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第4章 迷宮の宝
第18話 打ち明ける
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「まさか、リュークにこんな凄い能力があったとは……」
「それにしたってちょっと異常だぜ。こんな強力な魔導装備を作れるスキルなんて聞いたことねえぞ!? 装備強化できるスキルといったって、普通は多少斬れ味が上昇したりする程度だ」
「いったい、なんていうギフトを授かったんだよ!?」
「ああ、こんなスキルが覚えられるギフトを是非知りたいぜ」
「いや、それはちょっと言えないんだ……教えてあげられなくてすまない」
みんなから質問責めにあうが、『スマホ』についてはまだまだ秘密にしたいので、強引にごまかしてしまった。
まあ興味を持つのは当然だろう。仮に好奇心旺盛な冒険者でなくても、こんな能力を持つギフトはどんなものなのか気になって当然だ。
オレの返答を聞いて、冒険者たちはガックリと肩を落とす。
「……まあ希少なスキルは、場合によっては本人の生命線だからな。他人に知れ渡ることで危険が及ぶ場合があるし、言えなくても仕方ねえか」
「言い伝え通り、黒髪が希少なギフトを授かるってのは本当だったんだな」
「それにしてもリューク、お前は強さもスキルも規格外の冒険者なのに、今まで全然知られてなかったってのは何故なんだ?」
「ああ、そこが気になるぜ。お前がその若さでこんな力を身に付けてるってことは、絶対どこかで活躍してるはずなんだ。なのに、オレたちはそんな噂をいっさい聞いたことがない」
「もし良かったら、お前のことをオレたちに教えてくれよ」
冒険者たちはオレの素性について口々に訊いてきた。
安易には言えないためずっと秘密にしてきたが、今なら教えてもいいのかもしれない。
オレは孤児院で生まれ育ったこと、そしてゲスニクに養子として迎えられてからのことをみんなに話した。
☆
「なるほど……領主さんの息子だったのか。オレもここに来てから結構経つが、全然気付かなかったぜ」
「ってことは、もしかしてレムちゃんと知り合ったのも、侯爵のコネなのか?」
「いえ、違います。マスターとワタシは運命に導かれて出会っただけです」
冒険者の疑問に、即座に適当なことを言って返答するレム。
相変わらず困ったヤツだが、しかしレムがゴーレムということを教えるわけにはいかないので、オレも否定はせずにいた。
人間と区別がつかないゴーレムなんて、さすがに異常だからな。こんなことが知れ渡ったらどんな問題が起こるか分からない。
ジーナたちや王女にはともかく、冒険者たちには内緒にしておいたほうがいいだろう。
「なあリュークよ、なんだったらゲスニク侯爵ってヤツの悪事を王都に通報してやろうか?」
「そうだな、この件が片付いたら、オレたちが力になってやるよ。ちょうどノモス監査官がこの地に来てるし、みんなで訴えればなんとかなるんじゃないか?」
「ありがとう。ただ、みんなの気持ちは嬉しいが、ゲスニクについてはオレ個人でなんとかする」
ゲスニクについて冒険者たちが助力を申し出てくれたが、オレはやんわりとそれを断った。
理由は、ゲスニクは想像以上に力を持っているからだ。
ゲスニクの爵位『侯爵』は別名『辺境伯』とも言われ、中央である王都から遠い距離にいるため、ゲスニクの所業が王都まで届くことはない。
それをいいことにやりたい放題だ。
ただし、『辺境伯』だけに、他国から攻められたときに辺境を守る義務を背負っている。
それ故に強い権限を与えられているうえ、抱えている軍事力も当然高い。
まあ私兵は全員元山賊なのだが、ならず者だけに戦闘力が高いし、人を傷付けるような行為に対して罪悪感も持っていない。
特に軍団長のドラグレスは、ゾンダール将軍を除けば、恐らくアルマカイン王国でも1、2を争うほどの猛者だ。
仮に王都に通報しても、ならず者だけにその後どんな展開になるか分からないし、もしコイツらが暴れたら手に負えない状況になるかもしれない。
そもそもその手の根回しなども含めて、ゲスニクはズル賢く立ち回っている。
よって、下手に通報すると悪化する可能性が高い。
だから、このことは慎重に動きたいんだ。
「……分かった。確かに、侯爵相手に迂闊なことはできないよな。どうするかはリュークに任せるぜ。ただ、オレたちはいつでも力になるから、困ったときは言ってくれ」
「ああ、全力で協力してやる。それにしても、お前にそんな過去があったとはな……今まで色々と馬鹿にしてすまなかったな」
「オレも謝る。これからはオレのこと兄貴と呼んでいいぜ」
「そうだな、オレたちゃもう兄弟だ!」
「みんなありがとう。いざというときは頼りにさせてくれ」
オレは冒険者たちとこんな関係が築けたことに、思わず胸がジーンとなった。
「まったく、調子のいい男たちですねマスター」
「しっ、余計なこと言うなレム!」
こっそりと耳打ちしてきたレムをぴしゃりと叱る。
