神ダークガーディアンともなると、難易度の高い迷宮をクリアできるような冒険者じゃないと出会うことはないだろう。
 どんな攻撃をしてくるのか、慎重に探りながら前衛たちは近付いていく。

 そのとき、暗黒の守護機神ダークガーディアンが少し前傾姿勢になると、背中から1メートルほどの槍のような金属を大量に発射した。
 恐らく追尾ホーミング効果がかかっているようで、急角度に弧を描きながら冒険者たち目掛けて飛んでいく。

「くそっ、こんな攻撃もしてくるのかよ! これじゃなかなか近付けないぜ!」

 前衛はこの手の攻撃に慣れているので、躱したり盾で防いだりと対応できるが、後衛はそう迅速には反応できない。
 よって、流れ弾に当たらないように、後衛はもう少し距離を取ることに。

 暗黒の守護機神ダークガーディアンは冒険者たちを近付かせないため、光線ビームや槍の雨で牽制するが、こっちは7チーム31人で四方から包囲している。
 さすがに全員を足止めするのは不可能で、攻撃を躱しながら前衛たちが次々と暗黒の守護機神ダークガーディアンのもとに到達した。

「よっしゃ、近付いちまえばこっちのもんだ!」

「さぁて、ちっと可哀想だが、タコ殴りにさせてもらうぜ!」

「悪いが、オレたちも負けるわけにはいかないんでな!」

 暗黒の守護機神ダークガーディアンは体が大きいだけに、死角があちこちに存在する。
 冒険者たちは上手くそこに潜り込みながら、強烈な必殺攻撃をたたき込んでいく。
 しかし、鋼鉄のボディーにはあまり有効なダメージを与えられないようで、暗黒の守護機神ダークガーディアンは攻撃をものともせずに、前足2本を振り回して冒険者たちを薙ぎ払った。

「ぐわあああっ!」

 光線ビームと槍に注意していた冒険者たちは、いきなり来た足の攻撃に対応できず、強烈な一撃を喰らって激しくぶっ飛ばされる。
 Sランクであるジャビロとギーグはかろうじてガードできたようだが、それでも大きく払い飛ばされてしまった。

「ちっ、面倒なヤツだぜ! この俺様の本気を見せて……」

「ちょうどいい、みんなそのまま動くな! 魔法をこれでもかと浴びせてやる!」

 体勢を立て直したジャビロがまた近付こうとしたところ、後衛からの声が届く。
 前衛が暗黒の守護機神ダークガーディアンから離れたことを幸いに、後衛の魔導士たちが魔法をいっせい発射した。
機神兵ガーディアン』は雷撃系の魔法が弱点らしく、魔導士たちも雷撃系を中心に魔法を放ったが、どうやら機体に魔法防御結界マジックシールドがかかっているようで大きなダメージはなさそうだった。

 こりゃ確かに強い。以前戦った『鋼鉄魔導兵アイアンゴーレム』ゴリアテなんて問題にならないほどの強敵だ。
 ホントにみんなで勝てるのか?

 それと気になってることが1つ。
 オレは戦闘を見ながらこの部屋全体を監視しているが、どうもこの部屋はおかしい。
『スマホ』の探知では反応はないが、何か異様な雰囲気を感じる。
 待機してて正解かもしれない。

「このデカいだけのガラクタが、いつまでも偉そうに動いてんじゃねえ! 俺様の力を思い知れっ!」

 タフな暗黒の守護機神ダークガーディアンに業を煮やしたジャビロが、怒りの形相で駆け寄っていき、超接近戦を仕掛けた。
 一通り暗黒の守護機神ダークガーディアンの攻撃を確認できたので、強引にダメージを与えていこうという気だ。

 かなり無謀に思えたが、なんとジャビロは暗黒の守護機神ダークガーディアンの攻撃を全て躱しつつ、2本の大剣で叩き斬りまくっている。
 凄い回避テクだ。Aランクとはやはり戦闘技術がケタ違いだな。
 これほど戦えるなら、オレが装備を強化していればもっと楽だったろうに……。

