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迫りゆく影

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 こんにちは。ラティスです。旅に出て数日。私達は今、遥か遠い東に来ています。
 「東って、文化的なんだね」
 「そうだね。道具に頼らずに自分達の手でやる所を見ると街の文化を感じるね」
 「そうか?俺様はそう感じないぜ」
 「......」
 「んだよね。その目は?」
 「......カセリって空気読めないんだね?」
 「は?」
 「赤のレイセリファは気象荒いって有名だったんだよ」
 「そうなんだ」
 「二人してなんだよ!」
 「......」
 「黙るな!」
 「......空気読もうね」
 「だからなんの話だ!」
 「ラティス。次行くよ」
 「......うん」
 「あっ!待てよ!」
 数時間後
 「もう暗くなっちゃった」
 「僕、宿とか探してくるね」
 「私も行く」
 「ラティスは休んでて」
 「わかった」
 「なぁ、主人様はなんで、レイセリファを集める事にしたんだ?」
 「世界が壊れるって言われたらやるでしょ⁇普通」
 「俺様はやりたくねぇけどな」
 「そう」
 「主人様って人間不信?」
 「違うけど......」
 「だってよー俺様達以外とはあまり喋んないじゃん」
 「知らない人にいきなり声をかけないよ」 
 「喋りかけられてもほぼ無口だよなぁ?」
 「......」
 「主人様......怒ってる?」
 「怒ってない」
 「ふーん」
 人間不信か......少し違うけど、ある意味では合っているかもしれない。一度死んでいるからどうしても簡単に人を信用出来ない。アリアスと陛下には許すって言ったけど、心のどこかではまだ、怒っているのかもしれない。人ってそう簡単には変われない。でも変えようとする努力は認めているから私も変わりたい。そう思った。
 しばらくして、ウリスが帰って来た。
 「......お待たせ。なかなか宿が見つからなくてごめんね」
 「ううん。大丈夫だよ。ウリスありがとうね」
 私が立ち上がり、ウリスの所に行こうとした時
 「主人様待て‼︎」
 「......え?」
 「テメェ誰だ!」
 「は?ウリスでしょ?」
 「神の使いの証がねぇ!」
 「え?」
 「僕はウリスさ。さぁ、ラティス。そんな奴は無視して、宿に行こう」
 「......」
 私はある考えを思いついた。本当にウリスならこの問題には答えられるはず。
 「ウリス、私が神様になんて言われているかわかる?」
 「もちろんさ」
 「言ってみて」
 さぁ、どう出る?ウリスの答えはもうわかっている。本物のウリスならね。
 「......ラティス」
 「貴方......誰?」
 「......え」
 「ウリスは私をラティスと呼ぶ。でも神様は愛された子って言う。だから貴方はウリスじゃない‼︎」
 「クスクス。なーんだ。もうバレちゃった?つまんない。クスクス」
 ウリスじゃない?じゃあウリスは何処に?
 ウリスはと言うと、宿探しに奮闘しています。
 「じゃあこの姿の方がいいね?」
 「......っ!?」
 「主人様!?大丈夫か?」
 「う、うん」
 私は目の前の姿を見て、その場に座り込んでしまった。何故なら目の前に居る敵は前世の私の......ニーアスの姿だった。目の前に昔の自分が居る。まるで、あの時に戻ろうと誘っているようだった。
 「......君はもう覚えてないのかなぁ?」
 「え?」 
 「......ニア」
 「......」
 ある記憶だけが蘇って来た。ずっと昔の記憶。
 「私とニアで遊ぼうね」
 私は彼女を知っている。ずっと昔に前世で遊んだ記憶がある。でも声しか思い出せない。それに記憶が曖昧になっているせいで、あの時の思い出はほぼ思い出せない。
 「あの時の約束を守ってもらうから」
 「お前......オレンジのレイセリファか?」
 「あははは‼︎正解。赤のレイセリファ」
 大きな闇がとても怖い影が迫ってくるような気がした。とても大事な事が抜け落ちている。何も思い出せないなんて......私は馬鹿だ。
 
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