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第2章
第16話
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あざと後輩ヒロイン、日南茜発案。
もっとも主人公に近い男、オレ千尋司提案のお出かけ作戦。
その作戦が成立しかけた良い感じの時に、クール系ヒロインの雨宮鈴花《あめみやすずか》によって急ストップさせられていた。
ちなみにもっとも主人公に近い男とは。
【あともう少しで主人公になれる!】
という意味だけでなく。
【主人公の親友だから普通に物理的に距離感が近いよね】という意味でもある。
という意味しか無いのかもしれないのである…。
しかし、そんなことより今は雨宮鈴花の『行かないわ』発言である。
さっきまでの盛り上がりを一刀両断する、剣豪のような切れ味のある言いようであった。
アッパレ。
殿様ヅラして、ほめてる場合じゃあねーよな。
……いや、しかし大丈夫。
オレは依然として落ち着いていた。
なぜならば、知っているからだ。
こんな時の対処法を。
クール系ツンデレヒロインに対して効果的な方法を。
誰にでもわかるように整理しよう。
・皆で映画に行こうとしている。
・それは怖いと話題のホラー映画。
・クール系ツンデレヒロインの雨宮鈴花は行かないと言っている。
これだけの条件が揃えば、雨宮を映画に連れ出すのは楽の勝である。
ある言を言ってやれば良いだけ。
負けず嫌いの代表格、雨宮鈴花。
ここで1発、挑発をかませばホイホイと乗ることは、鉄板。
超王道展開。あるあるクイズなら1問目に出てもおかしくないイージー問題である。
やれやれ…。
イージーすぎてアクビが出るぜ。
ふあぁぁぁ。
とオレが余裕こいてウイニングアクビをかましている最中にタイヨウがニヤッとしながら口を開いた。
「とかいって、雨宮。お前オバケとかホラーとか苦手なんじゃないか?」
ふあぁ!??
お前が言うんかい!!
しまったー!
絶賛主人公中、夏目太陽がこんなベタベタな挑発をしないわけが無い…。
余裕をこいてアクビなんぞしている場合では無かったのだ。
タイヨウの挑発に予想通り、あっさりと乗ってしまう素直な、あめみやすずかちゃん16才。
(…いや、雨宮の誕生日知らねーな、もしかしたらもう17才かも)
「下衆の勘繰りね。だいたいオバケとかいう科学で証明されていないものをなぜ怖がらなくちゃならないの」
でたよ『科学』。
オバケの話になると、必ずと言っていいほどこの『科学』というワードが登場する。
もはや、オバケと科学はワンセットが定番だ。
そして科学うんぬんと言うヤツは、いざとなったらビビりまくる、というのがたいがいのパターンだ。
「なら、こわーいホラー映画見ても全然平気だな?」
タイヨウもそれを察しているのか、いたずらっ子のように雨宮に追撃する。
まぁ、もういいっすよ。
タイヨウ君この挑発は君に譲ってやるさ…。
「愚問ね。当たり前よ」
そう言って雨宮は、さっきオレの渡した、ミルクティーのペットボトルのフタをグイっと開けて、カッっと一気に傾けて飲みだした。
…いや、焦ってますやん。
あめみやちゃん。
喉かわいてもーとるやん。
もしかしてガチでホラー系が苦手なのか?
「じゃあじゃあ、雨宮先輩も一緒に映画を見に行くということでOKですね!」
「いや、まだ行くとは…」
まだグズっている雨宮の言葉が聞こえないのか、聞こえていてスルーしているのか、日南はさらに話を続ける。
「それで~、映画見たあと、あそこ行きたくないです?駅前の超人気のカフェ!」
駅前の超人気のカフェとは、オレたちの通うこの学校の最寄り駅。そのすぐ近くにあるカフェのことだ。
オレは詳しく知らないのだが、最近できたそのカフェは、なんでもめちゃくちゃ旨いスイーツがあるのだとかで学校内でも主に女子たちの間で話題になりはじめている、ここいらじゃ、ちょいと有名なカフェだ。
「あー、たしかにあそこ気になるよねぇ」
野々村もやはり女子として、そのカフェに興味があるようで、話にのってくる。
「でも混むんじゃないか?放課後いつもウチの学生とかで行列らしいじゃんか」
タイヨウはどうやら行列に並ぶのが嫌なようで、怪訝な表情だ。
かくいうオレもたしかに行列に並ぶにはあまり好きじゃない。
なんか女の子って行列好きだよね…。
もはや行列に並ぶのまで込みで1つのイベントとして楽しめちゃう的な感じなのかね?
