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プロローグ
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私は父のことが大好きだった。小さく頃からずっと、頼もしくてまっすぐな人だと思ってた。そうほんの数分前は。
「……」
体が動かない。
そう。私は父親に胸を刺されて瀕死。即死だったらよかったのに……。
そもそも私が皇帝の伴侶として迎え入れられるのがおかしな話だったんだ。
数ヶ月前
「そろそろお前は皇帝陛下の伴侶として生きる。だから今からでも恥じない皇后陛下になれよ?」
「はい。お父様」
父はいつでも私に冷たい。氷のような存在だった。だからその人に期待されて嬉しかった。やっと振り向いてくれたんだ。
そう無邪気にはしゃいでいた。
「陛下の恥にならぬように私が頑張らなきゃ」
私の自慢は父と同じ髪色と瞳だ。
髪の毛は真っ白で先っぽだけ紫だ。紫は母の色。数年前に亡くなってしまった母の色だ。
でも大体は父と同じ髪色。瞳は透き通るような水色。
「早くあの日が来ないからなぁ?」
そうやってワクワクと共に不安もあった。私に何ができるのかなぁ?私は父親の期待に応えられるのかなぁ?そう思った。
「しっかりしなきゃ‼︎」
そして皇帝の伴侶として迎えられる日の当日の昼頃事件が起きた。
「だ、誰だ!」
「こっちに来るな!」
「うわあああ⁉︎」
「な、なんの音?」
ぐちゃりと嫌な音共に何がゴンって落ちる音。そして窓には赤く染まった何かがついている。
「こ、怖い」
どうしよう。今、お父様はいないのに……。
ガチャ
「お、お父様⁉︎」
私を助けに来てくれたの?嬉しい。
「お父様!私怖か......った」
ブスッ
「えっ......」
なんで私の胸に真剣が突き刺さっているの?これは夢か何か?
そう思うと同時に激しい痛みに襲われた。
「あ、アアアアアア⁉︎」
痛い。苦しい。お父様助けて。
私は必死に父の方へと手を伸ばす。
「愚かな娘だ。早く死んでしまえ」
そう冷たく笑う父を見てわかった。最初から最後まで、何もかも仕組まれたことなんだ。
「ゆ、ゆる……な、さい……から!」
「死に損ないの娘に何を言われようとも怖くはない」
「か、なら……ず!ふく、ふく……復讐してやるんだから!」
その言葉を最後に私は事切れた。
私は深い闇へと死の世界へと足を踏み入れたはずだった。
「クリスタ様。クリスタ様!起きてください。朝ですよ?」
「へっ?」
私にはもう朝なんて来るはずないのに?
「まったくもう!お寝坊さんなんですから」
「さ、サシル⁉︎」
「ん?」
「五年前に死んだはずじゃ……」
「クスクス。おかしなことを言いますね?五年前ならお嬢様は生まれて来てませんよ?」
「え、えっ?」
「まだ四歳ではありませんか?」
「ええええええええっ⁉︎」
私はどうやら二度目の人生を手に入れてようだ。違う世界に転生したかった。
「……」
体が動かない。
そう。私は父親に胸を刺されて瀕死。即死だったらよかったのに……。
そもそも私が皇帝の伴侶として迎え入れられるのがおかしな話だったんだ。
数ヶ月前
「そろそろお前は皇帝陛下の伴侶として生きる。だから今からでも恥じない皇后陛下になれよ?」
「はい。お父様」
父はいつでも私に冷たい。氷のような存在だった。だからその人に期待されて嬉しかった。やっと振り向いてくれたんだ。
そう無邪気にはしゃいでいた。
「陛下の恥にならぬように私が頑張らなきゃ」
私の自慢は父と同じ髪色と瞳だ。
髪の毛は真っ白で先っぽだけ紫だ。紫は母の色。数年前に亡くなってしまった母の色だ。
でも大体は父と同じ髪色。瞳は透き通るような水色。
「早くあの日が来ないからなぁ?」
そうやってワクワクと共に不安もあった。私に何ができるのかなぁ?私は父親の期待に応えられるのかなぁ?そう思った。
「しっかりしなきゃ‼︎」
そして皇帝の伴侶として迎えられる日の当日の昼頃事件が起きた。
「だ、誰だ!」
「こっちに来るな!」
「うわあああ⁉︎」
「な、なんの音?」
ぐちゃりと嫌な音共に何がゴンって落ちる音。そして窓には赤く染まった何かがついている。
「こ、怖い」
どうしよう。今、お父様はいないのに……。
ガチャ
「お、お父様⁉︎」
私を助けに来てくれたの?嬉しい。
「お父様!私怖か......った」
ブスッ
「えっ......」
なんで私の胸に真剣が突き刺さっているの?これは夢か何か?
そう思うと同時に激しい痛みに襲われた。
「あ、アアアアアア⁉︎」
痛い。苦しい。お父様助けて。
私は必死に父の方へと手を伸ばす。
「愚かな娘だ。早く死んでしまえ」
そう冷たく笑う父を見てわかった。最初から最後まで、何もかも仕組まれたことなんだ。
「ゆ、ゆる……な、さい……から!」
「死に損ないの娘に何を言われようとも怖くはない」
「か、なら……ず!ふく、ふく……復讐してやるんだから!」
その言葉を最後に私は事切れた。
私は深い闇へと死の世界へと足を踏み入れたはずだった。
「クリスタ様。クリスタ様!起きてください。朝ですよ?」
「へっ?」
私にはもう朝なんて来るはずないのに?
「まったくもう!お寝坊さんなんですから」
「さ、サシル⁉︎」
「ん?」
「五年前に死んだはずじゃ……」
「クスクス。おかしなことを言いますね?五年前ならお嬢様は生まれて来てませんよ?」
「え、えっ?」
「まだ四歳ではありませんか?」
「ええええええええっ⁉︎」
私はどうやら二度目の人生を手に入れてようだ。違う世界に転生したかった。
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