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私には前世の記憶がある。本当に昔のお話だ。
「聖女フリージア様万歳!!!!!!!」
とある神殿で、孤児として引き取られた私は神力を覚醒させた。
「フリージア様。あなた様はこれからこの民のためにこのお力をお使いするのです」
この神殿の中で最も偉い大神官様がそう言った。
この時の私は無邪気にも喜んでしまった。この先に待ち受ける地獄など知らずに、みんなのために私はこの力を使うんだ。
そう思っていた。あの時までは。
聖女になって数年後
「ぐっ!」
北にある呪われた土地ケルベロス
「せ、聖女様!これ以上はほんとに汚染されます」
ひとりの聖騎士がそう言った。
「みんなは戻っていなさい」
私はそう言った。この先はきっと、聖女である私ですら耐えられないかもしれない。そんな中で、聖騎士を無駄死にをさせるわけにはいかないのだ。
「フリージア様。そのご命令は聞けません」
ひとりの聖騎士はそう言い、私の目の前に立ち膝をつく。
「どうかこの私、マルダをお連れください」
マルダというのは私の幼馴染の同じ孤児だ。
私たちはいまの今までずっと一緒でこの先もそう思っていた。
だけど、この先に彼を行かせれば死は免れない。
「マルダ、顔を上げなさい」
私は少し低い声で言った。
マルダはそっと顔を上げ私をじっと見つめる。
「お願い。マルダは聖騎士の団長よ。今あなたを失えばこの国にとっても民にとっても大打撃を受けるわ」
私はマルダの説得を試みたが、彼の答えは変わらなかった。
「いいえ。フリージア様を失う方がこの国にとっても民にとっても大打撃であり代わりなどおりません。ですが、私の場合はたとえこの身が朽ちようとも聖騎士の団長は星の数ほどいるのです」
マルダは冷静な声で私を説得する。
「マルダ。一度でいいの。私のわがままを聞いて?あなたを死なせたくないの。たったひとりの大切な友達なのよ?」
そう言っても彼は揺らがない。
マルダは少し悲しそうな笑みを浮かべ、私をそっと抱きしめる。
「あなた様と共に死ねるのなら幸運です」
「……っ!!!!!!!」
そんな悲しい言葉を言わないでよ。幸運なんて言わないで。生きてほしい。あなたは私の希望だった。私たちは孤児だったから誰も人として見てくれなかった。でもマルダは私と同じ孤児だったから私を人として、ひとりの人間として見てくれた。それが何よりも嬉しかった。
私が色々な感情を整理していると、マルダはすっと離れ他の聖騎士たちに向かって「「私の他に聖女様と運命を共にする者はいるのか⁇」」そう叫んだ。
辺りがシーンと静まり返る。
それもそうだ。目の前に死が待っているのに希望を持って前に進むやつなどいない。そもそも生き残れるチャンスが目の前にあるのにそれをドブに捨てるのはマルダぐらいだ。
誰も声を上げないので、私たちは呪われてしまったケルベロスの地に足を向かった。
結局、マルダ以外は全員引き返し北の民の避難を急いだ。
まだ北の民の避難は完了していなかったのだ。それなのに、大神官様が強引に呪われた土地ケルベロスの浄化を決行したのだ。
「マルダ。あなたはまだ引き返せるわ。戻る気はあるの?」
私はマルダに同じ質問をもう五回ぐらい繰り返している。
何度同じ質問してもマルダの答えは決まっている。
「何度聞かれてもフリージア様のおそばを離れる気はありませんよ?」
「そう、なのね?」
もうこれ以上同じ質問しても意味がない。もうすぐで、ケルベロスに着くのだから。
「マルダ。あなたの覚悟はわかったわ。でもマルダは無理をしなくてもいい。どっちみち二人とも死ぬ運命なのだから」
私のその言葉に反応せずに奥へとズンズン進むマルダ。
そして、しばらく歩くと、魔物や魔物よりももっと凶暴な魔獣たちが私たちを襲う。
魔物がマルダの腕めがけて突進をしてきた。
マルダは怯みもせずに魔物の心臓を剣を突き立て心臓ごと剣を抜いた。
「グエエエエエエエエエエエエエ‼︎」
魔物の奇声がこの辺り一体に響き渡る。
「マルダ!この先に強い魔の力を持った魔獣?ううん、それ以上にやばいのがいるわ。気をつけて」
一瞬だったけど、今までに感じたことがないぐらいに強い魔の力を持った何かがいた。確かに魔獣のはずなのに違う。よくわからない存在がそばにいるのだ。
「一体どこに?」
さっきほどまでいたであろう場所に目をやっても何もいない。なんだろ?この不吉な予感は?
