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神の間

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 今晩は。ラティスです。私は今、神の間に居ます。なぜかと言うと、お父様の中にあったレイセリファを取り除いた後、神様が......。
 「俺にはもう娘など居ない」
 「神に愛された子よ。父親と別れる覚悟があるのなら神の間に来い」
 「......っ‼︎」
 「ラティス。気にしなくていい」
 「......そうですか。では、さようならお父様」
 「は?」
 「よく来た。愛された子よ。別れると言っても一年程度だから安心しなさい」
 「......はい」
 「レイセリファの本来の使い方を教えてやる」
 「本来の使い方ですか?」
 「無論。我らが作ったレイセリファを誤ったやり方で使う輩が絶えないのだ」
 「......」
 「レイセリファは取り込むのではなく、その場に浮かせて使うのもだ」
 「は、はい?う、浮かせるのですか?」
 「ああ。近くにあるだけで力は強く激しくなる。愛された子よ。此処で修行するといい」
 「修行ですか?」
 「ああ。此処はいくら壊しても元に戻る。だから好きなだけ暴れなさい」
 「そんなセリフ初めて言われました」
 「くっくっくっ」
 「ラティス」
 「ウリス!?」
 「神の使いウリス。お前が教えてやれ」
 「わかりました」
 こうして、私は神の元で修行をする事になりしばらくが経過した。
 「お父様。元気にやっているかなぁ?」
 「会いたい?」  
 「会いたいけど、お父様は私を娘だとは思ってないよ」
 「じゃあ見に行くといいよ」
 「......えっ?」
 いつの間にか空を落ちている真っ最中だった。
 「ウリスの馬鹿!」
 私じゃなかったら本当に死んでたよ。
 「庭はそのままか......」
 家を一通り見て周った。シーンと静まり返り物を動かす音すら聞こえない。
 「本当に誰か居るの?」
 ガタン
 「音がした!?何処から?」
 ラティスの部屋
 「私の部屋にお父様が!?なんで?」
 「......くそ!」
 お父様は何かに苦しんでいるようだった。
 「......お父様」
 まるで大きな何かを失ったようにお父様はひとしきり暴れた後に部屋を去った。
 「もうめちゃくちゃ」
 「ラティス。そろそろ戻っておいで」
 「わかった」
 まだ心配事はあったけど、今は、アリアスに勝つ為に修行を重ねなければいけない。
 お父様の部屋
 「いつまで居るつもりだ?」
 「...... 公爵様」
 「不愉快だ!消えろ!」
 「ラティスを本気で嫌わないでください。ラティスは今でも貴方を思っています」
 「だからなんだ!」
 「今日は、ラティスが公爵様の様子を見に来られて居たのはご存じですか?」
 「は?見に来た?」
 「はい。貴方を心配して来たのです」
 「俺は最低だ。娘を捨てた父親に会いに来るのはよっぽどのお人好しだ」
 「私はそうだとは思いません」
 「アニーと瓜二つで腹が立つ」
 「私にですか?」
 「ああ。お前はいつも誰かのために飛び出す。ラティスもそうだ。誰かが危ない目に遭えば飛び出す。何処まで似ているんだ?」
 「そうおっしゃってくれて嬉しいです」
 「俺は嬉しくない。ラティスが怪我をすると、アニーと重ねている分、凄く心配する」
 「......」
 「日に日に綺麗になっていく、ラティスを見ているとお前を思い出す」
 「...... 公爵様」
 「あの時お前に言われた事をあの子も言った」
 「......えっ?」
 「俺の事が嫌いだと言っていたのに......後から好きだと言うのは反則だろ?」
 「......」
 「今のお父様は大っ嫌いだけど......それ以上に大好きなの!」
 「あの言葉が耳から離れん。もう嫌だ。だから突き離した。なのに......今度は何処かへ消えるなんて、胸が裂けるぐらい苦しい。俺は......父親失格だ」
 あの時のラティス顔が思い出せない。いや思い出したくないのか?
 「公爵様がどんなに酷い言葉をかけてもあの子は......ラティスは謝れば許してくれる子です」
 「そんな確証が何処にある?」
 「私は母親です。だからわかるんです」
 「戯言だな」
 「公爵様。また会いに来ます」
 「待て‼︎俺の目の前から消えるな!俺の側に居てくれ!」
 「......ごめんなさい」  
 「アニー‼︎」
 今日も過ぎていく。ラティスを想うたびにアニーが浮かんでくる。いつからラティスをアニーとして見ていたのだろうか?いや逆なのではないのか?アニーとして見ていたのに......ラティスとして見るようになったのではないのか?もうわからない。面倒くさい。そう思ってしまう。公爵はもう二度と会えない娘を想うたびに後悔する。もう会ってはくれない。だから諦める。そうするしか選択肢はなかったからだ。
 「ラティス.ハンル.モールド」
 
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