「大丈夫ですよ。土曜日は逆に学校お休みなので学生はいつもより減るし。混みそうな時間から少しずらしていけば並ばないでも入れるハズです!」
なにか日南がそれっぽいことを言って、うまくフォローしている。
しかしそのフォローにタイヨウは納得いっていないらしい。
「マジで~?それでも学生以外が来そうじゃねえ?」
雨宮は、マジでホラー映画に行きたくないのか、タイヨウの言葉に乗っかるように否定的な意見をボソボソと言い出す。
「確かに私も列に並ぶのは苦手だし、映画も行くとは言ってないから今回は不参…」
「えー、行きましょーよー!あそこのプリンめっちゃ美味しいらしいですし~」
そんなタイヨウと雨宮に、後輩ヒロインの日南はその後輩であるという自分のポジションを最大限にはっきし、だだっ子のようにせがむ。
「プリンとか、甘いもので別にオレ、テンション上がらんしなぁー。もしも行列だったら耐えられないぞ」
タイヨウには日南のあざと攻撃の効果はイマイチのようだ…。
「いいじゃない。すこし並ぶくらい。日南さんもこんなに行きたがってるのだし」
やはり雨宮もそんなタイヨウに乗っかるように否定的な意見を…。
…え?なんだって?
思わず主人公が言いがちな『え?なんだって?』を発動してしまうオレ。
さっきまであきらかに乗り気じゃなかったはずの雨宮が、行列並びたくない派閥を脱退して、カフェ行きたい派閥、それも最前線に入っている。
なにがおこったのか…。
もしや日南のあざと攻撃は雨宮に効果はバツグンなのか?
「第一、プリンなんて至高の食べ物を食べるには行列の1時間や2時間ならんでも仕方のないことよ」
…どうやら、あめみやすずかちゃん16才(仮)。プリンがお好きなようだ。
雨宮は、日南のあざと攻撃では無く、プリン攻撃に効果はバツグンだったようで、手のひらを返すどころか、勢い余ってグルグル高速回転しているコマのごとく回り。
カフェに行くんだ、そしてプリンを食うんだ!という強い意志が感じられる。
そんな高速回転ポケ○ン、アメーミャをゲットした日南に倒せぬ敵はいない!
「そーですよ!さすが雨宮先輩!」
「なんだ雨宮、さっきまでと言ってること全然かわったじゃねーか!」
「人は常に変化していく生き物なの。知らないの?」
雨宮はさっきホラー映画の時に、タイヨウに煽られた分を返すように煽り返していく。
着々とHPが削られていくタイヨウ
そんなタイヨウに雨宮からとどめの一言。
「それに行列くらいでそんなに嫌がってたらモテないわよ?」
効果はバツグンだ。
無自覚系ハーレムラブコメの主人公。自分をどこにでもいる高校2年生と思っている、彼女なしのタイヨウにとってこの一言は効いたらしい。
タイヨウの目の前は真っ暗になった…。
もっとも主人公に近い男、オレ千尋司提案のお出かけ作戦。
その作戦が成立しかけた良い感じの時に、クール系ヒロインの雨宮鈴花《あめみやすずか》によって急ストップさせられていた。
ちなみにもっとも主人公に近い男とは。
【あともう少しで主人公になれる!】
という意味だけでなく。
【主人公の親友だから普通に物理的に距離感が近いよね】という意味でもある。
という意味しか無いのかもしれないのである…。
しかし、そんなことより今は雨宮鈴花の『行かないわ』発言である。
さっきまでの盛り上がりを一刀両断する、剣豪のような切れ味のある言いようであった。
アッパレ。
殿様ヅラして、ほめてる場合じゃあねーよな。
……いや、しかし大丈夫。
オレは依然として落ち着いていた。
なぜならば、知っているからだ。
こんな時の対処法を。
クール系ツンデレヒロインに対して効果的な方法を。
誰にでもわかるように整理しよう。
・皆で映画に行こうとしている。
・それは怖いと話題のホラー映画。
・クール系ツンデレヒロインの雨宮鈴花は行かないと言っている。
これだけの条件が揃えば、雨宮を映画に連れ出すのは楽の勝である。
ある言を言ってやれば良いだけ。
負けず嫌いの代表格、雨宮鈴花。
ここで1発、挑発をかませばホイホイと乗ることは、鉄板。
超王道展開。あるあるクイズなら1問目に出てもおかしくないイージー問題である。
やれやれ…。
イージーすぎてアクビが出るぜ。
ふあぁぁぁ。
とオレが余裕こいてウイニングアクビをかましている最中にタイヨウがニヤッとしながら口を開いた。
「とかいって、雨宮。お前オバケとかホラーとか苦手なんじゃないか?」
ふあぁ!??
お前が言うんかい!!
しまったー!
