恋なし、風呂付き、2LDK

蒼衣梅

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116 運命の

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 旭輝がどんな中学生だったのかと思いを馳せて。
 お互いをまだちっとも知らなかった頃、同じドラマを見ていた。たったそれだけのことで胸のところがくすぐったかった。
 まだ自分がどんな恋愛をするのか、見当さえつかなかった頃、僅かに、テレビの電波越しに赤い糸が毎週俺たちを繋げていたみたいな。
 そんなことを言ったら、運命の恋を夢見る中高生みたいで恥ずかしいけれど。
 でもそんなことを思っちゃうくらい、本当に旭輝としているこの恋が俺にとってはかけがえのないもので、一番で、宝物で。
 だからね、今日もゴムなしでしようよって言ったら旭輝が困った顔して笑った。あれはたまにしかダメって。この前、それでしたばかりだって。
 でも、ゴムなしでしたほうが気持ちいでしょ?
 それにね。

「あ、熱」

 それに、旭輝だけは特別だから。
 特別、大好きな人だから、そのまま繋げたい。

「あっ……」

 そう思った。
 ゴムへと伸ばした手を捕まえて、俺の肌に触れさせながら、早くこのままっておねだりをもう一度すると、困った顔のまま「じゃあ、いただきます」なんて言うから笑っちゃった。甘くてやらしい行為の最中、ベッドの上で溢れた楽しそうな俺の笑い声。
 こんなセックスしたことないよ。やらしくて、気持ち良くて、まるで幸せがつま先の端っこのもっと端っこまで染み込んだみたいなセックス。

「旭輝、ぅ……ン」

 大きく脚を広げながら、大好きな人の背中に手を回す。

「聡衣」
「ン」

 グググって腰を押し付けながら、十分すぎるくらいに柔らかくなった俺の中に、旭輝の熱くて硬いのが入ってくる。

「んっ、あっ」

 気持ち、ぃ。

「あぁっ……」

 運命の恋だから、かな……なんて。
 だって、触れ合うこと全部がこんなに気持ちいいセックスはしたことないから。

「聡衣?」
「?」

 なに? って、名前を呼ばれて顔をあげると、まだ挿入しただけで、馴染むのをじっと待っていてくれる旭輝が背中を丸めて頬にキスをくれた。

「ン」

 中でちょっとだけ、その先端が柔らかくなった内壁を撫でた。ただそれだけで、身震いするほど気持ち良くて。

「今、どうかしたか?」
「?」

 なにが?

「可愛い顔した」
「!」
「っ、それに、今も、だな……中が」

 今、どうもしてないよ。ただ繋がっただけで気持ち良くて。

「中がしゃぶりつく、聡衣」
「あ、ダメっ」

 まだ繋がっただけなのに、もうこんなに蕩けちゃうくらいで。

「聡衣、動くぞ」
「あンっ」

 こんなになっちゃうのは運命の恋だから、なのかな、なんて、夢見る子どもみたいなことを思った、だけ。

「あぁっ」

 弱いところを熱の先端で擦り上げるように刺激されると、つま先まで快感が駆け抜ける。ビリビリするくらいの甘い刺激につま先が丸まって、その脚で行儀悪く旭輝の腰を押さえつけちゃう。

「うぅ……ンっ、あ、あっ、そこ」

 もっと。

「聡衣」
「ひぅ…………んっ、あ、やぁっ……ン」

 もっとして。

「あ、ン……乳首」

 責められて、甘い声がとめどなく溢れてく。

「あン」

 胸に、首筋に赤い印がつくだけで、彼のものになれたって、身体も気持ちも嬉しそうに悦んで。
 好きが胸の内で溢れて。

「あ、ん、ダメ、それ」

 気持ちいいが身体の中に広がって。

「あ、あ、あ」

 滴るくらいにたっぷり染み込んでく。

「聡衣」

 耳元で囁かれるとたまらないその低音に刺激されて、中がやんわりと、音がしちゃいそうなくらいねっとり、旭輝の大きいのに絡みついた。

「やぁぁぁ」

 イっちゃった。甘イキが止まらないの。

「あ、あ、あ、だ……め……今、俺」

 ゆっくり責められて、とめどくなく溢れてくる。
 なに、これ。

「やぁ……んっ」
「聡衣」

 あ、奥。

「愛してる」
「っ、ん、んんんんっ」

 奥に、来ちゃう。

「あ、あぁっ……」

 解されてないところ。そこまでは彼の長い指ですら届かなくて、入られたら苦しくてたまらないところ。

「あ、あっ、ん、あぁっ……あ、あ」

 入っちゃ、ダメなとこ。

「聡衣」
「あ、もっと……」

 愛してる人しか、入っちゃダメなとこ。

「もっときて」

 奥に。

「くせになっちゃいそ」
「聡衣?」
「俺、ね」

 奥って苦手だったんだよ? 苦しくてさ、内臓抉られるみたいな感じがして怖いし。俺って怖いの大嫌いでしょ? だから、それは許してあげなかった。それしないでって、拒否してた。身体もね。
 なのに旭輝が入ってきちゃうのは拒まなかった。
 気持ちも。
 身体も。

「……ぁ……ン、旭輝に触られたとこ全部気持ち良すぎて、こんなにイッちゃう身体じゃなかったの、に」

 ほら、また。
 中がきゅぅ……ん、ってした。

「あっ、イク、の、止まんないっ」

 気持ちいいが溢れてく。

「やぁっ、あ、あ……また、イッ……ク」

 肌が弾ける音がベッドの上に響く。

「あ、あ、あ、あ、そこ、好き、気持ち、ぃ」

 キスの音と、繋がった場所の濡れた音。

「や、ぁ……イク、イクっ」

 何もかもが。

「あ、旭輝、名前っ、呼ん、で」
「聡衣」
「あ、あぁっン」
「愛してる」
「あっ、それ、ダメっ、言っちゃっ……あ、あ、ああぁぁぁっ、ン」

 気持ちい。

「も、ダメ、それ言うの」
「無理」
「あ、ン、今、イッた」
「あぁ、すごく気持ちいい」
「ひ、ぁっ……あっ」
「愛してる」
「あ、だからっ」
「聡衣」
「も、だめってばっ」

 こんなに気持ちいいセックスは。

「愛してる」
「あ、あぁぁぁぁ」

 運命の恋じゃなくて。

「も、旭輝」
「?」

 しがみついてその耳朶にキスをした。

「俺も……愛してる」

 運命の愛に、キスをした。


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