勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

文字の大きさ
上 下
42 / 81
第4章 迷宮の宝

第10話 ナデポ?

しおりを挟む
「フォーレント、これで今度こそ文句ないな?」

 無事戦闘が終わったところで、フィールドのすぐ外で戦いを見ていたギルド長フォーレントに声をかけた。
 特に煽るようなつもりもなく、ただ普通の口調で言っただけなんだが、よく見てみるとフォーレントの様子がいつも以上におかしいことに気付く。
 血の気が引いた顔で呆然としていて、オレの言葉も届いてないような状態だ。

「な……なんだこの異常な強さは!? こ……こんな怪物、いったいどうやって殺せば…………」

「マスターさすがですわ! さあ勝利の口づけをどうぞ! ほら、ほら、遠慮しないでくださいませ!」

「よせっレム! ひっつくなって!」

 レムが歓喜しながら猛ダッシュでオレのもとに飛び込んできた。
 ああもうっ、今フォーレントが何か呟いてたけど、レムのせいで聞き取れなかったじゃないか!
 レムは無理やりキスしようと、スゲー怪力でオレにしがみついて顔を近付けてくる。
 なんつー力だ、普通の人間だと死ぬレベルだぞ!

「いいかげんにしろ!」

 まったく言うことを聞かないレムに対し、ゴチンッと頭をゲンコツで叩く。
 女性に暴力を振るいたくないが、レムこいつはゴーレムだからな。
 と思ったところで……

「イッテエエエエエッ!!」

 殴ったオレの手が逆に痛くて、思わず叫んでしまった。
 レムの頭部は皮膚ゴムも薄いうえ、オレは『身体硬化』も『物理無効』も発動してなかったので、生身の状態でアダマンタイトを殴ったのと同じだ。
 運悪く拳の骨にジャストヒットしたらしく、あまりの硬さにビリビリと痺れたほど。

 頑丈なゴーレムだけに、つい強めに叩いたのが裏目に出ちまった。
 一応、骨に異常はなさそうだが、オレは痛みが治まるように右拳をさする。こんなアホなことで回復薬を使いたくないぞ。
 まあゴーレムとはいえ、アニスに似ているレムを叩こうとした罰かもしれない。
 少々短慮だったことをオレは反省した。

「マスター、もしや今のは『ナデポ』というヤツですか? そんなことなさらなくても、ワタシはマスターにラブですのに」

「全然違うわっ!」

 っていうか、思わず本能で否定してしまったが、『ナデポ』ってなんだ?
 オレのギフト『スマホ』が影響しているのか、レムこいつはどうも変な知識を持ってるらしい。
 あとで『ナデポ』のことを検索しておこう。

 とまあそれはさておき、オレは未だ気絶しているトトとブルゲンのところに駆け寄った。
 そしてエリクサーをこっそり出し、2人の喉にさっと流し込む。
 同じように、離れた場所に倒れているジャビロとギーグに駆け寄り、エリクサーを飲ませた。
 エリアスはただ気絶しているだけなので、治療はしなくても問題ない。

 結構重傷だが、これで完治するだろう。
 万が一、状態が酷すぎて治せなかった部分があっても、『スマホ』の『被写体復元』機能を使えば、元通りの状態まで戻せる。
 ほどなくして、ジャビロたちの意識が戻って起き上がった。

「ぐふっ、俺はいったい何を……くそっ、頭がクラクラしやがる。ああっ、お前はっ!?」

「……そうだ、オリャあFランクのガキにぶっ飛ばされたんだった!」

 オレを見たジャビロとギーグは記憶も思い出したらしく、再び戦闘態勢を取る。
 だが、自分たちが負けたことは理解しているようで、怒りにまかせてオレを襲うようなことはなかった。
 離れた場所にいたトトたちも、意識を取り戻してこの場に集まってきた。

「ぐ……ぎ……この小僧……」

「勝負はついた。もう無駄に争う必要はないだろ?」

 オレの言葉に、ジャビロは悔しげに口をつぐむ。
 ほかのメンバーたちも、オレに対する敵意は消えてないみたいだが、さすがに戦う気力は残ってないようだ。
 憮然とした表情で、彼らは無言のままフィールドをあとにする。

「どうなってんだよ、なんであのリュークがこんなに強くなってんだ!?」

「今の強さ、SSランク級だぞ!? もしかしてラスティオンよりも強いんじゃ……?」

「王都でいったい何があったんだ!?」

「それにしても『黒鷲の爪』のヤツら、あれほどやられたのにピンピンしてるなんて、やっぱSランクは丈夫だなあ」

 野次馬に来ていた冒険者たちが、口々に驚きの言葉を出す。
 想定外の事態になったが、いつまでも侮られたままだと調査隊での行動も制限されそうだったから、これくらい力を見せたほうがきっと動きやすくなる。
 今後は「Fランクは引っ込んでろ」なんて言われないだろうし、結果オーライだ。

 しかし、フォーレントのヤツがそこまでオレを恨んでいるとは思わなかったぜ。
 改めて考えてみると、アビスウオームの魔石を消しちゃったのは、さすがにまずかったかもしれない。
 喜ばせるだけ喜ばせておいて、奈落の底に叩き落としちゃったからな。相当ショックだったのも頷ける。
 あとで適当な物でも贈って、機嫌を直してもらうとしよう。

 こんな状態ではあるが、とりあえずオレたち調査隊は迷宮に向かって出発した。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 多分知っているとは思いますが、念のため説明すると、『ナデポ』とは女性の頭をと相手がとほほを染めて惚れちゃうことです。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。