「ジア後ろだ⁉︎」
マルダがそう叫んだ瞬間、私の胸から腕が貫通する。
「ガハッ!」
何が起きたのかわからない。マルダが警告した直後に体に腕が貫通?意味がわからない。どうしてこうなったの⁇
「あ……マルダ、逃げっ……!」
私が最後まで言い終わらないうちに体が地面へと落ちる。最後に見たのはマルダが真っ二つにされる姿だった。
こうして私、フリージアの人生が終わりどのぐらいが経ったのかはわからないけど、気がついたら違う世界で、星野冬になっていた。
前世の記憶を取り戻したのは私が五歳の時だ。
私は星野冬として産まれてからひとつだけ人とは違う力を持っている。
聖女だった頃の影響か人の魂の色が見えるのだ。
例えば白は前世も人として生まれ変わった色である。
赤は魔族が生まれ変わった時の色。
黄色は動物が人として生まれ変わった時で、緑はその反対で人間が動物に生まれ変わった時の色。
人として生まれ落ちない魂の色は濁った灰色だ。
この力はなんの意味もない力だ。それで誰かを救えるわけでもないし神力を使えるわけでもない。ただ無意味の力だ。
なんの力もないまま数十年の時が立ち現在の私は高校一年生になった。
でも私にとって学校はただの逃げ場。
私は両親に愛されていない。ただ放置された存在。両親は弟に夢中で私には見向きもしてくれない。だから学校という存在は私の唯一の居場所。それ以外どこにもない。
昔の私と同じ。聖女だからもてはやされただけ。神力の力がなければ誰にも見向きもされないただの孤児。
それをわかっているから聖女になってもどこか心がぽっかりと穴が空いた感じだった。だからきっと、ケルベロスでの最後の戦いは何もせずに死んだのだろう。神が私を罰したのだろう。
私は今でもそう思う。
話は少し遡りフリージアが死んだ直後。
「おやおや?聖女を殺してしまいましたか?瀕死にはしてもいいが、生捕りにしろと命じたはず。全くもって役立たずですね?」
ひとりの魔族がフリージアの死体を確認し蹴り飛ばす。
「せっかくこのわたくしがいい実験材料になりそうな物を見つけたのに、残念ですね?」
そうブツブツと言いながら魔族の男はフリージアの死体の周りに魔法陣を描く。
「聖女には私の実験台になってもらいますよ?時間を巻き戻し無かったことにしましょう」
魔法陣を完成させると悪魔語で呪文を唱え最後に一言ポツリと言った。
「これから二つの世界を行き来するのは大変ですね?」
そうにったりと笑う魔族なのであった。
「聖女フリージア様万歳!!!!!!!」
とある神殿で、孤児として引き取られた私は神力を覚醒させた。
「フリージア様。あなた様はこれからこの民のためにこのお力をお使いするのです」
この神殿の中で最も偉い大神官様がそう言った。
この時の私は無邪気にも喜んでしまった。この先に待ち受ける地獄など知らずに、みんなのために私はこの力を使うんだ。
そう思っていた。あの時までは。
聖女になって数年後
「ぐっ!」
北にある呪われた土地ケルベロス
「せ、聖女様!これ以上はほんとに汚染されます」
ひとりの聖騎士がそう言った。
「みんなは戻っていなさい」
私はそう言った。この先はきっと、聖女である私ですら耐えられないかもしれない。そんな中で、聖騎士を無駄死にをさせるわけにはいかないのだ。
「フリージア様。そのご命令は聞けません」
ひとりの聖騎士はそう言い、私の目の前に立ち膝をつく。
「どうかこの私、マルダをお連れください」
マルダというのは私の幼馴染の同じ孤児だ。
私たちはいまの今までずっと一緒でこの先もそう思っていた。
だけど、この先に彼を行かせれば死は免れない。
「マルダ、顔を上げなさい」
私は少し低い声で言った。
マルダはそっと顔を上げ私をじっと見つめる。
「お願い。マルダは聖騎士の団長よ。今あなたを失えばこの国にとっても民にとっても大打撃を受けるわ」
私はマルダの説得を試みたが、彼の答えは変わらなかった。
「いいえ。フリージア様を失う方がこの国にとっても民にとっても大打撃であり代わりなどおりません。ですが、私の場合はたとえこの身が朽ちようとも聖騎士の団長は星の数ほどいるのです」
マルダは冷静な声で私を説得する。
「マルダ。一度でいいの。私のわがままを聞いて?あなたを死なせたくないの。たったひとりの大切な友達なのよ?」
そう言っても彼は揺らがない。
マルダは少し悲しそうな笑みを浮かべ、私をそっと抱きしめる。
「あなた様と共に死ねるのなら幸運です」
「……っ!!!!!!!」
