愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁

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あの頃の思い出

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 あれから数日が経ち。私は泊まっている宿の自分の部屋に居る。本当のことを知って、ショックが大き過ぎて、あの日以降部屋から出られていない。出るのが怖い。あの時の思い出が嘘みたいに蘇ってくる。私が知っている限りの記憶が蘇る。私が五歳の時に皇后殿下に引き取られた。理由はわからない。いや正確には前世ではわからなかった。今はわかる。でも離れ離れで暮らす前に母ずっと謝っていた。
 「ニーアス。ごめ......んね?本当に......ごめん......なさい」
 「ん?」
 あの時の私は幼すぎてわからなかったけど、あれはきっと母なりの罪悪感と寂しさそして、自分を許せないと言う感情が混ざり合った結果だと思う。
 「ニーアス。私の可愛い娘」
 「ママ。お腹すいた」
 「はいはい」
 「ニーアスは食力旺盛だな」
 「そうね。ニーアスは元気で優しい子に育つわ」
 「......ご飯食べたい」
 「あわわわ‼︎な、泣かないで。今持ってくるから」
 「うん」
 「可愛いな」
 「ほんとにね」
 そう。愛されていなかったと思っていたのは私の勘違い。本当の両親はずっと愛してくれていた。可愛がってくれた。そんな幸せのある日
 「え?私の娘を養子に迎えたい?」
 「えぇ。私には子供が出来ないみたいなの。そうゆー体質なのよ。このままでは陛下と別れてしまうわ。だから貴方の娘を私にちょうだい」 
 ちょうだい⁇一時的に住むのではなくて?一生姉の元で暮らすの?もう娘と会えないの?
 「早く返事をちょうだい。私はそんなに暇人ではないの?わかるでしょ?ニールス」
 「......」
 私はどうしたいの?私は......。
 「......ニーアスと離れたくない」
 「......は?」
 「ニーアスとずっと一緒に暮らしたい!」
 「何よそれ。この私に逆らうの?私は皇后なのよ?なのにその態度気に入らないわ」
 ビクッ
 「あ......」
 姉さんは本気だ。本気で怒っている。これ以上逆らったら私達は......。
 「......ママ?」
 「この子が貴方の娘?」
 「そ、そうよ」
 「可愛らしいわね?この珍しい紫色の髪はいいわね?気に入ったわ」
 「おばちゃん誰?」
 イラッ
 「おばちゃんじゃなくて、お姉さんでしょ?」
 「おばちゃん」
 イライライライラ
 「この小娘が‼︎」
 「姉さんやめて‼︎」
 ドン
 「......え?」
 ゴンッ
 「マ......マ?」
 「......」
 目の前で倒れてしまった母は頭を強く撃ち。帰らぬ人となった。  
 「......ママ⁇ママ‼︎起きてよ!ねぇ?ママってば!?」
 「ニーアス。ママは少しの間お眠の時間なんだ。だからそっとしてあげて」
 そう悲しそうに笑う父の顔は忘れられない。
 母の最後の言葉をあの時の私は理解出来なかった。
 「ニーアス。ごめ......んね?本当に......ごめん......なさい」
 今ならわかる。守れなくて、一緒に居られなくてごめんって言っていたのだ。その事を今理解してももう遅い。
 「気付かなくて......ごめんなさい」
 コンコン
 「ラティスよ。お主の元父である。ゴンドル.ハーンテリングに会わせてやろう。その者ならまだ生きておるぞ」
 「え?」
 「お主のやりたいように決めるのじゃ」
 父が生きている?会いたい。今のお父様も大好きだ。でも本当の父に別れてしまった父に会って話したい事がたくさんある。会いに行こう。そう思った。
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