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順風満帆な学校生活
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テレビ画面の向こうから人気モデルの女性が俺に笑いかける。
細い指でつまんだ錠剤を掲げ、艶のある唇へと運ぶ。
新発売の美容ドラッグらしい。
またクラスの女子達が騒ぐのだろう。
コマーシャルは切り替わり、国民的スターである野球選手がドラッグを口に運ぶ。
すると、ホームランを連発し始めた。
俺にとっては、こっちのドラッグの方が魅力的だ。
でも、俺の小遣いでは絶対に買えない。
そこまでスポーツに情熱があるわけでもないし、野球部でもないけどな。
「叔父さん、行ってきます」
朝食を終えた俺は家を出た。
駅で待ち合わせしている友達と電車に乗り、高校へ向かう。
つい最近まで満開だった校庭の桜は、もうほとんど花びらが残っていない。
花の寿命は短いなんて初めて実感した。
俺は昔から花より団子だ。
桜が咲こうが花壇の花が枯れようが、見向きもしなかったのに。
「何だよ。物思いにふけったような顔しやがって」
隣を歩く新山公平が俺を小突いた。
また髪の毛をワックスで立たせている。
先週校則違反で教師から説教くらったことをもう忘れているのか、この馬鹿は。
「いや、彼女ができると本当に世界が変わるんだなって思ってさ」
俺の発言を聞いた公平が目を吊り上げる。
相変わらず分かりやすい奴だな。
「何さらっと自慢してんだ。俺はモテる部活ナンバーワンの軽音楽部で、毎日髪型きめてるのに彼女ができる気配ゼロだぞ。お前は適当にサッカーやって、うっかり全国大会ベスト8に入って、この学校でちょっと有名人になって、可愛い女子マネージャーと付き合いやがって。高校デビューおめでとう、この野郎」
「説明どうも」
俺の高校生活は、公平が説明したとおり絵に描いたように華々しいと自分でも思う。
家の事情もあり、できるだけ学費を抑えようと地元千葉県の公立高校へ進学したのが去年。
特にやりたいことも野心も無く、一緒に暮らしている叔父さんが運動部に入れと勧めたから、ゆるそうなサッカー部に入部した。
部員数が少なかった為、1年生からレギュラーとなり試合にも出させてもらった。
何の因果かそれまで弱小サッカー部だったにも関わらず、公平の言ったとおりうっかり全国大会に出場してしまい、何故かベスト8入りを果たしてしまった。
うちの高校にとっては快挙だったらしく、学校はお祝い騒ぎをして俺も少しだけ有名になってしまった。
試合もテレビ中継された。
最後の試合では俺のパスを受けて、うちの部のエースがゴールを決めてしまったから絵になったようだし。
やる気が無かった顧問も学校の期待を背負って、練習時間を多く取るようにスケージュールを変えてしまったし。
俺の理想だったお気楽高校生活は、音を立てて崩れてしまったわけだ。
「それで、桜井ちゃんとは上手くいってるのか?」
公平が目を細めて不貞腐れた表情をしている。
サッカー部に入部して良かったのは、俺に生まれて初めて彼女ができたことだと思う。
サッカー部のマネージャーである、桜井奏だ。
胸元までの長さのとても綺麗な黒髪に、きめ細かい健康的な肌。
桜色のフレーム眼鏡の奥に輝く、知的で愛らしい瞳。
もちろん勉強もできる。
清楚な美少女だ。
サッカー初心者だった俺はサッカーに詳しい彼女にいろいろと教えてもらうことが多かった。
同じ1年生で入部当初から意識はしていたけれど、彼女と接しているうちに本気で好きになってしまった。
そして、去年の全国大会が終わった頃、俺は生まれて初めて愛を告白し、見事成功したというわけだ。
昼休みは一緒に弁当を食べている。
