愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁

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兄との時間

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 「レイセリファ‼︎」
 「甘い」
 ドーン
 「はぁはぁ......ゔっ‼︎」
 「ラティス‼︎大丈夫かい?今日はもう休むんだ」
 「......まだ足りない」
 「休むんだ‼︎もう八時間はずっと修行をしている。だから今日は休みなさい」
 「わかった」
 次の日の朝
 「へっ?休み?」
 「ああ。たまには休む事も大事だ」
 「で、でもそれじゃ......」
 「休みなさい」
 「わ、わかった」 
 「とりあえず市場に来たけど......何しよう」
 「......ラティス⁇」
 ギクッ
 「え、えーと......人違いですぅ‼︎」
 「待て待て待て待て待て待て待て!?」
 やばいやばいやばいやばいやばいやばい‼︎私を知って居る人に出会うなんて‼︎
 ギュッ
 「ラティスなんだろう‼︎」
 あれ?この声って......。
 「セスお兄様......」
 「何処に行っていたんだ?凄く心配したじゃないか‼︎」
 「ご、ごめんなさい」
 「今すぐに家に帰ろ!」
 「それは無理」
 「なんで?」
 「今はまだ帰れない」
 「お父様なら気にするな」
 「そうじゃないの。今は魔法の特訓をしているの」
 「え?魔法の特訓?ラティスはもうコントロール出来ているはずだよ⁇」
 「そうじゃない。もっと巨大な力を使いこなすように頑張っているの」
 「......そうか。ラティスがそう言うなら仕方ない。でも今日だけは一緒に居てくれるか?」
 「お父様は居ないんだよね?」
 「もちろんだよ」
 「じゃあ少しだけ」
 「ラティス‼︎」
 ギュウウウウ
 「あばばば!」
 凄い力。押し潰させる。
 「こうして二人でゆったりと過ごすのはいつぶりだろう⁇」
 「さぁ?二年ぶりぐらいかなぁ?」
 「そうかもね」
 「セスお兄様。お父様はどうしているの?」
 「今は......お酒に溺れているよ」
 「はあっ!?お、お酒!?お父様が!?」
 「うん」
 「何があったんだろ⁇」
 気付いていない!?嘘だろ⁇自分の妹は鋭そうで鈍感だ。いや恋愛に疎いのか。
 「ん?セスお兄様⁇」
 「な、なんでもないよ」
 「そう?」
 「ラティス......レイセリファって何?」
 「えっ?」
 「前に教えてくれるって言っただろう⁇」
 言ったけど、今聞くことか?いや今しかないよね?ちゃんと言わないと、セスお兄様を危険な目に遭わせてしまう。
 「......レイセリファは神様が作った最強のセリファ」
 「神様が作った?」
 「うん......神はレイセリファの正しい使い方を教えたのにも関わらず......間違ったやり方で使う人が多かった。それで......レイセリファを使えるのは私と、アリアス皇女様だけなの」
 前に神様に聞いた。アリアスも神に愛された子だと言っていた。いつからかは知らないけど、花が下を向いているのは嫌われた子だと言われるようになった。どっちも愛されているのに......誤解したまま恨み続けている。そう言っていた。
 「君達はどういう関係なの?」
 本当の事を言っても信じてくれるだろうか?セスお兄様は優しい。きっと信じられなくても信じてくれる。そう思う。
 「実はね私......ニーアスだったの」
 「......は?元皇女様のニーアス.サン.アイ.サーンドル⁇」
 「......うん。陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられて死んだの」
 「......」
 「死んで終わったと思ってた。でも私は転生して、ラティスになったの。セスお兄様やお父様、ノワール、ウリスに出会えた。だからもう寂しくはないよ」
 さぁ。どう出る?私は本当の事しか言っていない。セスお兄様はその話を聞いてもわからないだろうか?
 ポン
 「ラティスがそう言うなら信じるよ。ちょっと混乱しているけど......僕の妹は嘘をつかない」
 「......セスお兄様」
 信じてくれた。少し肩の荷が軽くなった気がする。
 「僕は絶対にラティスを裏切らない」
 「うっうぅ。うえーん!セスお兄様‼︎」
 みっともなく泣いてしまう私をそっと抱きしめてくれるお兄様。それだけで心が温かくなる。
 「ニーアス。そろそろ決着を付けてあげる。セリファを一万も取り込んだ私に勝てるかしら⁇そしてもう......神に嫌われた子なんて言わせない」
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