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第4章 迷宮の宝
第4話 実力主義の世界です
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「フォー……ギルド長、チームメンバーを連れてきたぞ!」
オレは勢いよくギルドの扉を開け、室内に入る。
中を見ると、フォーレントや冒険者たちはまだその場にいた。
良かった、出発してなかった。
「メンバーを連れてきただと!? 言っておくが、街の人間を連れてきたところで、迷宮に挑む力がなければ冒険者とは認め……なっ、なんだその女は!?」
オレの後ろから現れたレムを見て、フォーレントが驚愕の声を上げる。
「うおおおっ!? ス、ス……スゲー………………絶世の美少女だ!」
ほかの冒険者たちも、レムの美しさに声を上げたあと、息を呑んだ。
「オレのパートナーだ。まだ冒険者として未登録だが、実力は折り紙付きだ。疑うなら試してくれても構わないぜ」
レムの冒険者登録はすぐに終わる。もちろん強さも問題ない。
「バ、バカなっ、この街にこんな冒険者が来ているなんて知らんかったぞ!? これほど目立つ者がいたら、絶対に噂になるはずだ。こんな短時間に、いったいどうやって見つけた?」
「それは内緒だ。とにかく、1人連れてくればいいという約束だったよな? ノモスさんも聞いてましたよね?」
「そうですね。私に決定する権限はありませんが、実力が確かなのでしたら問題ないと思います」
よし、監査官の言質も取った! これで迷宮に行ける!
「ぐ、ぐぬぬ……こ、こんなことになろうとは……!」
思惑通りにならず、フォーレントは怒りで全身を震わせながら、顔を真っ赤に染めた。
街中に冒険者が溢れている王都ならともかく、こんな辺境の地ですぐに新たな冒険者を連れてくるなんてまず無理だ。
必死に駆けずり回ったあと、絶望するオレを笑い者にしたかったんだろうが、まあご愁傷様である。
「さて、じゃあみんな、出発しようぜ」
「ちょっと待ちな!」
振り返りながら後方の冒険者たちに声をかけたところ、突然その集団の中から抗議するような声が上がった。
見ると、身長190センチ以上ありそうな巨体の男が、オレを睨みつけながらこっちに歩いてくる。
その後ろからも4人、恐らく大男の仲間らしき男たちもぞろぞろと進み出てきた。
胸の金プレートを見るに、全員Sランクだ。
オレがこの街にいたときはこんなヤツらはいなかった。恐らく最近来た新顔だろう。
何やら不機嫌そうな顔をしているが、オレがこの調査隊に入るのが迷惑なのか?
「おい、そこのねーちゃん。アンタのような綺麗な冒険者は見たことも聞いたこともないが、俺たちのチーム『黒鷲の爪』に入らねえか? そんなチンケな男と組むより、遥かにイイ思いさせてやるぜ?」
「おおっ、そりゃいい! リュークにゃもったいない女だからな」
「リュークなんか来ても邪魔なだけだ。お嬢ちゃんだけオレたちと一緒に来いよ!」
「おい、ちょっと待てよ! メンバーを引き抜くのはルール違反だろ!」
大男の提案に、ほかの冒険者たちも悪ノリして盛り上がる。
せっかくチームを作ったのに、引き抜きなんかされたら水の泡だ。
まあ、そんなことレムが承諾するわけないが……いや、コイツよく分からない思考してるからな。
もしかして、喜んで勧誘に乗るなんてことは……?
「やだ、ワタシには嗅覚器官がありませんが、この大きな猿男からはゲスな臭いを感じますわ。ほかの男たちの体臭も、分泌される臭気成分を分析すると汚臭に近いものですし。全員頭も悪そうですね」
そんな心配する必要はなかったか。
っていうか、人間に対してそんなこと言うな!
「引き抜きにルールなんかねえっ! 俺たち冒険者はいつだって実力主義だ。そうだろ、ギルド長?」
大男がフォーレントに同意を求める。
すると、呆然と成り行きを眺めていたフォーレントが我に返った。
「は? ……お、おうっ、その通りだ! 有望な者をスカウトするのは当然のこと。引き抜いても問題ないぞ」
おいおい、どういうイチャモンだ?
そうまでしてオレが加入するのを邪魔したいのか?