この前、桜の木の下で彼女が自分の為に作ってくれた弁当を食べた。
具体的に味は覚えていないが、幸福な味がしたような気がする。
そんな桜も散ってしまった。
けれど、好きな女の子と移り行く季節を共にできるのは悪くないかもしれない。
「何ニヤついてるんだコイツめ。せいぜい人生のピークを味わえよな」
公平が俺にヘッドロックをかけてきた。
こいつは昔から変わらない、成長してない。
俺が小学五年生の頃に公平がいた学校に転校してきて以来の付き合いだから、もう七年近くの付き合いになるのか。
年月とは恐ろしい。
「友の成功を素直に喜べないのか。だからモテないんだぞ」
「うるせーな。成功し過ぎなんだよ! さては、俺に内緒で特別なドラッグでもやってるな」
「八重藤。お前何で朝練来なかったんだ!」
俺と公平が取っ組み合いをしていると、俺の名前を呼ぶ怒鳴り声が聞こえて来た。
振り向くとジャージ姿の背が高い、浅黒い肌のイケメンが、睨みながら近づいて来る。
我らがサッカー部のエース、如月大和のお出ましだ。
うちのサッカー部が全国大会で良い成績を残してしまったのは、99パーセントこいつのせいだ。
「如月、何言ってるんだ。今日は朝練無いだろ」
「昨日、自主朝練するぞって言っただろ」
また言ってるよ、この熱血サッカー馬鹿が。
誰がそんなもの好きこのんで参加するか。
「どうせ誰も来てないだろ」
「1年の数人は来ているぞ。それに飯田も」
「飯田が?」
全国大会の影響で、うちのサッカー部は入部希望者が増えた。
サッカーが上手い後輩が増えたせいで、去年までレギュラーだった同級生の飯田徹がはずされてしまった。
放課後の部室で泣いていた飯田の後ろ姿は、今でも忘れられない。
でも、前向きで真面目な飯田は翌日から練習に励んでいた。
まさか、如月大和の自主朝練にまで参加しているとは思わなかった。
さすがに頭が下がる。
「あいつ偉いな。またレギュラーに戻れるといいな」
「無理だな。あいつじゃ」
こいつ酷い奴だな。
「全国大会優勝を目指すためには、日々の練習が必要だ。お前も今から参加しろ」
「は? 後15分で予冷が鳴るぞ」
「問題無い」
こいつ馬鹿なのか。
生まれてくる時代を間違えている。
このドラッグ時代に、努力だけで優勝を狙おうとか時代錯誤もいいところだ。
強豪校は未成年者に使えるドラッグが支給されているというのに。
如月は俺が暴れているのもお構いなく、俺のブレザーを引っ張ってグラウンドへ連れて行こうとする。
俺は運動神経に自信がある方だが、如月はがたいが良くて力も強く、振りほどけない。
「頑張れ薬人。たっぷりしごかれてもらえ」
引きずられていく俺に向かって、笑顔で手を振る公平が恨めしかった。
八重藤薬人、高校二年生は思いがけずハードモードな学校生活を送ってしまう、そんな予感がする。
「それは、薬人君に期待しているからよ」
とんでもない朝練から解放され、眠くなるほど詰まらない授業を終えて、念願の昼休みを迎えた。彼女の奏ちゃんと校庭へ向かい、ベンチで弁当箱を広げる至福の時間。
朝練の件について、つい奏ちゃんに愚痴をこぼしてしまった。
「期待されても困るんだよな。俺は如月と違って初心者だし」
「大会では薬人君のパスがあったから、如月君はシュートを決められたのよ。もう、初心者なんかじゃないわ。それに、練習頑張っていたじゃない。実はサッカー好きでしょ」
奏ちゃんが微笑んだ。
女子ってこんなに可愛いかったんだな。
それとも、奏ちゃんが特別可愛いのだろうか。
確かに練習は頑張っていた。
奏ちゃんに近づきたかったし、かっこいいとも思われたかったからだ。
原動力はほとんど下心だった。
でも、中学までろくに部活というものに所属してこなかったから、勝手が分からず言われるがまま練習していたのも理由の一つだ。
