女魔導師はギルドに入ります

仲間

　私がこのギルドに……フェザー来てから数日が経過しました。

　フェザーというのはギルドの名前だ。

　「よおっ！もう体調はいいのか?」

　そうパーシェルが話しかけてくる。

　「……うん」

　正直に言うと、まだ傷がめちゃくちゃ痛いがみんなを心配させたくないので平気なふりをすることにした。

　「そっか！よかったなぁ」

　本当に嬉しいのだろう。パーシェルは笑顔で私の手を取りボードの前に私を連れて行った。

　「これ何?」

　私がそう尋ねると、パーシェルはギルドの依頼書で自分たちの仕事だと教えてくれた。

　「つまりこの依頼書⁇をやることでギルドランクが上がるの?」

　私がそう問いかけると、パーシェルは頷いた。

　「話が早くて助かるぜ」

　そう言い、何か言いかけた時、後ろから声がした。

　「おい。パーシェル。お前まさかだと思うが、黒の魔人の依頼を受けようとしてんのか?」

　私とパーシェルが振り返ると少し年上の黒髪にピンク色の目をした男が立っていた。

　「げっ！ガーディ」

　ゲッとはなんだも言いたそうな顔でさっきの質問を繰り返す。

　「黒の魔人の依頼を受けるつもりならやめとけよ。お前のギルドランクじゃ到底勝ち目ないぞ?」

　「んだと⁉︎」

　その言葉に頭にきたのか、ガーディに食ってかかる。

　まだ何か言いたそうだったが、ガーディの背後から女の人の声が聞こえてきた。

　「貴様らはまた喧嘩しているのか?」

　「ね、姐さん⁉︎」

　誰だろ?青色の髪で金色の瞳の人だ。年は私よりも五つ年上に見える。

　「さっきから大声で喧嘩をしおって……それに黒の魔人を倒す?あれはCランク以上の者が受ける依頼だ。私ならともかく貴様らは……」

　最後まで言わずに二人をキッと睨みつける。なんか怖そうな人だ。

　「ん?パーシェルの隣にいるやつは誰だ⁇」

　「わっ⁉︎ほんとだ。パーシェルに気を取られて気づかなかったぞ」

　二人が私の方を見て興味津々と言ったかのように私を見つめてくる。

　「私はルーシェル」

　「ルーシェルか。いい名前だな。して、私はサンデアだ。よろしくな」

　「ああ、こいつと違って素直そうだ」

　二人は私が自己紹介すると歓迎してくれた。

　「どうせ俺は素直じゃねぇよーだ」

　そう頬をむくってさせながらいじけるパーシェル

　「パーシェル。お前にはこのゴブリン退治をやってもらう」

　そうサンデアが言う。不満そうではあるが素直にそれを受け取り依頼の申請をしに行く。

　「ルーシェルはパーシェルとパーティーを組むのか?」

　「？？？？？？？」

　私が意味がよくわからないと顔をしていたら二人はため息をつきこう言った。

　「まさか、パーシェルから何も言われないのか?」

　私はコクリと頷くと、ガーディがパーシェルをとっ捕まえて首元を締める。

　「おいテメェ‼︎なんの説明なしでなに新人を巻き込んでいんだよ！！！！！！！」

　「いでででで⁉︎んだよ！ルーシェルは俺が見つけた時点で、俺のパーティーに入るだろ?」

　そう答えると、サンデアがマスターみたいにパーシェルの頭を叩き叱った。

　「そんなわけないだろ！大体彼女の意見は尊重したのか?彼女から賛成してもらっているのか?えっ！」

　あまりの痛さにパーシェルが悲鳴を上げる。

　「いてーよ⁉︎俺が何も言わずともこいつくっついて来るぞ！そんな気がする」

　「馬鹿だ！」

　二人同時にそう叫び、ガーディがひとつ提案をした。

　「こいつと組むのは癪だが、俺とパーシェル、サンデア、ルーシェルでパーティーを組むのはどうだ?」

　ガーディの提案にパーシェルは不満たらたらだったが、サンデアが了承したので何も言えなくなっていた。

　「いいだろう。何知らない、ルーシェルを無責任のパーシェルに任せてはおけない。私たちでサポートをしよう」

　そう言い、依頼をするべく、私たちはとある野原に向かった。

　「いいか、オスのゴブリンはとにかく女性が大好きだ。だから私とルーシェルはなるべく一緒だ。お前たちは後方で援護しろ。いいか、今回はルーシェルに戦い方を覚えさせる。お前たちが全部倒してしまってはなんの勉強にならない」

　そう言ったサンデアの言葉に明らかに不機嫌になるパーシェルだったが、サンデアが怖いのか何も言わずに従った。

　「ゴブリン」

　ゴブリンについてはよく知っているつもりだ。彼らは異常なほど、女性に執着しすぐに繁殖する。そして、人や街などを襲い食べ物などを奪って行く。基本、群れで行動するのが特徴的だ。

　「ウゴゴゴオオオオオ！！！！！！！」

　「来たなぁ」

　「……」

　いざ！初仕事で初対戦だ‼︎