絶賛主人公中、夏目太陽がこんなベタベタな挑発をしないわけが無い…。
余裕をこいてアクビなんぞしている場合では無かったのだ。
タイヨウの挑発に予想通り、あっさりと乗ってしまう素直な、あめみやすずかちゃん16才。
(…いや、雨宮の誕生日知らねーな、もしかしたらもう17才かも)
「下衆の勘繰りね。だいたいオバケとかいう科学で証明されていないものをなぜ怖がらなくちゃならないの」
でたよ『科学』。
オバケの話になると、必ずと言っていいほどこの『科学』というワードが登場する。
もはや、オバケと科学はワンセットが定番だ。
そして科学うんぬんと言うヤツは、いざとなったらビビりまくる、というのがたいがいのパターンだ。
「なら、こわーいホラー映画見ても全然平気だな?」
タイヨウもそれを察しているのか、いたずらっ子のように雨宮に追撃する。
まぁ、もういいっすよ。
タイヨウ君この挑発は君に譲ってやるさ…。
「愚問ね。当たり前よ」
そう言って雨宮は、さっきオレの渡した、ミルクティーのペットボトルのフタをグイっと開けて、カッっと一気に傾けて飲みだした。
…いや、焦ってますやん。
あめみやちゃん。
喉かわいてもーとるやん。
もしかしてガチでホラー系が苦手なのか?
「じゃあじゃあ、雨宮先輩も一緒に映画を見に行くということでOKですね!」
「いや、まだ行くとは…」
まだグズっている雨宮の言葉が聞こえないのか、聞こえていてスルーしているのか、日南はさらに話を続ける。
「それで~、映画見たあと、あそこ行きたくないです?駅前の超人気のカフェ!」
駅前の超人気のカフェとは、オレたちの通うこの学校の最寄り駅。そのすぐ近くにあるカフェのことだ。
オレは詳しく知らないのだが、最近できたそのカフェは、なんでもめちゃくちゃ旨いスイーツがあるのだとかで学校内でも主に女子たちの間で話題になりはじめている、ここいらじゃ、ちょいと有名なカフェだ。
「あー、たしかにあそこ気になるよねぇ」
野々村もやはり女子として、そのカフェに興味があるようで、話にのってくる。
「でも混むんじゃないか?放課後いつもウチの学生とかで行列らしいじゃんか」
タイヨウはどうやら行列に並ぶのが嫌なようで、怪訝な表情だ。
かくいうオレもたしかに行列に並ぶにはあまり好きじゃない。
なんか女の子って行列好きだよね…。
もはや行列に並ぶのまで込みで1つのイベントとして楽しめちゃう的な感じなのかね?
「大丈夫ですよ。土曜日は逆に学校お休みなので学生はいつもより減るし。混みそうな時間から少しずらしていけば並ばないでも入れるハズです!」
なにか日南がそれっぽいことを言って、うまくフォローしている。
しかしそのフォローにタイヨウは納得いっていないらしい。
「マジで~?それでも学生以外が来そうじゃねえ?」
雨宮は、マジでホラー映画に行きたくないのか、タイヨウの言葉に乗っかるように否定的な意見をボソボソと言い出す。
「確かに私も列に並ぶのは苦手だし、映画も行くとは言ってないから今回は不参…」
「えー、行きましょーよー!あそこのプリンめっちゃ美味しいらしいですし~」
そんなタイヨウと雨宮に、後輩ヒロインの日南はその後輩であるという自分のポジションを最大限にはっきし、だだっ子のようにせがむ。
「プリンとか、甘いもので別にオレ、テンション上がらんしなぁー。もしも行列だったら耐えられないぞ」
タイヨウには日南のあざと攻撃の効果はイマイチのようだ…。
「いいじゃない。すこし並ぶくらい。日南さんもこんなに行きたがってるのだし」
やはり雨宮もそんなタイヨウに乗っかるように否定的な意見を…。
…え?なんだって?
思わず主人公が言いがちな『え?なんだって?』を発動してしまうオレ。
さっきまであきらかに乗り気じゃなかったはずの雨宮が、行列並びたくない派閥を脱退して、カフェ行きたい派閥、それも最前線に入っている。
なにがおこったのか…。
もしや日南のあざと攻撃は雨宮に効果はバツグンなのか?
「第一、プリンなんて至高の食べ物を食べるには行列の1時間や2時間ならんでも仕方のないことよ」
…どうやら、あめみやすずかちゃん16才(仮)。プリンがお好きなようだ。
雨宮は、日南のあざと攻撃では無く、プリン攻撃に効果はバツグンだったようで、手のひらを返すどころか、勢い余ってグルグル高速回転しているコマのごとく回り。
カフェに行くんだ、そしてプリンを食うんだ!という強い意志が感じられる。
そんな高速回転ポケ○ン、アメーミャをゲットした日南に倒せぬ敵はいない!
「そーですよ!さすが雨宮先輩!」
「なんだ雨宮、さっきまでと言ってること全然かわったじゃねーか!」
「人は常に変化していく生き物なの。知らないの?」
雨宮はさっきホラー映画の時に、タイヨウに煽られた分を返すように煽り返していく。
着々とHPが削られていくタイヨウ
そんなタイヨウに雨宮からとどめの一言。
「それに行列くらいでそんなに嫌がってたらモテないわよ?」
効果はバツグンだ。
無自覚系ハーレムラブコメの主人公。自分をどこにでもいる高校2年生と思っている、彼女なしのタイヨウにとってこの一言は効いたらしい。
タイヨウの目の前は真っ暗になった…。
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