勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第4章 迷宮の宝

第19話 不安の種?

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「リュークのおかげで準備も万全となったし、今度こそ攻略再開といこうぜ!」

 場の空気がまとまったところで、冒険者の1人――5人組チームのリーダーであるザックが、全員を見渡したあと声を上げた。
 6チームいるAランクチームに序列の優劣はないが、これまで見てきたところ、彼は特にリーダーシップに溢れているようで、みんなも自然と彼の言葉に従っている。

 一応、この調査隊のまとめ役はジャビロだったはずだが、さっきの戦闘でみんなの不信感がつのり、ジャビロの指示に素直に従うような雰囲気ではなくなってしまった。
 ジャビロもそれを感じており、ザックが指揮を執ることに異論はないようだ。
 経験豊富なSランク冒険者に場を仕切ってほしいところではあるが、まあジャビロは問題も多いし、現状ではこれが最善かもしれないな。

「さて、まずはルートを調べないとな。前方と左右の通路を調べるため、8チームを3つのグループに分けて進むことにしよう。戦力を分散するのは危険だが、リュークに装備を強化してもらったからなんとかなるはずだ。正解らしきルートを見つけたら、他チームに『光紙』で報せる……」

「あっ、ちょっと待った! 何度も話の腰を折ってすまないが、それについてオレに策があるんだ」

 ザックがプランを話したところで、またしてもオレは口を挟んでしまう。
 オレは学校に行ってなかったから、ずっと友達がいなかった弊害として、どうも集団に対して手際よく発言することが下手なようだ。
 サクヤたち七部衆とトラブったのも、オレのそういう一面が影響したんだと思う。

「大丈夫ですマスター、要領の悪いところもマスターの魅力の1つですよ」

「う、うるさい!」

 褒めてるのかけなしているのか分からないレムのセリフに、ちょっとキレるオレ。
 おっと、策について早く冒険者たちに説明しないと。
 さっきはストップをかけたことで少々イラついていたみんなだが、今回は大人しくオレの言葉を待っている。
 オレがどんな提案をするのか、興味津々といった目だ。

「実はルートについては調べなくても問題ない。何故なら、こういうアイテムを持ってるからだ」

 そう言いながら、オレは『導きの白樹笛ディヴァインフルート』を取り出してみんなに見せた。
 一瞬、それが何か理解できなかった冒険者たちだが、その形状と、魔力を溢れさせながらキラキラ輝いているのを見て、伝説級レジェンダリーアイテムだと気付く。

「おい、まさかソレって……」

「ああ、迷宮で正解を導いてくれる『導きの白樹笛ディヴァインフルート』だ」

「で、伝説の『導きの白樹笛ディヴァインフルート』だって……!? ほ、本物なのか!?」

 オレはコクリと頷いた。

「信じられねえ……どこかにあるという伝説だけは聞いてたが、まさか本当に存在したとは」

「マップが役に立たなくなっちまって、下層まで行くのは到底不可能だと諦めてたが、『導きの白樹笛ディヴァインフルート』さえあればもう安心だぜ!」

「それにしたって、そんなもんどこで手に入れたんだ? もしかして、それもリュークが自分で作ったっていうのか?」

「いや、オレが作ったんじゃない。あ~その、実はこの『導きの白樹笛ディヴァインフルート』は……」

 魔導装備が作れることもみんなには教えたし、グリムラーゼ王女とのことも話していいだろう。
 オレは王女を捜索したときのこと、そして王都で起こった出来事を手早く掻い摘まんで説明する。
 すると、最初こそみんなは驚きの声を上げていたものの、途中から納得いったように頷きながら話に聞き入っていた。
 オレが話を終えると、誰とはなしにため息が漏れ、そしてせきを切ったように口々に言葉を発した。

「そういうことだったのか……まあリュークの強さを知った今では、当然とも思えるけどな」

「おかげで、色々とおかしなことが全部繋がったぜ。話してくれてありがとなリューク」

「森で王女様を救出した経緯も、偶然にしちゃできすぎた話だったしな。ラスティオンより強いんなら納得だ」

「とはいえ、あのラスティオンを倒したなんて、普通なら絶対信じられねえところだ。もしかしてお前、ゾンダール将軍より強かったりするのか?」

「いやあ、そこまではどうだろうなあ?」

 オレは言葉を濁してごまかす。
 みんなにはラスティオンを倒して王女を救ったこと、王都で王様の病気を治す手助けをしたこと、その褒美として『導きの白樹笛ディヴァインフルート』をもらったことを話したけど、詳細までは説明しなかった。
 全部話すと、話が長くなるしな。『虚身うつろ』との戦闘も秘密にした。

「一応、今の話はギルド長のフォーレントには内緒に頼む。どうもオレ、フォーレントに嫌われてるっぽいんだ。手柄を立てたことが知られると、フォーレントに変な難癖を付けられそうで……」

 オレは両手を合わせてみんなにお願いする。
 フォーレントに知られるとゲスニクやドラグレスの耳にも入るだろうし、そうなるとアイツらがどんなことをしてくるか気懸かりだ。
 ゲスニクに対しては近いうちに何か手を打とうと思っているが、それまではイタズラに刺激したくない。

「別にギルド長に知られても平気だと思うけどな。むしろ、所属の冒険者が活躍したのを知って喜ぶんじゃないか? まあリュークが内緒にしろって言うなら黙ってるが」

「よろしく頼む。フォーレントに教えるときはオレが言うよ」

 いつまで隠し通せるか分からないが、できるかぎり内密にしておきたいところだ。

「ば、馬鹿な、『導きの白樹笛ディヴァインフルート』だとぉ!? 『覇王の卵』にも匹敵するようなお宝だぞ。売りゃあどれほど金が入ってくることか……こんなガキが持ってていいもんじゃねえ」

 少し離れた場所でオレの話を聞いていたジャビロが、ぼそりと小声で呟く。
 みんなには聞こえてないだろうが、オレの聴力なら聞き取ることができた。

 フォーレントだけじゃなく、こっちでも何か問題が起きそうで少々不安になるオレだった。
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