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第4章 迷宮の宝
第22話 迷宮の守護神
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「オレも色々とダンジョンを経験してきたが、隠し通路っつうのは初めて通ったぜ」
「まあめったなことじゃ発見できないからな。オレも初めてだ」
「超レアなお宝の場所に繋がっている場合も多いが、『導きの白樹笛』が案内した以上、移動の短縮だろうな」
冒険者たちは思い思いの感想を述べつつ、慎重に隠し通路を進んでいく。
通路は迷宮のフロアから遠ざかっていくような方向にまっすぐ伸びていて、そしてどうやらここにはモンスターはいないらしい。
とはいえ、油断は禁物なので、警戒を怠ることはないが。
それにしても、いったいどこに続いているのか?
最短ルートのはずだから、すぐにも下りる階段があると思っていたのだが、少々想定外の感じだ。
しばらく歩いたところで、前方に金属製の大きな扉が見えてきた。
オレは『スマホ』でマップを確認する。
この先にあるのは巨大な部屋だ。これってもしかして……!
「リューク、こりゃフロアボス……いや、隠しボスだ。ダンジョンであんな扉と出会ったら、まずボスが待っているとみて間違いないだろう」
ダンジョン経験のないオレに、ザックが教えてくれる。
やはりそうか! 部屋のサイズもデカすぎるしな。
『赤き壁』に来てから『スマホ』のマップ範囲も狭くなっちまったから、正確には把握できないが、多分1辺が100メートル以上ある。
「『赤き壁』の隠しボスなら、相当手強いぞ。どうする、迂回して別ルートを探すか? 部屋に入ったら、ボスを討伐するまで部屋からは出られない。決断はお前に任せる」
ザックがオレに判断を委ねてきた。
最短ルートとはいえ、ボスに勝てないのなら通る意味はない。
迂回して自力で階下に下りたあと、また『導きの白樹笛』を使えば、別の最短ルートを教えてくれる可能性も充分ある。
ただ、仮に迂回しても、結局手強いフロアボスが待ち受けているかもしれない。
最下層に行くには、どのみち危険な選択を避けることはできないだろう。
ならば、最短ルートであるこの部屋に挑むことがきっと最善だ。
「……危険だが、このボスに挑もうと思う。一応、みんなの意見も聞きたい」
「バカヤロー、お前が決めたんならオレたちゃそれに従うぜ」
「そうだリューク、もっと自分の判断に自信を持て」
「みんな、ありがとう。ジャビロたちもそれでいいか?」
「……俺たちも別に文句ねえぜ。どんなヤツだろうと倒すだけだ」
ジャビロが感情を見せないままに答えた。
ほかのみんなも、意を決したような表情で頷く。
オレはアビスウオームやトロールデビルといった超強敵たちと戦ってきたが、この部屋にいる敵もそれに匹敵するようなヤツかもしれない。
場合によっては、『闇の死神』闇を呑む者クラスの敵がいる可能性も……。
あんな怪物がそうそういるとも思えないが、もしもそんなヤツが待ち受けていたら、なんとしてもオレが倒さなくては!
みんなの覚悟が決まったのを見て、オレは重い扉を押し開けた。
☆
中に入ると、部屋の中央に、何かの部品のような黒い金属の塊が山積みになっていた。
希少金属というわけでもなく、一見ただのガラクタの山という感じだが……?
「なんだありゃ? もしかして宝か?」
「いや、そんなわけねえ! ……ちょっと待て、ダンジョンで金属の部品って、聞いたことあるぞ」
「まさか、アレは『機神兵』じゃ!?」
『機神兵』?
急いでオレは検索して調べる。
それは『魔導人形』や『石像鬼』などが属する無機物生命体で、主にダンジョンの重要な場所を護っている守護神らしい。
とそのとき、金属の部品が禍々しく赤く輝いたかと思うと、次々に結合して6本足の蜘蛛のような姿になった。
体高は5メートル、横幅は10メートルを超える機械の兵士……
「ダ……暗黒の守護機神だっ!」
ボスの正体は、『機神兵』の中でも最上位に近い暗黒の守護機神だった。
もちろんオレは初めて見た。ほかのみんなも、存在は知っていても、出会ったのは初めてのようだった。
本来なら、最下層にいる最終ボスのような存在だからな。
さすが伝説級ダンジョンの隠しボスといったところか。
だが、オレならコイツに勝てる!