「おめえの攻撃はもう見切ったぜ!」

「おいみんな、ジャビロに続け!」

「おうっ!」

 ジャビロが暗黒の守護機神ダークガーディアンの注意を引きつけているうちに、ほかの冒険者たちもまた接近戦を挑み、四方八方から攻撃を与えていく。
 タフな暗黒の守護機神ダークガーディアンではあるが、ちゃんとダメージは蓄積されていて、少しずつ動きにガタが見えてきた。
 だが、ジャビロたち前衛の疲労はさらに激しく、動きが鈍ったところをまたしても払い飛ばされてしまう。

「今だ、魔法第2弾を喰らいやがれ!」

 前衛が戦っている間に自分の最上級魔法を準備していた魔導士たちが、もう一度いっせい発射した。
 前衛が注意を引いてくれてるからこそ安全に詠唱できるのであって、もし前衛がいなければ、光線ビームや槍の雨で蹴散らされていることだろう。

 大量の魔法を喰らった暗黒の守護機神ダークガーディアンは、そろそろ体力が尽きるのか、最後の猛攻を仕掛けてきた。
 やたらめったら光線ビームや槍を乱発して、ちょっと手がつけられないような状態だ。
 みんなも、躱すことで手一杯に見える。

「マスター、ワタシも加勢してきます」

 非常時に備え、オレと一緒に待機していたレムが、この状況を見て助っ人を申し出た。

「よろしく頼む。一応、気を付けるんだぞ」

「ああマスターがワタシのことを心配してくださるなんて……! 敵の分析は完全に終わってますので問題ありません」

 そう言って、レムは猛スピードで暗黒の守護機神ダークガーディアンに突進した。
 それに気付いた暗黒の守護機神ダークガーディアンが、レム目掛けて光線ビームを乱射する。

「無駄です」

 レムは光線ビームを軽々と躱して接近すると、暗黒の守護機神ダークガーディアンの機体を剣で猛烈に斬りまくった。
 凄まじい勢いでアダマンタイトの剣を叩きつけられ、暗黒の守護機神ダークガーディアンのボディーがベコベコとヘコんでいく。
 たまらずといった感じで暗黒の守護機神ダークガーディアンは前足を振り回し、レムを強引に遠ざけたあと、背中から追尾ホーミング槍を大量発射する。
 しかし、レムはその槍のスコールを全て剣で叩き落とした。

「なっ、なんだあ~っ!? いったいどうなってんだ!?」

「ちょっと待て、いくらなんでも強すぎるぞ!?」

「すげえっ、こりゃ『剣姫』よりつええじゃねえか!」

 レムの戦闘に見とれる冒険者たち。
 ただ、暗黒の守護機神ダークガーディアンは物理耐性が非常に高いだけに、レムの猛攻でも一押し足らない感じだ。
 トドメの強烈な一発がほしいところ。

「よくやってくれたレムちゃん、最後はオレに任せろ! 魔剣『炎竜の黒牙クリムゾンファング』の真の力を見せてやる!」

 そう言って1人の冒険者が飛び出し、『炎竜の黒牙クリムゾンファング』を両手で持って高く掲げた。

 魔剣というだけに、真の力を発揮させるとき、持ち主はその対価を支払わなくてはならない。
 例えばオレの『鬼殺し』はダメージを喰らうことが条件だが、『炎竜の黒牙クリムゾンファング』は、所有者の生命エネルギーを喰わせることでその能力が解放されるらしい。
 ちなみに、生命エネルギーは体力HP魔力MPとは別のもので、これを大きく消費すると動くことすらできなくなり、そしてエリクサーでも回復はできない。
 休むことで自然に回復していくが、使いどころをしっかり考えないと、逆にピンチになってしまう危険な賭けだ。

 レムは『炎竜の黒牙クリムゾンファング』を確認すると、素早く暗黒の守護機神ダークガーディアンから離脱した。

「コレを喰らえっ、『滅びの神炎メギドフレイム』~っ!!」

 冒険者が『炎竜の黒牙クリムゾンファング』を振り下ろすと、直径10メートルの巨大な火球が剣身から放たれ、暗黒の守護機神ダークガーディアン目掛けて飛んでいく。
 それが直撃すると暗黒の守護機神ダークガーディアンは爆炎に包まれ、ベキンベキンと破裂するような金属音を鳴らしながらバラバラに崩れ落ちた。
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