少年ドラッグ

トトヒ

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サッカー部の面倒事

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サッカー部への参加は去年よりも減ってしまい、奏ちゃんに心配された。
そして俺は今、如月に追いかけ回されている。
廊下中を全速力で走って逃げて、他の生徒に笑われる羽目になっていた。
原因は今週の日曜日も練習に参加できないと、如月に言ってしまったからだ。
日曜日は喜悦薫と会う約束になっている。

「待て八重藤!」

如月の声が後ろの近距離で聞こえた。
毎日鍛えて、足も長い如月は俺より足が速い。
そして、俺はブレザーの襟をつかまれて捕まった。

「離せ、このサッカー馬鹿!」

「お前、優勝する気ないのか!」

「ねーよ! お前だけだよ、そんな馬鹿みたいな夢語ってるのは」

如月が俺の胸倉をつかんでくる。
上等だ。俺にはサッカーよりも大事な予定があるんだよ。
喧嘩が始まろうとした瞬間、俺と如月は強い力で引きはがされた。
いつの間にか現れた顧問の土屋が呆れた表情で見下ろしてくる。
そして、俺達二人は職員室まで引きずられた。

「部活ごときで、ガキみたいな喧嘩をするな」

土屋が机に肘をつきながら緩い説教をする。

「監督もやる気がないんですか。去年ベストエイトまで入ったんです。もっと練習すれば、優勝を狙えます」

如月が若干怒りながら言う。
本気なんだな。
馬鹿だな。

「お前の気持ちも分かるが、八重藤にも事情があるんだろ。朝練はちゃんと出てるし、放課後も参加できる時はしているからな」

そうだ。
俺はできる限り怪しまれないように行動しているつもりだ。
これでも身を削っているんだぞ。

「いくらだ?」

如月が俺を睨みつける。

「何が?」

「いくら必要なんだ。いくらあればバイトを辞めるんだ!」

金の問題じゃないんだよ。
この質問は何だ。まさか、俺に金を渡そうとしているのか。
ここまでサッカー馬鹿だとは思わなかった。

「まあまあ如月、落ち着け。八重藤、バイトのことは家の人に話してあるよな」

土屋が突然真面目な顔つきになった。
言えるわけないだろ。
バイトじゃないんだから。
ヌードモデルのことはもっと言えない。
それに、未成年がバイトをする為には保護者の承諾が必要なはずだ。
まずい。土屋経由で叔父さんにばれるかもしれない。

「言っていません。心配をかけたくないので。正式にどこかで雇われているわけじゃなくて、知り合いのお手伝い程度なんです」

俺は最近嘘が上手くなってきたような気がする。
これはいいことなのだろうか。

「秘密にする方が心配をかけることになるぞ。悪いことは言わないから、ちゃんと話しておけ」

土屋が珍しく真剣な顔をしている。
こいつも一応教師ってわけか。
如月の機嫌をこれ以上損ねるわけにはいかないので、今日はちゃんと放課後練習に付き合ってやった。
でも、一日中使える休日は渡せない。
俺は別の世界で闘っているんだから。
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