上 下
57 / 145

三人の時間

しおりを挟む
 ベールが仲間になり街に戻った私達。
 「疲れた」  
 「ベールのせいで疲れた」
 「ノワール、アリアス。心配かけてごめんね。でもね、武器を下ろしてね」
 「......」
 目の前で武器を振り回されたらこっちが困るとは言えない。
 「いや」
 「......え」
 「そうだな。まだ魔物がいるかもしれないからな」
 「此処街だよ?」
 「だから?」
 ひぃぃぃ!剣が!剣が目に当たるスレスレだ!怖い‼︎
 「ノワール。剣が近いよ。ラティスに当たったらどうするつもり⁇」
 「そうゆーお前は俺よりかは近いじゃねぇかよ」
 「え?」
 お、おでこに当たってるよ!少し切れているよ。助けて!
 「ん?ぎゃああ!?ラティスごめんね?全然気付かなかった」
 「う、うん。わかったから剣を下ろして。怖いからね?」
 「わかったよ」
 少ししゅんってなったアリアス。
 やばい。命が幾つあっても足りない気がする。早く終わってほしい。お願いします!
 「アリアスは駄目な奴だな」
 火に油を注ぐな!
 「は?ノワールだけには言われたくない!」
 「は?どう言う意味だよ?」
 「だってそうでしょ⁇ラティスのこと放置して神の仕事?ばかりにかまけている奴にラティスを任せられない」
 待って!なんの話なのこれ?誰か説明して!?てか助けて‼︎
 「いきなりなんの話だよ?お、俺がそのラティスが好きとかありえない......んだよ」
 「クスクス。ノワール。顔真っ赤だよ?」
 「う、うるせ‼︎」
 「でもよかったね。当の本人は気付いてないよ」
 「え?」
 「ん?ごめんね。声が小さくてよく聞き取れなかったよ」
 「そ、そうか。なら良かった」
 「わ、私先に宿に行ってるね」
 「あ、ああ」
 「......」
 え?嘘でしょ!?ノワールが私を好き!?いやいや。流石にありえないよね?
 当の本人はばっちりと聞こえてます。
 やばい。心臓がバクバク言ってる。私はノワールのことが好きなの⁇ううん。好きになってはいけない。私にはその資格がない。誰かを信用することを諦めた私にはそんな資格ない。
 夜
 「......」
 「ね、ねぇ?アリアス⁇私に何か用事⁇」
 なんでずっと私を見てるの⁇なんか怖いよ!ひぃぃぃ‼︎
 「うん。ちょっとね。後でお風呂で話し合う」
 「え?」
 「させるか!」
 「ノワール⁇ラティスの裸を見たいって言うの⁇変態‼︎」
 「ち、違っ!?そんなわけないだろうがよ!誰が好き好んで、ラティスの裸を見るんだよ!興味もねぇよ!」
 しーん
 「そ、そうだよね?私に魅力なんてないよね?」
 「......あ。いや。その違くて......えっと......」
 「ということで、ラティスは借りるよ」
 「あ、あああああ‼︎」
 浴槽
 「あの話聞いてたんだね?」
 ギクッ
 「な、なんのことかなぁ?」
 「ラティスは嘘が下手だね。見てればわかるよ。最初は気付いてないって思ってたけど......ラティスはどうなの⁇」
 「へ?なにが⁇」
 「ノワールの事好きなの⁇」
 「はあ!?」
 なんで今その質問をするの⁇意味わからないよ!
 「べ、別に嫌いじゃないよ。私が転生してからずっと一緒に居てくれるから......」
 「やっぱりノワールを消そうかなぁ?」
 「あ、アリアス⁇なに物騒なこと考えてるの⁇やめようね?」
 「嘘だよ。嘘......一割はね」
 「冗談成分少ないな!」
 「そろそろ上ろうか。ラティスの好きなようにすればいいよ。決めつけないでね」
 「......うん」
 そのあとノワールと合流して三人の時間を楽しんだ。
 「ラティス。その話があるんだ」
 「ん?ノワール⁇どうしたの⁇話ってなに?」
 「こ、此処じゃなんだし......その......二人っきりになりたいんだ」
 「別にいいけど⁇」
 ノワールどうしたんだろう⁇顔が赤いような気がする?風邪?
 前言撤回!ラティスはやっぱり鈍い!
 そう思うアリアスなのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する

山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。 やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。 人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。 当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。 脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす

こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

処理中です...