テンペスト

上野佐栁

文字の大きさ

大中小

14 / 29

死者

しおりを挟む

　前回のあらすじ。私は全身につららが刺さり動けなくなり大ピンチです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　説明以上

　「日に日に説明が雑になる」
　　
　「グルル！」
　　
　全身につららが刺さって動けない。

　「あ……」

　だめだ。もう意識が保てない。こんなところで気を失っている場合じゃないのに……。

　「「あとは私に任せて」」
　　
　またこの声?いったい誰なの⁇なんで私に話しかけてくるの?どうして、私を……ううん。私たちを助けてくれるの?

　例の声を聞いた後、私の意識は途絶えた。

　「ぐっ！」

　砂蔓は攻撃範囲に圏外に風華によって飛ばされたが、もう動けない。

　「おーおー！死に損ないがまだ息をしているのか?」

　「くそ！」

　まずい。この状態で攻撃を受けたら確実に死ぬ。

　「頭握りつぶしてやる」

　雹害はそう言って、砂蔓の頭を握り潰そうとしたが手が届く前に腕が切断された。

　ザクッ

　「は……⁇」

　何が起きたんだ?

　「腕が切断されている?」

　雹害は本当にわからないと言った顔で切断された腕をじっと見つめた。

　「「悪いけど、この人間を殺されるわけにはいかないの」」

　そう風華⁇が言った。

　「は?お前、怪我治ってないのになんで動ける?」
　　
　雹害はもう何が何だかわからずに思考停止した。

　「「なんで動ける、か。面白いことを言うね?それにもう決着はついているから」」
　　
　風華⁇がそう言い、刀を振り上げた。

　「この刀って！俺様が遠くに飛ばしたやつ！」

　そう。風華は両足を切断された時に刀も一緒に飛ばれていたのだ。

　「「クスクス。ごめんね?私強いから」」

　風華⁇がそう言い、目にも止まらぬ速さで、雹害が首筋の左部分をざっくりと切り核を破壊した。

　「グアアアア！！！！！！！ばかな！こんな小娘にやられるなんて……」

　体が壊れ始めている。崩壊が止まらない。

　「「ひとついいことを教えてあげる」」

　風華⁇が雹害の耳に舌打ちをしこう言った。

　「「私は雨晴風華ではない」」

　その言葉を聞いて、雹害は誰のかほんの少しわかった。なぜならこの気配は……。

　「か、カトリーヌ様⁉︎」

　その名前を聞いて呆れたように笑う風華⁇

　「「そうだね。私もカトリーヌだね。でも善な部分だから。お前たちに雨晴風華は渡さない。呪いにも負けない。だから早く死になさい」」

　そう言って、雹害を踏みつけにした。

　「雹害。君はもういらないから」

　その言葉を最後に雹害は絶命した。

　「「……」」

　風華⁇はその場を少し離れぴたりと動かなくなった。

　「「風華頑張って。これが私にできる最初で最後の助けだよ。必ずテンペストの始祖を倒してね」」

　風華⁇はそう言ってその場に倒れた。

　「ゲホゲホ！！！！！！！」

　血が出過ぎて目の前が暗くなる。意識を失う前に雨晴にお面をつける。

　お面も戦っている最中に落とした。

　「ゲホゲホ！雨晴は、ゴホゴホ。すご、い、やつ、だ！」

　ズルッズルズル

　「ぼ、僕はなにも、でき、なく、て。でも、あめ、は、れがた、たお、して、くれた」

　上級クラスを倒せただけでも多くの人を救えたんだ。

　スッ

　「ゴボッ！あり、が、どう。雨晴風華」

　風華にお面をつけて、砂蔓はその場に寝転ぶように倒れた。

　そして静かに目を瞑り息を引き取った。

　砂蔓誠死亡

しおりを挟む