ホントにもう、感動の場面で水を差すなよ……。
こいつにはあとで人の気持ちや礼儀というものを教えないとダメだな。
「それにしたってちょっと異常だぜ。こんな強力な魔導装備を作れるスキルなんて聞いたことねえぞ!? 装備強化できるスキルといったって、普通は多少斬れ味が上昇したりする程度だ」
「いったい、なんていうギフトを授かったんだよ!?」
「ああ、こんなスキルが覚えられるギフトを是非知りたいぜ」
「いや、それはちょっと言えないんだ……教えてあげられなくてすまない」
みんなから質問責めにあうが、『スマホ』についてはまだまだ秘密にしたいので、強引にごまかしてしまった。
まあ興味を持つのは当然だろう。仮に好奇心旺盛な冒険者でなくても、こんな能力を持つギフトはどんなものなのか気になって当然だ。
オレの返答を聞いて、冒険者たちはガックリと肩を落とす。
「……まあ希少なスキルは、場合によっては本人の生命線だからな。他人に知れ渡ることで危険が及ぶ場合があるし、言えなくても仕方ねえか」
「言い伝え通り、黒髪が希少なギフトを授かるってのは本当だったんだな」
「それにしてもリューク、お前は強さもスキルも規格外の冒険者なのに、今まで全然知られてなかったってのは何故なんだ?」
「ああ、そこが気になるぜ。お前がその若さでこんな力を身に付けてるってことは、絶対どこかで活躍してるはずなんだ。なのに、オレたちはそんな噂をいっさい聞いたことがない」
「もし良かったら、お前のことをオレたちに教えてくれよ」
冒険者たちはオレの素性について口々に訊いてきた。
安易には言えないためずっと秘密にしてきたが、今なら教えてもいいのかもしれない。
オレは孤児院で生まれ育ったこと、そしてゲスニクに養子として迎えられてからのことをみんなに話した。
☆
「なるほど……領主さんの息子だったのか。オレもここに来てから結構経つが、全然気付かなかったぜ」
「ってことは、もしかしてレムちゃんと知り合ったのも、侯爵のコネなのか?」
「いえ、違います。マスターとワタシは運命に導かれて出会っただけです」
冒険者の疑問に、即座に適当なことを言って返答するレム。
相変わらず困ったヤツだが、しかしレムがゴーレムということを教えるわけにはいかないので、オレも否定はせずにいた。
人間と区別がつかないゴーレムなんて、さすがに異常だからな。こんなことが知れ渡ったらどんな問題が起こるか分からない。
ジーナたちや王女にはともかく、冒険者たちには内緒にしておいたほうがいいだろう。
「なあリュークよ、なんだったらゲスニク侯爵ってヤツの悪事を王都に通報してやろうか?」
「そうだな、この件が片付いたら、オレたちが力になってやるよ。ちょうどノモス監査官がこの地に来てるし、みんなで訴えればなんとかなるんじゃないか?」
「ありがとう。ただ、みんなの気持ちは嬉しいが、ゲスニクについてはオレ個人でなんとかする」
ゲスニクについて冒険者たちが助力を申し出てくれたが、オレはやんわりとそれを断った。
理由は、ゲスニクは想像以上に力を持っているからだ。
ゲスニクの爵位『侯爵』は別名『辺境伯』とも言われ、中央である王都から遠い距離にいるため、ゲスニクの所業が王都まで届くことはない。
それをいいことにやりたい放題だ。
ただし、『辺境伯』だけに、他国から攻められたときに辺境を守る義務を背負っている。
それ故に強い権限を与えられているうえ、抱えている軍事力も当然高い。
まあ私兵は全員元山賊なのだが、ならず者だけに戦闘力が高いし、人を傷付けるような行為に対して罪悪感も持っていない。
特に軍団長のドラグレスは、ゾンダール将軍を除けば、恐らくアルマカイン王国でも1、2を争うほどの猛者だ。
仮に王都に通報しても、ならず者だけにその後どんな展開になるか分からないし、もしコイツらが暴れたら手に負えない状況になるかもしれない。
そもそもその手の根回しなども含めて、ゲスニクはズル賢く立ち回っている。
よって、下手に通報すると悪化する可能性が高い。
だから、このことは慎重に動きたいんだ。
「……分かった。確かに、侯爵相手に迂闊なことはできないよな。どうするかはリュークに任せるぜ。ただ、オレたちはいつでも力になるから、困ったときは言ってくれ」
「ああ、全力で協力してやる。それにしても、お前にそんな過去があったとはな……今まで色々と馬鹿にしてすまなかったな」
「オレも謝る。これからはオレのこと兄貴と呼んでいいぜ」
「そうだな、オレたちゃもう兄弟だ!」
「みんなありがとう。いざというときは頼りにさせてくれ」
オレは冒険者たちとこんな関係が築けたことに、思わず胸がジーンとなった。
「まったく、調子のいい男たちですねマスター」
「しっ、余計なこと言うなレム!」
こっそりと耳打ちしてきたレムをぴしゃりと叱る。
ホントにもう、感動の場面で水を差すなよ……。
こいつにはあとで人の気持ちや礼儀というものを教えないとダメだな。
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