集団で何かを成し遂げるという経験が無かったから、皆の真似をしただけ。
特にあの熱血サッカー野郎、如月の真似をしてしまったのは大きな間違いだった。
サッカーとはこうだ、部活とはこうだという持論を振りまいていた奴のことを、俺は単純に信じてしまった。
俺の馬鹿。
だいたい何であいつ、うちの高校でサッカーやってるんだよ。
サッカー強豪校に行けよな。
「薬人君、おかず交換しない? このハンバーグ半分あげるから、そのプチトマトちょうだい」
「その交換でいいのか?」
正直、ハンバーグはメインのおかずでプチトマトは添え物だと俺は思っている。
野菜を愛している叔父さんに言ったら怒られそうだけど。
「私、薬人君家の野菜好きなの。美味しいし。それに、良質なドラッグで栽培されているんでしょ?」
俺と一緒に暮らしている叔父さんは、八百屋を経営している。
取引をしている野菜にはこだわりがあるようで、見た目が多少悪くても健康に育ち食べた人にも何かしらの効果が期待できる良質なドラッグで栽培されているらしい。
人への効果はよく分からないが、大手スーパーなんかで売られている野菜は見た目が整うドラッグばかり使われているから、そこで差別化をしていると言っていたような気がする。
ほとんど聞き流していたから、あまり覚えていない。
「叔父さんに伝えておく。すごく喜ぶよ」
奏ちゃんは頷いた。本当に美味しそうにプチトマトを食べている。
心地よい風が彼女の美しい髪をなびかせた。季節は夏へと確実に向かっている。
ありきたりかもしれないけど、彼女と海やプールに行きたい。
そこでキスなんかできたら、完全に青春時代の勝ち組になれる。
俺にとってはファーストキスだけど、彼女もそうだといいな。
奏ちゃんの水着姿を想像して、赤くなっている俺の顔を彼女が覗き込んで来た。
恥ずかしいけど幸せだ。
公平が言ったとおり、これが人生のピークでも構わないと、その時の俺は思ってしまった。
細い指でつまんだ錠剤を掲げ、艶のある唇へと運ぶ。
新発売の美容ドラッグらしい。
またクラスの女子達が騒ぐのだろう。
コマーシャルは切り替わり、国民的スターである野球選手がドラッグを口に運ぶ。
すると、ホームランを連発し始めた。
俺にとっては、こっちのドラッグの方が魅力的だ。
でも、俺の小遣いでは絶対に買えない。
そこまでスポーツに情熱があるわけでもないし、野球部でもないけどな。
「叔父さん、行ってきます」
朝食を終えた俺は家を出た。
駅で待ち合わせしている友達と電車に乗り、高校へ向かう。
つい最近まで満開だった校庭の桜は、もうほとんど花びらが残っていない。
花の寿命は短いなんて初めて実感した。
俺は昔から花より団子だ。
桜が咲こうが花壇の花が枯れようが、見向きもしなかったのに。
「何だよ。物思いにふけったような顔しやがって」
隣を歩く新山公平が俺を小突いた。
また髪の毛をワックスで立たせている。
先週校則違反で教師から説教くらったことをもう忘れているのか、この馬鹿は。
「いや、彼女ができると本当に世界が変わるんだなって思ってさ」
俺の発言を聞いた公平が目を吊り上げる。
相変わらず分かりやすい奴だな。
「何さらっと自慢してんだ。俺はモテる部活ナンバーワンの軽音楽部で、毎日髪型きめてるのに彼女ができる気配ゼロだぞ。お前は適当にサッカーやって、うっかり全国大会ベスト8に入って、この学校でちょっと有名人になって、可愛い女子マネージャーと付き合いやがって。高校デビューおめでとう、この野郎」
「説明どうも」
俺の高校生活は、公平が説明したとおり絵に描いたように華々しいと自分でも思う。
家の事情もあり、できるだけ学費を抑えようと地元千葉県の公立高校へ進学したのが去年。
