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神の儀式

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 「ルーク。俺と一緒にこの村を出よう」
 フルフル
 「なんでだよ‼︎」
 「明日はあの日だよ」
 「......もうあの日なのか⁇」
 「そうだよ」
 もう変えられない。きっと私はこれで死ぬ。
 「だからもう終わらせる」
 私はそう言って、そっと手を出し残ったレイセリファ達を元の姿に戻した。
 「もうこの子達の役目も終わり」
 レイセリファ達はきっと封印されるだろう。この子達は強すぎる力を持っているからだ。
 「ルークまだ間に合う。だから......」
 「私は何処にも行かない。これは罰だから」
 「罰って......」  
 「ノルありがとう。こんな私と一緒に居てくれて嬉しかった。私を大切にしてくれて愛してくれて......愛させてくれてありがとう」
 「そんな悲しいこと言うな。お前は生き残る。絶対だ」
 「......」
 ノル。君と過ごした時間は忘れない。あの子も言っていた。目の前に私を大切にしてくれる人は居る。確かにそうだ。周りが見えてないのは私の方だった。気付かせてくれてありがとう。
 次の日
 「神のくせに何故人間を守らなかったの⁇」
 「お前のせいで私は夫と子を失った!」
 「死んで詫びろ!」
 「神の使いだがなんだから知らないけど......皆んなの命を奪って楽しいか!」
 ガッ
 「お前なんて生きている価値なんてない‼︎」
 「俺がお前を殺す!」
 「死んじゃえ!」
 「真の神様に選ばれるな‼︎」
 「......」
 村の人達が恨むのは当然だよ。私はあまりにも多くの人の命を奪った。だけど、人間を信じられなくしたのは他ならぬこの村の人達なんだから。
 ダダダダッ
 「ルーク様‼︎」
 「はっ!?」
 まだレイセリファが残っていた⁇あの子は私が一番最初に創ったオレンジのレイセリファ。
 「いや!行かないで!私の主人様としていつまでも側に居てください‼︎」
 「こいつは死んで当然の奴なんだよ」
 「......ふざけるな。ふざけるな‼︎誰のおかげで、村の平和が守られた⁇誰のおかげでこの村は大きくなった⁇誰のせいで大勢の人の命を奪う事態になった⁇全部......全部あんた達のせいじゃない!ルーク様は悪くない」
 「......オレンジのレイセリファ」
 バーン
 「ルーク‼︎俺と一緒に行こう」
 「......ノル」
 グサッ
 「え......」
 「申し訳ございません。ルーク様」
 ドサッ
 今何が起きたの?目が霞んで見づらいけど、あれはモールド家の当主様⁇ああ。私死ぬんだ。ノルと生涯を添い遂げたかったなぁ。
 ズズズルズル
 「やめろおおおお!」
 「ルーク.ハート様に煌めく星々の祈りを捧げます」
 「......」
 ドボッ
 冷たい。ううん。熱い。感覚がめちゃくちゃだ。だんだんと体温がなくなっていく気がする。もう私は死ぬんだ。もう一度ノルに抱きしめられたかった。
 「ルーク‼︎」
 ドボーン
 ギュッ
 ルーク。絶対、お前を死なせない。助けてやるからな!
 ばじゃっ
 「ゲボゲボ」
 「ルーク‼︎ルーク‼︎」
 「......」
 「くそ!」
 回復魔法で!
 「......」
 「まだ行くな!ルークは俺と一緒に......」
 しかし何時間経ってもルークの傷が癒えることも息を吹き返すこともしなかった。もう完全に手遅れだ。
 「......なんでだよ。なんでだよルーク‼︎うわあああん!」
 コツコツ
 「......ルーク様⁇ルーク様は死んじゃったの?」
 「オレンジのレイセリファ⁇」
 「私ももうこの姿を保ってられない。ルーク様は本当に死んじゃった⁇」
 「ああ......そうだ。俺がもっと強ければルークは......」
 「......うぅぅゔ!うわあああああ‼︎嫌だ!ルーク様‼︎私を置いて逝かないで!側に居てよ」    
 そう言ってオレンジのレイセリファは元の姿に戻った。
 「何も出来なくてごめん」
 「......そんなことないよ」
 「る、ルーク!?」
 「今は霊体の状態。これがいつまで続くかわからないけど......復讐だけはしないって此処で誓って」
 「なんでいきなり⁇」
 「今誓わないのなら私は君の目の前から消えるから」
 「誓う!誓うから居なくなるな‼︎」
 「......」
 「ルーク。俺と一緒に海に行こう」
 「うん。いいよ」
 きっとここの状態も長くは続かない。これは私が残した最後の未練。君と一緒に少しでいいから過ごしたい。そう思ったから霊体になったんだと思う。
 そう思わずには居られなかった。
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