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あなたを好きなることなんてない

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 みなさんこんにちは。クロロです。ギリアムと出会って数年が経過した今、私は社交界デビューをすることになりました。

 「クロロ!」

 「公子様?」

 ギリアムが私を見つけて、私の手を握り強引に会場の中まで入っていった。

 本当は後少ししたらお父様と一緒に会場入りをするはずだったのにギリアムが強行手段に出た。

 「クロロ!俺と一緒に会場に入れて光栄だろ?」

 ギリアムが鼻高々にそう言った。

 「は、はあ?」

 正直に言って迷惑だわ!

 私が社交界デビューする数週間前もそうだった。

 バーン

 「きゃっ!」

 ギリアムが勝手に私の部屋に入り一日中部屋に籠城されたこともある。

 「こ、公子様⁉︎いきなりどうしたのですか?」

 私がそう問いかけると、ギリアムが勉強が嫌だからと言う理由で私の部屋に籠城された挙句に私を縛り監禁状態が夜まで続いた。

 結局は夜に公爵様が帰って来て、ギリアムをきつく叱りその場で連れ帰ってくれたからよかったもののあのままだったら私がどうやっていたかわからない。

 いくら元悪役令嬢だからってこんなことは許されない。

 そのまた数日後には私が大事に育ていたチューリップを全部踏みつけにしだめにするしこないだなんて着替え途中で中に入ってくる始末。

 野蛮人にも程があるでしょうがよ!!!!!!!

 そして現在

 「クロロ。俺と踊れ」

 「あっはい……」

 何その俺様がわざわざ誘ってやったから感謝しろって言う顔?

 踊ること数十分後

 「私は少し疲れたのでテラスで休みますね?」

 ニコニコとそう言って、ギリアムのそばを離れた。ぶっちゃっけ一刻も早く離れたかった!

 西側のテラス

 「えーと。カーテンを閉めておけば誰も入ってこないよね?」

 「あれ?先着がしたのですか?」

 いつのまにか私の背後に立っていた私と同い年ぐらいの男の子が私をじっと見つめていた。

 見た目の特徴は髪の毛が漆黒で瞳はキラキラと輝く黄金。

 「ご、ごめんなさい。人がいるとは知らずに……違うところに行きますね?」

 私は謝罪をしてその場を立ち去ろうとしたら男の子が私の手をぎゅっと握りしめてここにいていいと言ってくれた。

 「ちょうど暇だったので僕とお話ししませんか?」

 優しくにっこりと微笑むその顔はとても綺麗だった。

 「は、はい」

 私は名の知らない男の子に一目惚れをしてしまった。

 ギリアムは好きになれない。むしろ嫌いだ。

 でもこの男の子のそばにいるとなぜか安心する。

 男の子と楽しくおしゃべりを楽しんで今日は帰った。帰る途中で、ギリアムが私に告白をしてきた。

 「クロロ。俺は君が好きだ。だから俺の物になれ」

 「ごめんなさい」

 「えっ……」

 これが一度目の告白だ。まさか五百回以上告白され続けることはまだ知らない。

 「お兄様!どこにいらしゃったんですか?」

 「あーごめんね?レイシア」

 「もう!お兄様がどこかに行って私が大変だったんだから!!!!!!!」

 「ごめんごめん」

 「お兄様⁇何かいいことありましたか?」

 「えっ?どうして⁇」

 「なんだか嬉しそうだったので……」

 「そうだね?」

 あの子の名前聞くの忘れてしまった。薄い桃色の髪に透き通るように綺麗な水色の瞳。

 「どうやら僕は好きな人ができたみたいだ」

 彼女にもう一度会いたい。
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