愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁

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ノワールの秘密その1

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 ラクスと別れてから数日が経ちました。私達は今、南に向かって進んでいます。
 「今は冬か......寒い」
 「俺は平気だぜ」
 「もしかして、魔法使ってる?」
 「ああ」
 「ずるい!」
 「お前にもやってるよ」
 「ありがとう」
 数分後
 「ねぇ?あそこの町......煙がて出ない?」
 「え?ああ、出てるな?」
 「黒い煙って事は火事!?」
 「空を飛べば一発だな」
 「うん!」
 空を飛び、上から町を見下ろした。町は悲惨な事になっていた。家は崩れ落ち。死体があっちこっちに転がっている。
 「な、何よこれ?」
 「グアアアア‼︎」
 「何今の声?」
 「あっちからだ‼︎」
 私達は声がした方へ行くと、あれはこの世の者だとは思えないほどの怪物だった。顔は猪に似ている。体は熊?みたいな感じだ。二足歩行で歩き建物というものをぶち壊している。
 「......」
 「人間じゃないよね?」
 「いや......元々は人間だったはずだ」
 「嘘でしょ⁇あんな奴が人間だったの⁇ありえないよ」
 「グガザイン‼︎」
 何かに気付いたのか、不意にこっちを見た。
 「アアア‼︎ノワール‼︎」
 「え?今、ノワールって言った?」
 「ラティス‼︎」
 「きゃっ‼︎」
 ドン
 「よそ見すんな!」
 「あんなに力強いの?嘘だよね?」
 「あれは......レイセリファだ」
 「え?もしかしてそれのせいでこんな事になっているの?」
 「だと思うぜ」
 「グギイイイイイイ‼︎」
 「あいつはもう死んでいる」
 「......えっ?」
 「死ぬ前にレイセリファを見つけやがったなぁ?」
 「ノワール⁇知っている人なの?」
 「ああ。昔馴染みだなぁ」
 その時のノワールの笑みは何処か怖く寂しそうだった。
 「ラティス‼︎お前は岩で奴の心臓を貫け‼︎」
 「む、無理だよ‼︎」
 「奴は死んでいる。だから思いっきりやれ」
 「......ノワール後で文句なしだからね‼︎」
 「わかってるぜ」
 私は岩を出して、ノワールの知り合い?の心臓をぶち抜いた。
 ブスッ
 「グナアザアアアア‼︎」
 「え?」
 ドーン
 「ラティス!?」
 「あがっ!?」
 な、なんて力......一撃でもう動くのもきつい。それに心臓を貫いたのに......まだ動いている。
 「やめろおおおおおおおお‼︎」
 ぐちゃりという音と共に私の内臓は破裂寸前だった。足でお腹を踏まれたのだ。強く思いっきり踏み付けにされた事で、お腹が耐え切れるわけがない。
 「あ、ああ......グェ‼︎」
 「ラティス‼︎」
 ゴン
 「馬鹿野郎‼︎ラティスは関係ねぇだろうが‼︎」
 「......」
 このままだと、ノワールの足手まといになる。なんとかして此処を離れないと‼︎
 「ノワール‼︎」
 ギュウウウウ
 「ウギァッ!?」
 手で掴まれるだけでも辛い。でも宙に浮いたのなら風で一気に吹き飛ばせばいける!
 「はぁーはぁーはぁーはぁー」
 「ラティス!?」
 ボオオオオオオ
 「グエアアア!?」
 「風?」
 私が居なければ、ノワールは思いっきりやるだろう。だから今は何処かに吹き飛べばいい。
 「ラティスをよくも!」
 ノワールは自分だけが無事なのが心底腹が立っていた。自分は無事で、ラティスが大怪我を負ったのだ。怒りで我を忘れてしまうほどにノワールは怒っている。
 ドーン
 「な、なんだ?ひ、人が落ちて来たぞ!?」
 私の意識はほぼない。視界が揺らいで、色が灰色へと変わる。
 「......」
 もう声すらも聞こえない。私はゆっくりと目を閉じた。
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