特にやりたいことも野心も無く、一緒に暮らしている叔父さんが運動部に入れと勧めたから、ゆるそうなサッカー部に入部した。
部員数が少なかった為、1年生からレギュラーとなり試合にも出させてもらった。
何の因果かそれまで弱小サッカー部だったにも関わらず、公平の言ったとおりうっかり全国大会に出場してしまい、何故かベスト8入りを果たしてしまった。
うちの高校にとっては快挙だったらしく、学校はお祝い騒ぎをして俺も少しだけ有名になってしまった。
試合もテレビ中継された。
最後の試合では俺のパスを受けて、うちの部のエースがゴールを決めてしまったから絵になったようだし。
やる気が無かった顧問も学校の期待を背負って、練習時間を多く取るようにスケージュールを変えてしまったし。
俺の理想だったお気楽高校生活は、音を立てて崩れてしまったわけだ。
「それで、桜井ちゃんとは上手くいってるのか?」
公平が目を細めて不貞腐れた表情をしている。
サッカー部に入部して良かったのは、俺に生まれて初めて彼女ができたことだと思う。
サッカー部のマネージャーである、桜井奏だ。
胸元までの長さのとても綺麗な黒髪に、きめ細かい健康的な肌。
桜色のフレーム眼鏡の奥に輝く、知的で愛らしい瞳。
もちろん勉強もできる。
清楚な美少女だ。
サッカー初心者だった俺はサッカーに詳しい彼女にいろいろと教えてもらうことが多かった。
同じ1年生で入部当初から意識はしていたけれど、彼女と接しているうちに本気で好きになってしまった。
そして、去年の全国大会が終わった頃、俺は生まれて初めて愛を告白し、見事成功したというわけだ。
昼休みは一緒に弁当を食べている。
この前、桜の木の下で彼女が自分の為に作ってくれた弁当を食べた。
具体的に味は覚えていないが、幸福な味がしたような気がする。
そんな桜も散ってしまった。
けれど、好きな女の子と移り行く季節を共にできるのは悪くないかもしれない。
「何ニヤついてるんだコイツめ。せいぜい人生のピークを味わえよな」
公平が俺にヘッドロックをかけてきた。
こいつは昔から変わらない、成長してない。
俺が小学五年生の頃に公平がいた学校に転校してきて以来の付き合いだから、もう七年近くの付き合いになるのか。
年月とは恐ろしい。
「友の成功を素直に喜べないのか。だからモテないんだぞ」
「うるせーな。成功し過ぎなんだよ! さては、俺に内緒で特別なドラッグでもやってるな」
「八重藤。お前何で朝練来なかったんだ!」
俺と公平が取っ組み合いをしていると、俺の名前を呼ぶ怒鳴り声が聞こえて来た。
振り向くとジャージ姿の背が高い、浅黒い肌のイケメンが、睨みながら近づいて来る。
我らがサッカー部のエース、如月大和のお出ましだ。
うちのサッカー部が全国大会で良い成績を残してしまったのは、99パーセントこいつのせいだ。
「如月、何言ってるんだ。今日は朝練無いだろ」
「昨日、自主朝練するぞって言っただろ」
また言ってるよ、この熱血サッカー馬鹿が。
誰がそんなもの好きこのんで参加するか。
「どうせ誰も来てないだろ」
「1年の数人は来ているぞ。それに飯田も」
「飯田が?」
全国大会の影響で、うちのサッカー部は入部希望者が増えた。
サッカーが上手い後輩が増えたせいで、去年までレギュラーだった同級生の飯田徹がはずされてしまった。
放課後の部室で泣いていた飯田の後ろ姿は、今でも忘れられない。
でも、前向きで真面目な飯田は翌日から練習に励んでいた。
まさか、如月大和の自主朝練にまで参加しているとは思わなかった。
さすがに頭が下がる。
「あいつ偉いな。またレギュラーに戻れるといいな」
「無理だな。あいつじゃ」
こいつ酷い奴だな。
「全国大会優勝を目指すためには、日々の練習が必要だ。お前も今から参加しろ」
