勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第4章 迷宮の宝

第1話 帰ってきた故郷

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 大変お待たせいたしました。
 第4章開幕しますので、よろしくお願いいたします。
 書籍『勘当貴族』第2巻も4/17に発売されますので、是非よろしくお願いいたします。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ふーっ、やっと着いたぜ。懐かしの我が故郷ってか」

 オレは馬を走らせながら、遠方から徐々に接近してくるゲスニク領の外壁を眺め、思わず言葉を漏らした。
 この近くにある迷宮になんらかの異変が起こり、アニスの消息が分からなくなっていることを知って、オレは慌ててアルマカイン王都を離れてこのゲスニクの街に向かった。
 昨夜から一晩中馬を走らせ、昼過ぎの今、ようやく帰り着いたところだ。

「お前もよく頑張ってくれたな、アレイオン」

「ブヒヒヒーン!(なぁに、こんなの朝飯前のことだ)」

 アレイオンはゾンダール将軍からもらった馬の名前だ。
 馬車なら4日はかかる距離を、アレイオンは1日かからずに走り抜いた。
 さすがアルマカイン軍馬最速というだけはある。
 実はもっと早く到着することも可能だったが、無理しすぎてアレイオンが壊れたら元も子もないので、しっかり休憩を入れながら走らせた。
 アレイオン自身は、疲れてないから休みなどいらないって言ってたんだけどな。

 ちなみに、『アレイオン』というのは伝説の名馬の名前だ。
 軍では『ダニエル』と呼ばれていたらしいが、オレが『スマホ』の翻訳で聞いてみたら、本当の名前は『アレイオン』だと言ってきた。
 多分コイツが勝手に名乗っているだけな気がするが、下手にツッコんでヘソを曲げられても困るから『アレイオン』と呼んでやってる。

「よしアレイオン、最後のもうひと踏ん張りだ!」

「ブヒヒーン!」

 アレイオンの力強いいななきを聞きながら、オレは通行門目掛けて疾走させた。


 ☆


 門番たちは久々に帰ってきたオレの姿を見て驚いていたが、特に拒絶されるようなこともなく、無事街に入ることができた。
 もしかしたら面倒な展開になることも覚悟していたので、少々拍子抜けしたくらいだ。
 まあ別に、オレはこの街で何も問題とか起こしてないから、出入りできるのは当然と言えば当然なんだがな。
 そのまま真っ先に、オレは冒険者ギルドへと向かう。

 通い慣れた建物に到着し、その重い扉を開けて中に入ると、部屋の中央に30人ほどの冒険者たちが集まっていた。
 付けているランクプレートを確認すると、全員がAランク以上の実力者で、オレが見たこともないSランクたちも5人ほどいる。
 オレが王都に行っている間にこの地に来たんだろう。
 その冒険者たちの前には、ギルド長のフォーレントと、そして身なりの良い中年男性が立っていた。

「お……お前はリューク!?」

 フォーレントがオレに気付いて声を上げる。

「久しぶりだなフォーレント、元気そうで何よりだ」

「バカ者っ、ギルド長と呼べ! お前、今までいったいどこにおったのだ!?」

「いやまあ、ちょっとアルマカイン王都に行っててな」

 ここを離れてからオレがしてきたことをどこまで話していいか迷ったので、とりあえず言葉を濁しておく。

「王都だと!? お、お前がグリムラーゼ王女様を救って王都までお送りしたなどという噂があるが、まさかそんなことなどしておらんよな?」

「えっ? 王女を王都に送り届けたのはオレだが? 何かおかしいか!?」

「なっ、なんだとぉ~っ!」

 おわっ、予想以上にフォーレントが驚いている。というか、慌てているような感じだ。
 どうもフォーレントにとって都合が悪いように見えるが、オレが王女を送ったことで何か問題でもあるのか?
 ここに集まっている冒険者たちも、オレの言葉を聞いてざわついている。

「王女様捜索のあと、何故かお前とジーナたちが戻ってこんから、王女様を救い出して王都に送ったのはお前じゃないかと噂が立っていたが、まさか本当だったとは……だがしかし、ラスティオン様のことはどうやって捕らえたのだ!? お前ごときではあのラスティオン様に勝てるはずがない! 謀反を起こした罪で処刑されたということは聞いているが、この事件には何か裏がある。お前の陰謀じゃないのか!?」

 なんだそりゃ?
 いやまあ確かに、この事件に裏があるのは当たっているが、とんでもない推理だな。
 どうもオレをおとしめたいようなフシを感じるので、正直に話すと難癖をつけられて、かえって状況が悪化しそうだ。
 フォーレントが納得しそうな話をでっち上げたほうがいいだろう。

「ラスティオンは森で凶悪なモンスターと相打ちになり、弱っていたところを王女専属護衛のヒミカさんが捕らえたんだ。その場にたまたまオレも居合わせてな。王女様の馬車を襲ったのはラスティオンたちだと聞かされたのもそのときだ。そして王女の護衛を手伝って王都まで一緒に行った。何もおかしいことなんてないだろ?」

「な……なるほど、ふむ、そうであったか……。で、では、手柄の褒美も大したものではなかったであろう?」

「褒美なんてもらってねえよ。まあ護衛代はキッチリ払ってくれたけどな」

「ははは、そうかそうか、ま、まあお前ならそんなところだろう。ぐはは、気を揉んで損をしたわい」

 フォーレントが何言ってるのかよく分かんねーな。
 まあでも、機嫌が良くなってくれたようだからこれでいい。周りにいる冒険者たちも、オレの説明を聞いてなんとなくホッとしている感じだ。
 上手くごまかせたみたいだし、このまま王都での出来事は黙っていよう。

 とりあえず、ここに来た本題に入るか。
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