オレは剣を抜いて戦闘態勢を取り、そして「オレに任せろ」とみんなに言おうとしたところ……
「リューク、お前は下がっていろ。アイツはオレたちで倒す! 自惚れてるわけじゃない、冷静に考えて、オレたちで倒せると判断しているんだ」
ザックがオレを制止した。
「いや、強化したみんなでも、さすがにアイツは危険だ。オレなら多分……」
「お前が言いたいことは分かってる。だが、お前は切り札だ。万が一、思わぬ事故でお前を失ったら、この部隊は終わりだ。オレたちで足りるなら、可能な限り戦闘はオレたちがやるべきだ」
ザックが真剣な目でオレを見つめる。
ほかのみんなも、同じようにオレを見つめていた。
全員ザックと同意見のようだった。
確かに、ダンジョンでは何が起こるか分からない。
オレが暗黒の守護機神に負けないとしても、別のことで予想外の窮地に陥ることもある。
みんなに任せられるなら、任せたほうがいいということか。
「……分かった。アイツはみんなに任せる。オレは全体を監視するから、心置きなく戦闘に集中してくれ」
「了解だ。なぁに、アイツが魔王の守護機神だったらオレたちもお手上げだったが、暗黒の守護機神ならお前が強化してくれた装備でなんとかなる。ジャビロ、お前たちにももちろん手伝ってもらうぜ」
「誰に言ってる! Aランク風情が生意気言ってんじゃねえ! ちったぁ強くなっていい気になってるようだが、俺の邪魔はするなよ」
格下であるザックに命令され、ジャビロが怒り混じりに言い返す。
攻撃力だけで言うなら、全員Sランク以上はある。つまり、Sランクが31人いると言っていい。
暗黒の守護機神が相手であろうとも、充分勝機のある戦いだ。
オレとレムは、重傷者が出ないようフォローに集中することにした。
「まあめったなことじゃ発見できないからな。オレも初めてだ」
「超レアなお宝の場所に繋がっている場合も多いが、『導きの白樹笛』が案内した以上、移動の短縮だろうな」
冒険者たちは思い思いの感想を述べつつ、慎重に隠し通路を進んでいく。
通路は迷宮のフロアから遠ざかっていくような方向にまっすぐ伸びていて、そしてどうやらここにはモンスターはいないらしい。
とはいえ、油断は禁物なので、警戒を怠ることはないが。
それにしても、いったいどこに続いているのか?
最短ルートのはずだから、すぐにも下りる階段があると思っていたのだが、少々想定外の感じだ。
しばらく歩いたところで、前方に金属製の大きな扉が見えてきた。
オレは『スマホ』でマップを確認する。
この先にあるのは巨大な部屋だ。これってもしかして……!
「リューク、こりゃフロアボス……いや、隠しボスだ。ダンジョンであんな扉と出会ったら、まずボスが待っているとみて間違いないだろう」
ダンジョン経験のないオレに、ザックが教えてくれる。
やはりそうか! 部屋のサイズもデカすぎるしな。
『赤き壁』に来てから『スマホ』のマップ範囲も狭くなっちまったから、正確には把握できないが、多分1辺が100メートル以上ある。
「『赤き壁』の隠しボスなら、相当手強いぞ。どうする、迂回して別ルートを探すか? 部屋に入ったら、ボスを討伐するまで部屋からは出られない。決断はお前に任せる」
ザックがオレに判断を委ねてきた。
最短ルートとはいえ、ボスに勝てないのなら通る意味はない。
迂回して自力で階下に下りたあと、また『導きの白樹笛』を使えば、別の最短ルートを教えてくれる可能性も充分ある。
ただ、仮に迂回しても、結局手強いフロアボスが待ち受けているかもしれない。
最下層に行くには、どのみち危険な選択を避けることはできないだろう。
ならば、最短ルートであるこの部屋に挑むことがきっと最善だ。
「……危険だが、このボスに挑もうと思う。一応、みんなの意見も聞きたい」
「バカヤロー、お前が決めたんならオレたちゃそれに従うぜ」
「そうだリューク、もっと自分の判断に自信を持て」
「みんな、ありがとう。ジャビロたちもそれでいいか?」
「……俺たちも別に文句ねえぜ。どんなヤツだろうと倒すだけだ」
ジャビロが感情を見せないままに答えた。
ほかのみんなも、意を決したような表情で頷く。
オレはアビスウオームやトロールデビルといった超強敵たちと戦ってきたが、この部屋にいる敵もそれに匹敵するようなヤツかもしれない。
場合によっては、『闇の死神』闇を呑む者クラスの敵がいる可能性も……。
あんな怪物がそうそういるとも思えないが、もしもそんなヤツが待ち受けていたら、なんとしてもオレが倒さなくては!
