愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁

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届けたい思い

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 うちの庭は前に私がめちゃくちゃにしてしまったので、酷い有様だ。でもそれ以上にお父様の目が冷たい。まるであの頃に戻ったみたいだ。
 「此処に立ち入っていいのは、モールド家の人間だけだ」
 「お父様⁇」
 「死にたいのか?」
 「わ、私達の顔がわからないの!?」
 「ん?ああ、セスか。だが、そこの小娘は知らんな」
 冷たくて、肺が凍ってしまうのではないのかと思うほどに冷たい声だ。目の前に陛下が居るみたいだ。そして、ニーアスだった頃に味わった苦しみを思い出す。
 「俺の子は、セスだけだ。お前など、ただの小娘に過ぎん」
 やばい。立っていられない。私はその場に座り込んでしまった。
 「俺の娘と名乗るなんて、命が欲しくないのか?」
 「お、お父様‼︎ラティスは僕達の家族です‼︎ラティスはお父様の娘ですよ!」
 「セス.ハンル.モールド黙れ。殺すぞ」
 「......」
 「言われてみれば、髪とその瞳の色だけは、モールド家のものだ。でもそれを除けば、お前は赤の他人だ」
 「其方を愛する事など永遠に訪れない」
 「......」
 「余は其方を娘だとは思った事など一度もない」
 声が出ない。もう私はお父様の娘じゃないの?また、あの時のような日々を送るの?
 「俺の娘を語った罪此処で償え」
 「ラティス!?危ねぇ!?」
 ドーン
 「氷?お父様の魔法は瞬間移動と氷......凄く厄介だ」
 「ラティス‼︎しっかりしろとは言わない。だが、お前の父親はレイセリファさえ無くなれば元に戻る」
 「......」
 「諦めるのか?俺が諦めなければ、お前は諦めないんだろ?だったら最後まで足掻け!」
 「......ノワール」
 「ラティスを無理をさせるわけにはいかない。ノワール‼︎僕達の魔法で、お父様を止めるぞ‼︎」
 「了解だ」
 私はこのまま、此処で座り込んでいいの?違うよね?私は大切な時に何も出来なくて、臆病で、情け無いけど、お父様を助けたいって思うなら動かなきゃ‼︎
 「小癪な小娘め」
 ゴン
 「あうっ!?」
 ボキッ
 ほ、骨が折れた!?足の骨が折れたせいで立っていられない。
 「うっ‼︎」
 「これで終わりだ」
 「......らい」
 「は?」
 「お父様なんて......大っ嫌い‼︎」
 「......」
 「大切にしているとか愛しているとか他にもいろいろ言っておきながら......レイセリファに取り込まれた私が言うのは変だけど......レイセリファ如きに自分の娘すら忘れる親なんて居ないわ!」
 「俺もお前が嫌いだ。いきなりそんな事を言う奴など......娘ではなっ......」
 泣きそうだ。でも今言わないと後悔する。
 「お父様は私を殺せない。それに今のお父様は大っ嫌いだけど......それ以上に大好きなの!」
 「な、なんだ?涙......何故だ?」
 「いつものお父様は凄く強くてかっこいい人......なのに今は全然かっこよくないしみっともなくて......凄く凄く弱い。いつものお父様に戻って‼︎お父様ならそんな、レイセリファを追い出せるはず......信頼しているから‼︎」
 「うるさーい‼︎戯言を吐かすな!」
 「ラティス!?逃げろ!?」
 ドーン
 「......」
 セリファ⁇なんでこんな所に?レイセリファではない。確かに緑色のレイセリファはあるけど......色が少し違う。
 「......ラティス」
 「えっ?」
 ハニーブロンドの髪。瞳は泣きたくなるほどの優しい緑色。会った事ないはずなのに......何処か懐かしい。もしかして......。
 「お母......様なの?」
 
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