「は? 後15分で予冷が鳴るぞ」
「問題無い」
こいつ馬鹿なのか。
生まれてくる時代を間違えている。
このドラッグ時代に、努力だけで優勝を狙おうとか時代錯誤もいいところだ。
強豪校は未成年者に使えるドラッグが支給されているというのに。
如月は俺が暴れているのもお構いなく、俺のブレザーを引っ張ってグラウンドへ連れて行こうとする。
俺は運動神経に自信がある方だが、如月はがたいが良くて力も強く、振りほどけない。
「頑張れ薬人。たっぷりしごかれてもらえ」
引きずられていく俺に向かって、笑顔で手を振る公平が恨めしかった。
八重藤薬人、高校二年生は思いがけずハードモードな学校生活を送ってしまう、そんな予感がする。
「それは、薬人君に期待しているからよ」
とんでもない朝練から解放され、眠くなるほど詰まらない授業を終えて、念願の昼休みを迎えた。彼女の奏ちゃんと校庭へ向かい、ベンチで弁当箱を広げる至福の時間。
朝練の件について、つい奏ちゃんに愚痴をこぼしてしまった。
「期待されても困るんだよな。俺は如月と違って初心者だし」
「大会では薬人君のパスがあったから、如月君はシュートを決められたのよ。もう、初心者なんかじゃないわ。それに、練習頑張っていたじゃない。実はサッカー好きでしょ」
奏ちゃんが微笑んだ。
女子ってこんなに可愛いかったんだな。
それとも、奏ちゃんが特別可愛いのだろうか。
確かに練習は頑張っていた。
奏ちゃんに近づきたかったし、かっこいいとも思われたかったからだ。
原動力はほとんど下心だった。
でも、中学までろくに部活というものに所属してこなかったから、勝手が分からず言われるがまま練習していたのも理由の一つだ。
集団で何かを成し遂げるという経験が無かったから、皆の真似をしただけ。
特にあの熱血サッカー野郎、如月の真似をしてしまったのは大きな間違いだった。
サッカーとはこうだ、部活とはこうだという持論を振りまいていた奴のことを、俺は単純に信じてしまった。
俺の馬鹿。
だいたい何であいつ、うちの高校でサッカーやってるんだよ。
サッカー強豪校に行けよな。
「薬人君、おかず交換しない? このハンバーグ半分あげるから、そのプチトマトちょうだい」
「その交換でいいのか?」
正直、ハンバーグはメインのおかずでプチトマトは添え物だと俺は思っている。
野菜を愛している叔父さんに言ったら怒られそうだけど。
「私、薬人君家の野菜好きなの。美味しいし。それに、良質なドラッグで栽培されているんでしょ?」
俺と一緒に暮らしている叔父さんは、八百屋を経営している。
取引をしている野菜にはこだわりがあるようで、見た目が多少悪くても健康に育ち食べた人にも何かしらの効果が期待できる良質なドラッグで栽培されているらしい。
人への効果はよく分からないが、大手スーパーなんかで売られている野菜は見た目が整うドラッグばかり使われているから、そこで差別化をしていると言っていたような気がする。
ほとんど聞き流していたから、あまり覚えていない。
「叔父さんに伝えておく。すごく喜ぶよ」
奏ちゃんは頷いた。本当に美味しそうにプチトマトを食べている。
心地よい風が彼女の美しい髪をなびかせた。季節は夏へと確実に向かっている。
ありきたりかもしれないけど、彼女と海やプールに行きたい。
そこでキスなんかできたら、完全に青春時代の勝ち組になれる。
俺にとってはファーストキスだけど、彼女もそうだといいな。
奏ちゃんの水着姿を想像して、赤くなっている俺の顔を彼女が覗き込んで来た。
恥ずかしいけど幸せだ。
公平が言ったとおり、これが人生のピークでも構わないと、その時の俺は思ってしまった。
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