勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

文字の大きさ
上 下
41 / 81
第4章 迷宮の宝

第9話 反撃

しおりを挟む
「ジャビロ、お前たちがなら、オレも手加減しない。それでいいんだな?」

「ぐはっ、お前の命はもう風前の灯火だっつーのに、笑わせるぜ。このまま八つ裂きにしてやる!」

 ジャビロはそう言いながら、さらに激しくオレに斬りかかる。
 ちゃんと警告はした。それでも言うこと聞かないんじゃ、仕方ないな。
 オレはジャビロの斬撃を低い姿勢で避けたあと、神速でその懐に飛び込んだ。

「ぬっ、ヤツが消えやがった!? どこだっ!?」

 オレはジャビロの視角の下に潜り込むと、サクヤからコピーしたギフト『闘力鬼』を発動し、至近距離からヤツの腹部、胸部を10発ほどぶん殴る。
 そしてトドメにアッパーカット――この世界にはない名称だが、それをジャビロの顎にぶち当てた。

「ぐぎぎゃっ……!」

 濁った呻き声を漏らしながら、ジャビロの体が垂直に10メートル以上打ち上がる。
 殴った感触から、恐らくヤツのあばらと顎の骨は砕かれ、内臓も一部破裂したはず。
 一応、殺さないように配慮はしたが、Sランク戦士であるジャビロはかなり頑丈なだけに、オレもだいぶ力が入ってしまった。
 まあ重傷だが、これくらいしないと大人しくならないだろうしな。

「ジャ、ジャビロッ!? バカなっ! おのれ小僧っ……!」

 一瞬オレを見失っていたギーグだったが、上空に打ち上げられたジャビロを見て、オレの居場所に気付く。
 そして一気に接近してオレに殴りかかるが、それを軽く躱して、同じようにアッパーカットで打ち上げる。

「がああああっ」

 ジャビロより耐久力がなさそうなギーグはもう少し手加減してやったが、それでもひょっとしたら首の骨が折れたかもしれない。
 まあ腐ってもSランクの拳闘士だし、この程度なら命に別状はないだろう。

「ジャビロ、ギーグ!? こ……これはどういうことだっ!? いったい何が起こっている!?」

 瞬く間にジャビロとギーグがやられ、遠距離から攻撃していた後衛の3人――トト、ブルゲン、エリアスが驚きの声を上げる。
 状況自体、よく理解してないようだ。
 前衛2人を倒したオレは、後方の3人に向かって走り出す。

「くそっ、何をしたか知らんが、矢の集中砲火を浴びせてやる!」

「ジャビロたちを巻き込む心配がなければ、魔法も思い切り撃てるというもの。小僧っ、オレの本気の魔法を喰らうがいい!」

 近付きつつあるオレに向かって、トトとブルゲンが全力で矢と魔法を放ってきた。
 ジャビロたちがオレのそばにいないから、遠慮なく高火力の攻撃を仕掛けてきているようだ。
 しかしオレは、その攻撃がこちらに届く前に、最強の暗殺者『虚身うつろ』からコピーしたギフト『闇神』を発動して自分の存在をこの世界から消す。

「こ、小僧が消えたっ!? 隠れるところなど何もないのに!?」

「た……探知魔法でも見つけられぬだと!? あ、ありえんっ、いったいどこに行ったのだ!?」

 後衛の3人のほか、見物している冒険者たちもこの謎の現象にざわついている。
 オレは消えたままトトとブルゲンに近付き、力を抑えつつ高速の連打でそれぞれパンチを打ち込む。
 後衛は耐久力が貧弱なので、強烈な一撃は使わず、手数でダメージを与えることにしたのだ。
 これくらい手加減してしまうと、頑丈なジャビロたちにはなかなか致命的なダメージを与えられないが、後衛のヤツらなら充分効くだろう。

「あがががごぶっ」

「ぶぎゃあああっ」

「トト、ブルゲンっ……!」

 トトとブルゲンが吹っ飛んで気絶したところで、オレは『闇神』の能力を解除して姿を現す。
 そして呆然と佇むエリアスのもとに、悠々と近付いていく。
 神官であるエリアスは、基本的には攻撃手段を持っていない。そのため、すでに決着はついている状態だが、オレは構わずにエリアスに対して攻撃の姿勢をとり続ける。

「な……なんでFランクがこんな……!? ま、まて、降参だ、オレたちの負けを認める!」

 エリアスは恐怖の表情で、両手を顔の高さまで上げながら降伏宣言をした。
 これで本来ならバトルは終了だが、さんざんルールを破っておきながら、素直に許すのも少々しゃくだな。

「ずいぶん勝手な態度だな。オレを本気で殺そうとしたことは、ジャビロから聞いて知ってる。オレを殺しにきた以上、お前たちも殺される覚悟があるんだよな?」

 オレは腰の剣を抜いたあと、恐怖で相手の戦意を奪うスキル『威圧』を発動して、エリアスをさらに追い込む。
 強烈な『威圧』を喰らったエリアスは、今にも崩れ落ちそうなくらい膝をガクガクと震わせながら怯え出す。

「ま、待て、待ってくれっ! 殺す気なんてなかった、ホントだ! た、た、頼む、助けてくれ……!」

 かすれた声で命乞いをするエリアス。
 それを無視して、オレはゆっくり剣を振り上げたあと、エリアスに向かって振り下ろした。

「ひいいい~っ!」

 剣がエリアスの顔に触れる前に寸止めしたが、エリアスはあまりの恐怖に気絶してしまった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。