そんな悲しい言葉を言わないでよ。幸運なんて言わないで。生きてほしい。あなたは私の希望だった。私たちは孤児だったから誰も人として見てくれなかった。でもマルダは私と同じ孤児だったから私を人として、ひとりの人間として見てくれた。それが何よりも嬉しかった。
私が色々な感情を整理していると、マルダはすっと離れ他の聖騎士たちに向かって「「私の他に聖女様と運命を共にする者はいるのか⁇」」そう叫んだ。
辺りがシーンと静まり返る。
それもそうだ。目の前に死が待っているのに希望を持って前に進むやつなどいない。そもそも生き残れるチャンスが目の前にあるのにそれをドブに捨てるのはマルダぐらいだ。
誰も声を上げないので、私たちは呪われてしまったケルベロスの地に足を向かった。
結局、マルダ以外は全員引き返し北の民の避難を急いだ。
まだ北の民の避難は完了していなかったのだ。それなのに、大神官様が強引に呪われた土地ケルベロスの浄化を決行したのだ。
「マルダ。あなたはまだ引き返せるわ。戻る気はあるの?」
私はマルダに同じ質問をもう五回ぐらい繰り返している。
何度同じ質問してもマルダの答えは決まっている。
「何度聞かれてもフリージア様のおそばを離れる気はありませんよ?」
「そう、なのね?」
もうこれ以上同じ質問しても意味がない。もうすぐで、ケルベロスに着くのだから。
「マルダ。あなたの覚悟はわかったわ。でもマルダは無理をしなくてもいい。どっちみち二人とも死ぬ運命なのだから」
私のその言葉に反応せずに奥へとズンズン進むマルダ。
そして、しばらく歩くと、魔物や魔物よりももっと凶暴な魔獣たちが私たちを襲う。
魔物がマルダの腕めがけて突進をしてきた。
マルダは怯みもせずに魔物の心臓を剣を突き立て心臓ごと剣を抜いた。
「グエエエエエエエエエエエエエ‼︎」
魔物の奇声がこの辺り一体に響き渡る。
「マルダ!この先に強い魔の力を持った魔獣?ううん、それ以上にやばいのがいるわ。気をつけて」
一瞬だったけど、今までに感じたことがないぐらいに強い魔の力を持った何かがいた。確かに魔獣のはずなのに違う。よくわからない存在がそばにいるのだ。
「一体どこに?」
さっきほどまでいたであろう場所に目をやっても何もいない。なんだろ?この不吉な予感は?
「ジア後ろだ⁉︎」
マルダがそう叫んだ瞬間、私の胸から腕が貫通する。
「ガハッ!」
何が起きたのかわからない。マルダが警告した直後に体に腕が貫通?意味がわからない。どうしてこうなったの⁇
「あ……マルダ、逃げっ……!」
私が最後まで言い終わらないうちに体が地面へと落ちる。最後に見たのはマルダが真っ二つにされる姿だった。
こうして私、フリージアの人生が終わりどのぐらいが経ったのかはわからないけど、気がついたら違う世界で、星野冬になっていた。
前世の記憶を取り戻したのは私が五歳の時だ。
私は星野冬として産まれてからひとつだけ人とは違う力を持っている。
聖女だった頃の影響か人の魂の色が見えるのだ。
例えば白は前世も人として生まれ変わった色である。
赤は魔族が生まれ変わった時の色。
黄色は動物が人として生まれ変わった時で、緑はその反対で人間が動物に生まれ変わった時の色。
人として生まれ落ちない魂の色は濁った灰色だ。
この力はなんの意味もない力だ。それで誰かを救えるわけでもないし神力を使えるわけでもない。ただ無意味の力だ。
なんの力もないまま数十年の時が立ち現在の私は高校一年生になった。
でも私にとって学校はただの逃げ場。
私は両親に愛されていない。ただ放置された存在。両親は弟に夢中で私には見向きもしてくれない。だから学校という存在は私の唯一の居場所。それ以外どこにもない。
昔の私と同じ。聖女だからもてはやされただけ。神力の力がなければ誰にも見向きもされないただの孤児。
それをわかっているから聖女になってもどこか心がぽっかりと穴が空いた感じだった。だからきっと、ケルベロスでの最後の戦いは何もせずに死んだのだろう。神が私を罰したのだろう。
私は今でもそう思う。
話は少し遡りフリージアが死んだ直後。
「おやおや?聖女を殺してしまいましたか?瀕死にはしてもいいが、生捕りにしろと命じたはず。全くもって役立たずですね?」
ひとりの魔族がフリージアの死体を確認し蹴り飛ばす。
「せっかくこのわたくしがいい実験材料になりそうな物を見つけたのに、残念ですね?」
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