テンペスト

上野佐栁

文字の大きさ
上 下
21 / 29

夢対上級クラスのテンペスト

しおりを挟む
 「ぎゃあはははは‼︎どうした?逃げているだけじゃこの俺には勝てないぞ?」

 「ぐっ!」

 数分前

 「私たち人間も生きるために他の生き物を犠牲にしているかもしれない。だけど、無差別に人を殺すには違います」

 「そうか。なら死ね」

 そして現在

 「……」

 このテンペストは確かに力は強いけど、動きが遅い。他のテンペストに比べれば速いけどなんか遅く感じる。

 「「頑張って。このテンペストの弱点は右足の脛だよ」」

 「……っ!!!!!!!」

 またこの声。テンペストに勝たせるためにわざわざ弱点を教えてくれた?そんなことあるの?

 「よくわかりませんがあなたに感謝しますよ」

 夢はそうポツリと言ってさらにスピードを上げだ。

 弱点は多分核のこと。他に弱点になるものがあったとしてもそう簡単には見つからない。この声が嘘を言っているように見えないしどこかに導こうとしているのだけはわかる。

 「賭ける価値ありますね」

 「こいつ速い」

 くそ!こんなにスピードを出されちゃ捕まえられない。あのお方からテンペスト学園のひとりだけを捕まえろと今命令がきた。ならこのガキを捕らえればいいって思ったのに速すぎる。本当に人間か?

 「……」

 テンペストにも効く毒で弱らせて銃で撃ち抜く。

 夢が林の影に隠れる直前に猛毒をテンペストの頭上にかけた。

 「な、なんだ?このにおい。いや毒か⁉︎」

 おかしい。こんな毒、テンペストには効かないはずなのに体が痺れて動けない。

 「グギギギ!!!!!!!」

 体中が痛い。苦しい。なんなんだこの毒は⁉︎

 「く、クソガキが!!!!!!!」

 負けるわけにはいかない。こんな小娘相手に負けたら死んでも死にきれない。

 「奥義:陽華突!!!!!!!」

 「ゔああああああ!!!!!!!」

 なにが起きたの?いきなりテンペストが上に飛んだと思ったら視界が横になっていた。あんなに強い力どこに隠し持っていたの?

 「ど、毒で体が思うように動かないはずなのに……」

 悔しい。足をやられたせいで動けない。

 「「テンペストストーンを使って」」

 声がまたアドバイスをしてくれた。

 そうだ。一応念のためだと思って、風華さんたちが戦って勝ったテンペストストーンがある。本来なら風華さんが持つべきなんだけど、今の彼女に持たせたらテンペスト化が早まる恐れがある。

 「これで終わりだ。小娘」

 そう言って足で夢の腹部を踏みつける。

 グキッ

 「あ"あ"あ"あ"あ'あ"あ"!!!!!!!!??!???!!!!!!!!」

 激しい痛みと意識が遠のくのがわかった。限界まで追い詰められるほどテンペストストーンを使う時に強い力を発する。

 「はあああああああああ!!!!!!!」

 夢が大きな声を出しその場で立ち上がった。

 「おいおいおい。まじかよ。立ち上がるのかよ?この怪我で?まじ?」

 テンペストは驚き少し引いたが負けるわけにはいかないと思った。

 夢はテンペストストーンを手のひらに乗せて目を閉じどう使いたいかをイメージした。

 「戦闘中に目を瞑るとは余裕だな」

 テンペストは勢いよく夢に迫る。

 夢はそっと目を開けてこう唱えた。 

 「テンペストストーン:アクア」

 するとテンペストの周りに水が溢れ出し閉じ込める。

 「な、なっ⁉︎人間がテンペストストーンを使っただと?」

 テンペストはありえないと言った顔で夢を見るのであった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...