28 / 145
神の間
しおりを挟む
今晩は。ラティスです。私は今、神の間に居ます。なぜかと言うと、お父様の中にあったレイセリファを取り除いた後、神様が......。
「俺にはもう娘など居ない」
「神に愛された子よ。父親と別れる覚悟があるのなら神の間に来い」
「......っ‼︎」
「ラティス。気にしなくていい」
「......そうですか。では、さようならお父様」
「は?」
「よく来た。愛された子よ。別れると言っても一年程度だから安心しなさい」
「......はい」
「レイセリファの本来の使い方を教えてやる」
「本来の使い方ですか?」
「無論。我らが作ったレイセリファを誤ったやり方で使う輩が絶えないのだ」
「......」
「レイセリファは取り込むのではなく、その場に浮かせて使うのもだ」
「は、はい?う、浮かせるのですか?」
「ああ。近くにあるだけで力は強く激しくなる。愛された子よ。此処で修行するといい」
「修行ですか?」
「ああ。此処はいくら壊しても元に戻る。だから好きなだけ暴れなさい」
「そんなセリフ初めて言われました」
「くっくっくっ」
「ラティス」
「ウリス!?」
「神の使いウリス。お前が教えてやれ」
「わかりました」
こうして、私は神の元で修行をする事になりしばらくが経過した。
「お父様。元気にやっているかなぁ?」
「会いたい?」
「会いたいけど、お父様は私を娘だとは思ってないよ」
「じゃあ見に行くといいよ」
「......えっ?」
いつの間にか空を落ちている真っ最中だった。
「ウリスの馬鹿!」
私じゃなかったら本当に死んでたよ。
「庭はそのままか......」
家を一通り見て周った。シーンと静まり返り物を動かす音すら聞こえない。
「本当に誰か居るの?」
ガタン
「音がした!?何処から?」
ラティスの部屋
「私の部屋にお父様が!?なんで?」
「......くそ!」
お父様は何かに苦しんでいるようだった。
「......お父様」
まるで大きな何かを失ったようにお父様はひとしきり暴れた後に部屋を去った。
「もうめちゃくちゃ」
「ラティス。そろそろ戻っておいで」
「わかった」
まだ心配事はあったけど、今は、アリアスに勝つ為に修行を重ねなければいけない。
お父様の部屋
「いつまで居るつもりだ?」
「...... 公爵様」
「不愉快だ!消えろ!」
「ラティスを本気で嫌わないでください。ラティスは今でも貴方を思っています」
「だからなんだ!」
「今日は、ラティスが公爵様の様子を見に来られて居たのはご存じですか?」
「は?見に来た?」
「はい。貴方を心配して来たのです」
「俺は最低だ。娘を捨てた父親に会いに来るのはよっぽどのお人好しだ」
「私はそうだとは思いません」
「アニーと瓜二つで腹が立つ」
「私にですか?」
「ああ。お前はいつも誰かのために飛び出す。ラティスもそうだ。誰かが危ない目に遭えば飛び出す。何処まで似ているんだ?」
「そうおっしゃってくれて嬉しいです」
「俺は嬉しくない。ラティスが怪我をすると、アニーと重ねている分、凄く心配する」
「......」
「日に日に綺麗になっていく、ラティスを見ているとお前を思い出す」
「...... 公爵様」
「あの時お前に言われた事をあの子も言った」
「......えっ?」
「俺の事が嫌いだと言っていたのに......後から好きだと言うのは反則だろ?」
「......」
「今のお父様は大っ嫌いだけど......それ以上に大好きなの!」
「あの言葉が耳から離れん。もう嫌だ。だから突き離した。なのに......今度は何処かへ消えるなんて、胸が裂けるぐらい苦しい。俺は......父親失格だ」
あの時のラティス顔が思い出せない。いや思い出したくないのか?