まあいい、実力主義というなら、こっちもそれに従うだけだ。あとで揉めるより、ここで力関係を分からせたほうがいい。
「いいだろう。ウチのメンバーを引き抜きたいなら、オレと勝負するんだな。オレに勝ったら、このレムをそっちに譲ってやる」
「お前と勝負? Fランクのお前がSランクのこの俺と? ……ぐはっ、こりゃ笑える。ジャンケンでもするつもりか?」
「ぎゃははは、おいリューク、お前ちょっと王女様の役に立ったくらいで、成長した気分になってるんじゃないのか?」
「ジーナたちにおだてられて、自分の実力を勘違いしてるんだろ?」
大男につられて、オレのことを知っているほかの冒険者たちも大笑いする。
オレはまだ白プレートを付けてる初心者だからな。ナメられるのは当然だが、しかしフォーレントは苦い顔をしている。
Sランクといえど、そう簡単にはオレに勝てないことを知ってるからだ。
「素直に渡せば惨めな思いをしないで済むというのに、バカな男だ。いいぜ、お前の得意なことで勝負してやるよ」
大男がオレの提案に乗ってきた。
よし、上手くいった。あとは適当にオレの力を分からせてやれば問題解決だ。
「そんじゃあ何で勝負しようか……」
「腕相撲だ!」
オレが対戦種目を決めようとすると、横からフォーレントが口を出してきた。
オレは勢いよくギルドの扉を開け、室内に入る。
中を見ると、フォーレントや冒険者たちはまだその場にいた。
良かった、出発してなかった。
「メンバーを連れてきただと!? 言っておくが、街の人間を連れてきたところで、迷宮に挑む力がなければ冒険者とは認め……なっ、なんだその女は!?」
オレの後ろから現れたレムを見て、フォーレントが驚愕の声を上げる。
「うおおおっ!? ス、ス……スゲー………………絶世の美少女だ!」
ほかの冒険者たちも、レムの美しさに声を上げたあと、息を呑んだ。
「オレのパートナーだ。まだ冒険者として未登録だが、実力は折り紙付きだ。疑うなら試してくれても構わないぜ」
レムの冒険者登録はすぐに終わる。もちろん強さも問題ない。
「バ、バカなっ、この街にこんな冒険者が来ているなんて知らんかったぞ!? これほど目立つ者がいたら、絶対に噂になるはずだ。こんな短時間に、いったいどうやって見つけた?」
「それは内緒だ。とにかく、1人連れてくればいいという約束だったよな? ノモスさんも聞いてましたよね?」
「そうですね。私に決定する権限はありませんが、実力が確かなのでしたら問題ないと思います」
よし、監査官の言質も取った! これで迷宮に行ける!
「ぐ、ぐぬぬ……こ、こんなことになろうとは……!」
思惑通りにならず、フォーレントは怒りで全身を震わせながら、顔を真っ赤に染めた。
街中に冒険者が溢れている王都ならともかく、こんな辺境の地ですぐに新たな冒険者を連れてくるなんてまず無理だ。
必死に駆けずり回ったあと、絶望するオレを笑い者にしたかったんだろうが、まあご愁傷様である。
「さて、じゃあみんな、出発しようぜ」
「ちょっと待ちな!」
振り返りながら後方の冒険者たちに声をかけたところ、突然その集団の中から抗議するような声が上がった。
見ると、身長190センチ以上ありそうな巨体の男が、オレを睨みつけながらこっちに歩いてくる。
その後ろからも4人、恐らく大男の仲間らしき男たちもぞろぞろと進み出てきた。
胸の金プレートを見るに、全員Sランクだ。
オレがこの街にいたときはこんなヤツらはいなかった。恐らく最近来た新顔だろう。
何やら不機嫌そうな顔をしているが、オレがこの調査隊に入るのが迷惑なのか?
「おい、そこのねーちゃん。アンタのような綺麗な冒険者は見たことも聞いたこともないが、俺たちのチーム『黒鷲の爪』に入らねえか? そんなチンケな男と組むより、遥かにイイ思いさせてやるぜ?」
「おおっ、そりゃいい! リュークにゃもったいない女だからな」
「リュークなんか来ても邪魔なだけだ。お嬢ちゃんだけオレたちと一緒に来いよ!」
「おい、ちょっと待てよ! メンバーを引き抜くのはルール違反だろ!」
大男の提案に、ほかの冒険者たちも悪ノリして盛り上がる。
せっかくチームを作ったのに、引き抜きなんかされたら水の泡だ。
まあ、そんなことレムが承諾するわけないが……いや、コイツよく分からない思考してるからな。
もしかして、喜んで勧誘に乗るなんてことは……?
「やだ、ワタシには嗅覚器官がありませんが、この大きな猿男からはゲスな臭いを感じますわ。ほかの男たちの体臭も、分泌される臭気成分を分析すると汚臭に近いものですし。全員頭も悪そうですね」
そんな心配する必要はなかったか。
っていうか、人間に対してそんなこと言うな!
「引き抜きにルールなんかねえっ! 俺たち冒険者はいつだって実力主義だ。そうだろ、ギルド長?」
大男がフォーレントに同意を求める。
すると、呆然と成り行きを眺めていたフォーレントが我に返った。
「は? ……お、おうっ、その通りだ! 有望な者をスカウトするのは当然のこと。引き抜いても問題ないぞ」
おいおい、どういうイチャモンだ?
そうまでしてオレが加入するのを邪魔したいのか?
まあいい、実力主義というなら、こっちもそれに従うだけだ。あとで揉めるより、ここで力関係を分からせたほうがいい。
「いいだろう。ウチのメンバーを引き抜きたいなら、オレと勝負するんだな。オレに勝ったら、このレムをそっちに譲ってやる」
「お前と勝負? Fランクのお前がSランクのこの俺と? ……ぐはっ、こりゃ笑える。ジャンケンでもするつもりか?」
「ぎゃははは、おいリューク、お前ちょっと王女様の役に立ったくらいで、成長した気分になってるんじゃないのか?」
「ジーナたちにおだてられて、自分の実力を勘違いしてるんだろ?」
大男につられて、オレのことを知っているほかの冒険者たちも大笑いする。
オレはまだ白プレートを付けてる初心者だからな。ナメられるのは当然だが、しかしフォーレントは苦い顔をしている。
Sランクといえど、そう簡単にはオレに勝てないことを知ってるからだ。
「素直に渡せば惨めな思いをしないで済むというのに、バカな男だ。いいぜ、お前の得意なことで勝負してやるよ」
大男がオレの提案に乗ってきた。
よし、上手くいった。あとは適当にオレの力を分からせてやれば問題解決だ。
「そんじゃあ何で勝負しようか……」
「腕相撲だ!」
オレが対戦種目を決めようとすると、横からフォーレントが口を出してきた。
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