上 下
49 / 145

青のレイセリファ

しおりを挟む
 前世の本当の父に会いに行くと決めて早く二週間。極寒の地と言われる。冷山に来た私達。ファルミの話だとこの山に魔女の一族が住んでいるらしい。
 「さささ、寒い!?」
 「当たり前じゃろ?カセリよ。お主、寒さに弱いのか?」
 「俺は赤のレイセリファだぞ!こんな極寒の地に連れて来やがって!」
 「ちょっ!?カセリ?」
 「レイセリファに戻りおったな。うむ。たしかにラティスのポケットの中は暖かいだろう」
 「ファルミ?怒ってる?」
 「大丈夫じゃ。この地に雪崩が起きるかもしれんほどには怒っておるけどな」
 「へ、へぇー」
 めちゃくちゃ怒ってる!?
 山頂。
 「本当に村があった」
 「うむ。思ったよりも数が多いのう」
 「てか、ウリスはどうした?」
 「うわっ!?びっくりした‼︎」
 「いきなり大きな声出すなよな」
 「ウリスならとうの昔に神の元へと帰ったぞ」
 「帰った!?」
 「知らなかったんだ......」
 ぶつぶつ
 「彼奴は......」
 「ん?どうしたんだ?」
 「何でもないぞ」
 「そうか」
 「わしがここの村長じゃ。よろしく」
 「よぼよぼの爺さんじゃん」
 ゴンッ
 「ぐぅむ!?」
 「......」
 「主人様、何すんだよ!」
 「何すんだよじゃないわよ!いきなりの失礼発言はやめてよね?」
 「仲がよろしくてなりよりじゃ」
 「仲良くない‼︎」
 「息ぴったりじゃのう。我とは息を合わせてくれぬのか?」
 「オメェはややこしくなる事を言うんじゃねぇよー‼︎」
 「黙れ。我のおかげで命が繋がったと思え」
 「ぐぬぬ‼︎」
 マジでムカつく!
 バーン
 「これ!お前はノックぐらい出来んのか?」
 ぶつぶつ
 「あの......」
 「なんだ?」
 めっちゃ睨んでる!
 「何か悩みでもあるんですか?」
 「俺は......俺は悪くない‼︎あいつが悪いんだ!」
 ビクッ
 「な、何あれ?」
 「どうも精神がおかしくなってしまったのじゃ。娘と妻を亡くし......と言っても娘の方は安否がわかっておらん上に死んだと思う他なかったのじゃ」
 「......そうですか」
 娘と妻?まるで、私の前世の父みたい。
 「......」
 次の日の朝
 「ニールス‼︎」
 「......」
 「あの人誰と話しているの?」
 「貴方......娘は諦めましょう」
 「そんな!?俺達の娘だ!」
 「そうね」
 「なによあれ?」  
 「ああ......人ではない」
 「あれが人間に見ておるのは流石にやばいのう」
 「ニールス。俺の大切な妻」
 「......ニールス?」
 「うふふ。ありがとう。ニーアスもきっと見つかるわ」
 「ニーアス!?」
 私は驚いて、素っ頓狂な声が出てしまった。
 「何だ今の言い方?」
 「......やめて。突っ込まないで。恥ずかしい」
 「大丈夫じゃ。時が経てばいずれ忘れる」
 「......あああ‼︎」
 恥ずかしい過ぎて死にそう。私の黒歴史になると思う。もうやだあー‼︎
 「君達は昨日の......」
 ボソ
 「いきなり話しかけてくるのかよ?」
 「し、知らないわよ!私に言われても......」
 「お主は、ニーアスと言う娘が大事なのか?」
 「ふ、ファルミ!?」
 「ああ。俺の愛娘だ」
 「......」
 「その者がもうこの世のものではなかったとしてもか⁇」
 「何を言っている?ニーアスは生きている。俺達を離れ離れにした義兄を許さん」
 「この者はもう駄目かもしれん。悲しみのあまり、何もかも見ないようにしておる」
 「貴方達、此処は遊び場じゃないのよ。今すぐに村長の所へと帰りなさい」
 「怖いのか?」
 「え?」
 「我がお主の正体に気付いておらんと思ったのか?おめでたい頭じゃな?」
 「......」
 「おい。こいつは......」
 「無論じゃ。青のレイセリファじゃ」
 「ええええええ!?」
 ここに来て、青のレイセリファ!?確か青のレイセリファは幻だったはず⁇だからあの人は青のレイセリファを自分の妻だと認識しているのね?そう気付いた時にはもう前世の父は狂っていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」 「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」 子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

処理中です...