「公爵様がどんなに酷い言葉をかけてもあの子は......ラティスは謝れば許してくれる子です」
「そんな確証が何処にある?」
「私は母親です。だからわかるんです」
「戯言だな」
「公爵様。また会いに来ます」
「待て‼︎俺の目の前から消えるな!俺の側に居てくれ!」
「......ごめんなさい」
「アニー‼︎」
今日も過ぎていく。ラティスを想うたびにアニーが浮かんでくる。いつからラティスをアニーとして見ていたのだろうか?いや逆なのではないのか?アニーとして見ていたのに......ラティスとして見るようになったのではないのか?もうわからない。面倒くさい。そう思ってしまう。公爵はもう二度と会えない娘を想うたびに後悔する。もう会ってはくれない。だから諦める。そうするしか選択肢はなかったからだ。
「ラティス.ハンル.モールド」
「俺にはもう娘など居ない」
「神に愛された子よ。父親と別れる覚悟があるのなら神の間に来い」
「......っ‼︎」
「ラティス。気にしなくていい」
「......そうですか。では、さようならお父様」
「は?」
「よく来た。愛された子よ。別れると言っても一年程度だから安心しなさい」
「......はい」
「レイセリファの本来の使い方を教えてやる」
「本来の使い方ですか?」
「無論。我らが作ったレイセリファを誤ったやり方で使う輩が絶えないのだ」
「......」
「レイセリファは取り込むのではなく、その場に浮かせて使うのもだ」
「は、はい?う、浮かせるのですか?」
「ああ。近くにあるだけで力は強く激しくなる。愛された子よ。此処で修行するといい」
「修行ですか?」
「ああ。此処はいくら壊しても元に戻る。だから好きなだけ暴れなさい」
「そんなセリフ初めて言われました」
「くっくっくっ」
「ラティス」
「ウリス!?」
「神の使いウリス。お前が教えてやれ」
「わかりました」
こうして、私は神の元で修行をする事になりしばらくが経過した。
「お父様。元気にやっているかなぁ?」
「会いたい?」
「会いたいけど、お父様は私を娘だとは思ってないよ」
「じゃあ見に行くといいよ」
「......えっ?」
いつの間にか空を落ちている真っ最中だった。
「ウリスの馬鹿!」
私じゃなかったら本当に死んでたよ。
「庭はそのままか......」
家を一通り見て周った。シーンと静まり返り物を動かす音すら聞こえない。
「本当に誰か居るの?」
ガタン
「音がした!?何処から?」
ラティスの部屋
「私の部屋にお父様が!?なんで?」
「......くそ!」
お父様は何かに苦しんでいるようだった。
「......お父様」
まるで大きな何かを失ったようにお父様はひとしきり暴れた後に部屋を去った。
「もうめちゃくちゃ」
「ラティス。そろそろ戻っておいで」
「わかった」
まだ心配事はあったけど、今は、アリアスに勝つ為に修行を重ねなければいけない。
お父様の部屋
「いつまで居るつもりだ?」
「...... 公爵様」
「不愉快だ!消えろ!」
「ラティスを本気で嫌わないでください。ラティスは今でも貴方を思っています」
「だからなんだ!」
「今日は、ラティスが公爵様の様子を見に来られて居たのはご存じですか?」
「は?見に来た?」
「はい。貴方を心配して来たのです」
「俺は最低だ。娘を捨てた父親に会いに来るのはよっぽどのお人好しだ」
「私はそうだとは思いません」
「アニーと瓜二つで腹が立つ」
「私にですか?」
「ああ。お前はいつも誰かのために飛び出す。ラティスもそうだ。誰かが危ない目に遭えば飛び出す。何処まで似ているんだ?」
「そうおっしゃってくれて嬉しいです」
「俺は嬉しくない。ラティスが怪我をすると、アニーと重ねている分、凄く心配する」
「......」
「日に日に綺麗になっていく、ラティスを見ているとお前を思い出す」
「...... 公爵様」
「あの時お前に言われた事をあの子も言った」
「......えっ?」
「俺の事が嫌いだと言っていたのに......後から好きだと言うのは反則だろ?」
「......」
「今のお父様は大っ嫌いだけど......それ以上に大好きなの!」
「あの言葉が耳から離れん。もう嫌だ。だから突き離した。なのに......今度は何処かへ消えるなんて、胸が裂けるぐらい苦しい。俺は......父親失格だ」
あの時のラティス顔が思い出せない。いや思い出したくないのか?
「公爵様がどんなに酷い言葉をかけてもあの子は......ラティスは謝れば許してくれる子です」
「そんな確証が何処にある?」
「私は母親です。だからわかるんです」
「戯言だな」
「公爵様。また会いに来ます」
「待て‼︎俺の目の前から消えるな!俺の側に居てくれ!」
「......ごめんなさい」
「アニー‼︎」
今日も過ぎていく。ラティスを想うたびにアニーが浮かんでくる。いつからラティスをアニーとして見ていたのだろうか?いや逆なのではないのか?アニーとして見ていたのに......ラティスとして見るようになったのではないのか?もうわからない。面倒くさい。そう思ってしまう。公爵はもう二度と会えない娘を想うたびに後悔する。もう会ってはくれない。だから諦める。そうするしか選択肢はなかったからだ。
「ラティス.ハンル.モールド」
0
お気に入りに追加
642
あなたにおすすめの小説
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
前世で医学生だった私が、転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります
mica
ファンタジー
ローヌ王国で、シャーロットは、幼馴染のアーサーと婚約間近で幸せな日々を送っていた。婚約式を行うために王都に向かう途中で、土砂崩れにあって、頭を強くぶつけてしまう。その時に、なんと、自分が転生しており、前世では、日本で医学生をしていたことを思い出す。そして、土砂崩れは、実は、事故ではなく、一家を皆殺しにしようとした叔父が仕組んだことであった。
殺されそうになるシャーロットは弟と河に飛び込む…
前世では、私は島の出身で泳ぎだって得意だった。絶対に生きて弟を守る!
弟ともに平民に身をやつし過ごすシャーロットは、前世の知識を使って周囲
から信頼を得ていく。一方、アーサーは、亡くなったシャーロットが忘れられないまま騎士として過ごして行く。
そんな二人が、ある日出会い….
小説家になろう様にも投稿しております。アルファポリス様先行です。
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
次は幸せな結婚が出来るかな?
キルア犬
ファンタジー
バレンド王国の第2王女に転生していた相川絵美は5歳の時に毒を盛られ、死にかけたことで前世を思い出した。
だが、、今度は良い男をついでに魔法の世界だから魔法もと考えたのだが、、、解放の日に鑑定した結果は使い勝手が良くない威力だった。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる