ある日突然、ドラゴンの一児の母になりました

上野佐栁

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プロローグ

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 「母上!大好きです」

 「うふふ。私も大好きよ」

 なにこの可愛い生き物は!!!!!!!

 「クリスティーナ愛している」

 「は、はい!」
  
 何この可愛い夫は⁉︎本当にここって死と血に染まったと言われる呪われた地なの⁉︎

 数年前

 「ふふーん!今日は給料日だから大好きな漫画たくさん買うぞー!」

 その日私はいつも通りの生活を送り帰宅する途中に何かが落ちてきた感覚があった。

 何かっていうのは私にもわからない。感覚だけがあり気がついたら見知らぬ家の天井を見つめていた。

 「えっ……」

 何か独特な匂いがする。

 鼻の奥ツーンと刺すような匂いと混じる甘い匂い。なんの匂いなの?

 それに体が動かない。なんで?

 「また俺から逃げようとしたのか?」

 暗くてよく見えないけど、声からして男の人だ。

 「お前は俺のものだ。もう誰のところにも行かせない」

 苦しそうにそう呟く男の人は私の目をそっと塞ぎ耳元で囁いた。

 「たとえ俺が嫌いでもあの子は化け物ではない。俺ほどの力は持ち合わせていないのだから」

 なんのことなのかわからなかった。まるで、自分を責めているような口調。それにあの子って誰?これは夢なの?

 「クリスティーナ。お前はもうここからは逃げられない。そうなる運命なのだから」

 その言葉を最後に私はまた眠りについた。

 そしてどのぐらいが経ったのだろうか⁇私の隣に赤い髪の男の人が私を抱きしめた状態で寝ているのだが?

 「え、えっ?これは……美味しい展開では?」

 少女漫画でありそうな展開だ。だが、私は童貞だ!!!!!!!

 彼氏などできたこともなければ好きになった人すらいない。つまり私は生涯を独身貴族として生き抜く覚悟だったんだよ。なのにこの美味しい展開はなんなのよ?

 「ウゥーん?クリスティーナ⁇」

 「んんんん⁇」

 クリスティーナって誰よ。私の名前は杉原愛菜なんですけど⁉︎

 「お前は一等美しい」

 「!!!!!!!っー!?。。。!!?!」

 彼女の声にならない叫びです。

 「ん?どうした?」
 
 寝ぼけ混じりにそう言われて、私は顔で目を覆い被せてこう言った。

 「ははははっ!早く服着てください!!!!!!!」
  
 私が慌ててそう言うと、きょとんとした顔でなんでって顔で私を見つめてこう言った。

 「なんでって?俺たち夫婦だろ?」

 私はその言葉を聞いた瞬間その場に固まって言葉も失った。

 「……っ?????」

 「四年前に結婚して毎日一緒の寝床にいるのに今さらどうした?」

 「え、ええええええー⁉︎」
  
 私は驚きすぎて理解が追いつかなった。

 そして後から知ったのだが、私には五歳になる息子もいたのだ。もう何がなんだがわからないんだけど!!!!!!!
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