みんなの覚悟が決まったのを見て、オレは重い扉を押し開けた。
☆
中に入ると、部屋の中央に、何かの部品のような黒い金属の塊が山積みになっていた。
希少金属というわけでもなく、一見ただのガラクタの山という感じだが……?
「なんだありゃ? もしかして宝か?」
「いや、そんなわけねえ! ……ちょっと待て、ダンジョンで金属の部品って、聞いたことあるぞ」
「まさか、アレは『機神兵』じゃ!?」
『機神兵』?
急いでオレは検索して調べる。
それは『魔導人形』や『石像鬼』などが属する無機物生命体で、主にダンジョンの重要な場所を護っている守護神らしい。
とそのとき、金属の部品が禍々しく赤く輝いたかと思うと、次々に結合して6本足の蜘蛛のような姿になった。
体高は5メートル、横幅は10メートルを超える機械の兵士……
「ダ……暗黒の守護機神だっ!」
ボスの正体は、『機神兵』の中でも最上位に近い暗黒の守護機神だった。
もちろんオレは初めて見た。ほかのみんなも、存在は知っていても、出会ったのは初めてのようだった。
本来なら、最下層にいる最終ボスのような存在だからな。
さすが伝説級ダンジョンの隠しボスといったところか。
だが、オレならコイツに勝てる!
オレは剣を抜いて戦闘態勢を取り、そして「オレに任せろ」とみんなに言おうとしたところ……
「リューク、お前は下がっていろ。アイツはオレたちで倒す! 自惚れてるわけじゃない、冷静に考えて、オレたちで倒せると判断しているんだ」
ザックがオレを制止した。
「いや、強化したみんなでも、さすがにアイツは危険だ。オレなら多分……」
「お前が言いたいことは分かってる。だが、お前は切り札だ。万が一、思わぬ事故でお前を失ったら、この部隊は終わりだ。オレたちで足りるなら、可能な限り戦闘はオレたちがやるべきだ」
ザックが真剣な目でオレを見つめる。
ほかのみんなも、同じようにオレを見つめていた。
全員ザックと同意見のようだった。
確かに、ダンジョンでは何が起こるか分からない。
オレが暗黒の守護機神に負けないとしても、別のことで予想外の窮地に陥ることもある。
みんなに任せられるなら、任せたほうがいいということか。
「……分かった。アイツはみんなに任せる。オレは全体を監視するから、心置きなく戦闘に集中してくれ」
「了解だ。なぁに、アイツが魔王の守護機神だったらオレたちもお手上げだったが、暗黒の守護機神ならお前が強化してくれた装備でなんとかなる。ジャビロ、お前たちにももちろん手伝ってもらうぜ」
「誰に言ってる! Aランク風情が生意気言ってんじゃねえ! ちったぁ強くなっていい気になってるようだが、俺の邪魔はするなよ」
格下であるザックに命令され、ジャビロが怒り混じりに言い返す。
攻撃力だけで言うなら、全員Sランク以上はある。つまり、Sランクが31人いると言っていい。
暗黒の守護機神が相手であろうとも、充分勝機のある戦いだ。
オレとレムは、重傷者が出ないようフォローに集中することにした。
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