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取り戻しつつある日常
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薫さんから部活に参加するように言われた数日後、放課後に公平から呼び出された。
体育館裏なんて喧嘩でも始めるつもりか。
俺は何かしただろうか。
公平は面と向かって険しい表情を向けてくる。
「お前、浮気しているだろ!」
公平は俺の顔を指差してきた。
いきなり何を言っているんだ、この馬鹿は。
「この前、綺麗な女の人と歩いているところを見たんだ。後をついて行ったら、その人のマンションに入って行っただろ。最近様子がおかしいと思っていたら、そんなことをしていたのか」
薫さんといるところを見られてしまったらしい。
「そんなストーカーみたいなことするなよ」
「何だと! 桜井ちゃんという彼女がいながらお前は」
二股が羨ましいってか。
残念ながらそんなんじゃない。
確かに薫さんは美人だし、未だに若干ドキドキはするけど、亮真さんという素晴らしい相手がいるからな。
二人の結婚式に俺も呼んでほしいな。
「誤解だよ。あの人はただの知り合いだ。それに、あの人はもうすぐ結婚する。相手の男とも仲良しだぞ」
「そうなのか。本当だな」
「あのマンションで婚約者と同棲してる」
「でも、婚約者がいても相手がいない間にイチャイチャする奴もいるだろ」
何を想像しているんだ。
こいつの知識は偏っている。
「そんなわけないだろ。いい加減にしろよな」
公平はしばらく俺を見つめていた。
そして溜息をつく。
「誤解らしいぞ、桜井ちゃん」
「は?」
公平は体育館の角に向かって声を発した。
なんとそこから奏ちゃんが姿を現した。
今の話を聞かれていたと思うと恥ずかしくて、俺の顔が熱くなる。
「ごめんね、薬人君。私が新山君にお願いしたの」
どうやら奏ちゃんは隣の駅まで塾に通っていて、その時に俺と薫さんを見かけたらしい。
公平が言った内容は、奏ちゃんが目撃したものだった。
ストーカーとか言っちゃったじゃないか!
「本当にごめんなさい。最近、薬人君部活への参加が少ないし、休日も予定がたくさんあるようだし、もしかしたらって」
奏ちゃんも頬を赤くしている。
俺はきっと真っ赤だ。
「俺こそごめん。これからは真面目に部活に参加するから」
本当に俺は何をやっていたんだろう。
こんなに可愛い彼女を心配させるなんて最低だ。
俺と奏ちゃんは赤面したまま俯いている。
そんな俺達を公平は交互に見比べて笑っていた。
「おい、八重藤! 今日も部活をさぼる気か!」
俺を探し出した如月が突然現れて大声を発し、俺と奏ちゃんは飛び上がった。
「お前ら顔真っ赤だぞ。どうした?」
如月はサッカーが上手くても、空気を読むという能力は無いようだ。
俺と奏ちゃんはお互い笑い合って、如月の後を追ってグラウンドへ向かった。
公平が耳元で、あまり心配をかけるなと言ってきた。
今回は確かに公平の言うとおりだ。
もう心配かけないよ。
上手く高校生活を送るように努力をしよう。
体育館裏なんて喧嘩でも始めるつもりか。
俺は何かしただろうか。
公平は面と向かって険しい表情を向けてくる。
「お前、浮気しているだろ!」
公平は俺の顔を指差してきた。
いきなり何を言っているんだ、この馬鹿は。
「この前、綺麗な女の人と歩いているところを見たんだ。後をついて行ったら、その人のマンションに入って行っただろ。最近様子がおかしいと思っていたら、そんなことをしていたのか」
薫さんといるところを見られてしまったらしい。
「そんなストーカーみたいなことするなよ」
「何だと! 桜井ちゃんという彼女がいながらお前は」
二股が羨ましいってか。
残念ながらそんなんじゃない。
確かに薫さんは美人だし、未だに若干ドキドキはするけど、亮真さんという素晴らしい相手がいるからな。
二人の結婚式に俺も呼んでほしいな。
「誤解だよ。あの人はただの知り合いだ。それに、あの人はもうすぐ結婚する。相手の男とも仲良しだぞ」
「そうなのか。本当だな」
「あのマンションで婚約者と同棲してる」
「でも、婚約者がいても相手がいない間にイチャイチャする奴もいるだろ」
何を想像しているんだ。
こいつの知識は偏っている。
「そんなわけないだろ。いい加減にしろよな」
公平はしばらく俺を見つめていた。
そして溜息をつく。
「誤解らしいぞ、桜井ちゃん」
「は?」
公平は体育館の角に向かって声を発した。
なんとそこから奏ちゃんが姿を現した。
今の話を聞かれていたと思うと恥ずかしくて、俺の顔が熱くなる。
「ごめんね、薬人君。私が新山君にお願いしたの」
どうやら奏ちゃんは隣の駅まで塾に通っていて、その時に俺と薫さんを見かけたらしい。
公平が言った内容は、奏ちゃんが目撃したものだった。
ストーカーとか言っちゃったじゃないか!
「本当にごめんなさい。最近、薬人君部活への参加が少ないし、休日も予定がたくさんあるようだし、もしかしたらって」
奏ちゃんも頬を赤くしている。
俺はきっと真っ赤だ。
「俺こそごめん。これからは真面目に部活に参加するから」
本当に俺は何をやっていたんだろう。
こんなに可愛い彼女を心配させるなんて最低だ。
俺と奏ちゃんは赤面したまま俯いている。
そんな俺達を公平は交互に見比べて笑っていた。
「おい、八重藤! 今日も部活をさぼる気か!」
俺を探し出した如月が突然現れて大声を発し、俺と奏ちゃんは飛び上がった。
「お前ら顔真っ赤だぞ。どうした?」
如月はサッカーが上手くても、空気を読むという能力は無いようだ。
俺と奏ちゃんはお互い笑い合って、如月の後を追ってグラウンドへ向かった。
公平が耳元で、あまり心配をかけるなと言ってきた。
今回は確かに公平の言うとおりだ。
もう心配かけないよ。
上手く高校生活を送るように努力をしよう。
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